3月4日(現地時間)の第90回アカデミー賞で最有力候補とされているのが、今回最多の13ノミネートを記録した「シェイプ・オブ・ウォーター」でございます。鬼才ギレルモ・デル・トロ監督の魚人映画でございます。すでに第74回ベネチア国際映画祭で金獅子賞、第75回ゴールデングローブ賞で2部門に輝いたファンタジック・ラブストーリーでございます。

米ソの冷戦時代が舞台、孤独な女性と魚人の愛を描いた作品でございます。こちらの主人公は、政府の極秘機関で清掃員として働く人間の女性と魚男でございますが、魚人の愛の物語と言えば、そう「人魚姫」でございます。

「人魚姫」の作者は、ご存知の通り童話作家のハンス・クリスチャン・アンデルセン様でございます。ただ、1837年にアンデルセン様が書いた「人魚姫」の原話を読んだことのある方は、意外に少ないのでは…。みなさんが思われている以上にじめじめしております。ウエットでございます。子供向けの童話というより、大人の読み物、それも韓流ドラマに近いものがございます。

その原話に、日本を代表する世界的前衛芸術家、草間彌生様が挿絵を描いた大人絵本があるのをご存知でしょうか…。絵本というよりアートブックと言った方がいいかもしれません。さらに言うと、挿絵というより画集といってもいいかもしれません。アンデルセン様の物語と草間様の絵が共鳴しあっている、まさにアート作品でございます。それがこちら。

「人魚姫」(作:ハンス・クリスチャン・アンデルセン 絵:草間彌生)

デンマークのルイジアナ近代美術館がコラボレーションした作品で、2015年にデンマーク語版と英語版が出版。一昨年、日本で日本語版が発売されました。数々の草間作品を一度に鑑賞できる超贅沢な絵本でございます。

草間様の絵は超高額で部屋に飾るのはなかなか難しいかもしれませんが、この絵本を本棚におくことは可能でございます。お話も全96ページ、読み応え十分でございます。インテリア用には、英語版、デンマーク語もよいかもしれません。

絵画として、一枚絵としてみる草間作品と、絵本の挿絵で観る草間作品、全然違いますので、是非このタイミングでご堪能して頂ければと存じます。魚人の代表作「人魚姫」を草間様の挿絵と原話で復習した後、話題の魚人映画「シェイプ・オブ・ウォーター」を鑑賞するのも一興かと…。

(文:N田N昌)

情報提供元: マガジンサミット
記事名:「 アカデミー最有力作品「シェイプ・オブ・ウォーター」を観る前に絶対読みたい絵本