インターネットで検索すれば、どんなニッチな情報も瞬く間にヒットする。2010年時点で「世界中の砂浜の砂粒の数」に匹敵する1ゼタバイトもの情報がネットにはあったというが、なんと2020年にはそれが40ゼタバイトまで増えるというのだから、その膨大なデータの量には驚かされる。

 

だが正直なところ、これだけの情報の中から必要な情報、それも正しい情報だけをピンポイントで探し当てるのは難しくないだろうか。最近は“フェイクニュース”まで混在し、何が正しいのかさえわからない。情報収集するうえではいったいどんなことに気をつけたほうがいいのだろうか。

 

情報は疑ってかかるくらいがちょうどいい

 

まず意識すべきは「情報を鵜呑みにしないこと」だ。これはなにもネットに限った話ではない。テレビ、新聞、ラジオ、雑誌といった「4マス」のときも同じだ。世間を賑わす話題があったら、必ずほかのメディアはその話題をどのように取り上げているかを比較したほうがいい。というのも、ときに事実と違った報道のされ方があり、誇張さえあるからだ。

 

その顕著な例が、アメリカのトランプ大統領による「鯉の餌やり」だろう。今年11月上旬、日本の安倍首相と迎賓館で一緒に鯉に餌をやる機会があり、トランプ大統領が餌の入った木箱を逆さまに豪快に投げ入れた。このワンシーンを各メディアはいっせいに報道した。

 

トランプ大統領の人となりが表れる報道だったこともあり、ツイッターなどでは「非常識」「雑過ぎる」などと非難の声が上がったが、じつは“豪快な餌やり”をする前に、安倍首相が先に木箱の中身を一気に投げ入れ、それにトランプ大統領が続いたというのが事実だった。

 

受け身の情報収集が続くと、いずれは「情報弱者」に?

 

「鯉の餌やり」の事実は、AFP通信がそのときの動画を公開して明らかになったが、すべてのニュースがこのように当時の状況がわかるものではない。だからこそ、この出来事を教訓に「事実は意図的にゆがめられる」と心したほうがいい。

 

受け身で情報収集をしていてはいずれ、事実と違う情報を真に受けたり、偏った情報だけを信じてしまう「情報弱者」に陥ってしまう。意図的かどうかはわからないが、公のメディアでさえ「鯉の餌やり」のような情報発信、印象操作ともとれることをしてしまうのだから、誰でも情報発信できるネットの情報と向き合う際は、“吟味する”という姿勢がとても重要だ。

 

「一次情報」または「一次情報に近い」人間にあたれ

 

さらに最近は、故意に真実をゆがめる「フェイクニュース」の存在も無視できない。記憶が新しいものでは、『ローマ法王がトランプ支持を表明した』というものから『オバマ大統領はイスラム過激派ISの創設者、ヒラリー・クリントン氏もその共同創設者だ』という悪意あるものまでさまざま。

 

政治的意図を持つ者が対抗勢力を攻撃するため、ウェブの閲覧数を増やして広告収入を伸ばすため、などの背景もあるだろう。ただ、一方では「自分の信じたい情報だけを信じる」という問題も少なからずある。

 

たとえば、米コロンビア大学の調査では、元ネタとなったニュースサイトのURLを確認せずに、SNS上の見出しだけでリツイートしたり、シェアやコメントをする人が59%にも上ることが明らかになった。事実を確認するより、記事を読んだときの感情を優先して発信する人が増えているというワケだ。

 

やはり理想は「一次情報」、つまり、当事者に直接確認するのがいい。なぜなら、それがいちばん誤解のない、偏見のない情報だからだ。とはいえ、素人がそれをやるのは難しい。だからこそ、まずは鵜呑みにせず、比較検証し、「一次情報」あるいは「一次情報に近い」人間にあたるべきなのだ。

 

メディアの信頼性や情報の正確さを一義に置き、当事者に近い人とSNSでうまくつながっておくことが、情報に振り回されないための知恵なのかもしれない。

情報提供元: マガジンサミット
記事名:「 フェイクニュースに警報!情報社会に溢れるウソとどう向き合うべきか