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瞑想をすると「リラックス」「思考のリセット」「創造力を高める」「集中力向上」などが養われるとされ、瞑想を生活に取り入れる人が増えるなか、場所を選ばず手軽に瞑想状態と同じような体験ができる「Simple瞑想」(シンプル瞑想)という小型音響デバイスが注目されています。
独自の音響プログラムで脳を瞑想状態にし、そのことで集中力アップや効率向上に導き自分の力を引き出すことをサポートするという「Simple瞑想」。先日、開発者である、株式会社セルパワーの佐々木耕司社長らによるメディアむけ商品発表会が行われました。
日頃から集中力のない筆者は「良かったら試されますか?」というスタッフの方の言葉に甘え、なんと実機をお借りしてしまいました。さて…これを一週間試すとどうなるのか?今回も、編集部がカラダを張って体験リポートします!
まずは脳をリラックスさせてあげる
ここで脳と集中力の関係について簡単におさらいします。
まず集中するためには、なるべく雑念をなくし注意が散漫しないように脳がリラックスしている状態をつくりあげる必要があります。
その方法のひとつが瞑想です。他にも方法を調べてみると「温めの風呂に入りカラダそのものをリラックスさせる」「ガムを噛む」「ビタミンB群を摂る」「質の良い睡眠をとる」「クラシック音楽を聴く」「黄色を見る」…などなど、眉唾なものから科学的根拠のありそうなものまでさまざまです。
それだけ人は集中できない(しにくい)という顕れかも知れませんが、そもそも脳が「リラックスしている」とは、どのような状態なのでしょうか?
脳波と瞑想の関係
脳がリラックスしている状態か否かを計測する目安として脳波があります。脳波とは脳の神経細胞から出る弱い周期性の電流のことで、大きく4つの状態の波に分けられます。
ベータ波…38Hzから14Hzの周波数の領域。
やや緊張した状態から興奮した状態。私たちが普段生活しているときは、このベータ波が優位とされている。
アルファ波…14Hzから8Hzの周波数の領域。
脳がリラックスしている状態。ベータ波より周波数がゆっくりとしており、このような脳波を発しているときに集中力が増すといわれる。瞑想するとこのアルファ波が優位な状態になるとされる。
シータ波…8Hzから4Hzの周波数の領域。
アルファ波よりさらに周波数がゆっくりしており、深い瞑想状態やまどろみの状態になる。
デルタ波…4Hzから0.5Hzの周波数の領域。
脳波が最も遅い状態で深い眠りについている時、または無意識の状態。0Hzになると脳死状態になる。
「Simple瞑想」ってどんなもの?
さて、この脳波の仕組みを応用したのが「Simple瞑想」です。人が精神的に一番安定する音とされている周波数(151Hz)と、それよりも2~10Hz低い周波数の音を左右の耳から聴くことにより、アルファ波とシータ波が脳内で優位になることをサポートします。
装着すると独特の「音」がしますが、これは右耳から聞いた音は左脳に60%、右脳に40%伝わり、左耳から聞いた音は右脳に60%、左脳に40%伝わるため、両耳から聞いた音の周波数差が同調したために聞こえる「うなり(beat)」です。
心地良い周波数の音とそれより少し低い周波数の音を左右の耳から聞くことで、右脳と左脳のバランス同調作用が起こり安定した状態になるそうです。
重さは110g。70mm×54mm×20mmと掌に乗るサイズ。どこでも持ち運びができ、マイクロUSBで充電が可能です。これならば、事務仕事や勉強、運動しながらでも利用でき、通勤や通学途中に“ながら聴き”できますね。
物理学に明るくない筆者は「うなり音」と説明書にあるため唸るような…激しいノイズを想像していたのですが思ったよりも微かな優しい音です。(うーん。どこかで聞いたことがないかと記憶をさぐりますが…ボイラーのモーター音??)
最初は10分程度と決めていたのですが、PCに向かい作業をしながらふと気がつくと50分ほど経過。これも集中力のおかげ?ともかく聞き続けても苦になることはありません。
繊細な音なので、移動中、とくに電車のなかでは音量を大きくして聞きます。音楽を聴くものとは違うので周囲の雑音を「うなり音」でかき消すような用途には向きません。これは喫茶店などの人の集まる場所でも同じです。
単純作業ならば“聴きながら”が効果的。不思議なことに雑念がへり結果的に集中できるように思います。ただ、脳みそをフル回転させなければならない場合には“ながら”は難しいようです。フル回転させる前に10分ほど静かに耳をかたむけるのが良いですね。
脳がリラックス状態になるので、聞いているうちに眠くなりはしないかと試してみたのですが、一度も寝落ちしたことはありませんでした。アルファ波とシータ波が同調しているせいでしょうか??個人的には興奮ともまったりとも違う不思議な“前向きな気分“を呼び覚ます音に聞こえます。
開発者の佐々木社長によると「10分聴くだけで、1時間瞑想したときと同じ状態に近づける」と話しており、ある大阪の学習塾の協力で高校生に英検1級レベルの英単語記憶力テストを試したところ、使用前後で平均179%の記憶力向上が確認されるなどの成果が得られたと実験結果を発表しています。
この「Simple瞑想」は、元、大阪大学工学部工作センター長を務めた政木和三博士(平成14年8月6日87歳没)の研究成果を活かし、佐々木社長が独自の開発や検証に基づき20年以上かけて制作されたもの。
政木和三博士といえば、ウソ発見器、電気炊飯器、瞬間湯沸かし器、自動ドアー、CTスキャン…など1000件以上の発明をしながら特許を無償で公開し、発明界の神様と呼ばれたレジェンドです。
佐々木社長は「政木先生の意志を継ぐような気持で開発しました。ぜひ、起床後やプレゼン前、受験前の朝などに試して生活に役立てていただきたい」とコメント。初年度の販売目標としては約1000台。向こう3年間で10000台を見込んでいるそうです。
まるで「瞑想」のイイとこどりのような「Simple瞑想」の登場で、瞑想がより身近なものになりそうです。瞑想に興味はあっても時間と場所の準備ができない人、なかなか落ち着いた気分になれない人、短時間で集中力を高めたい人には朗報かも知れませんね。