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酵素研究の第一人者である鶴見クリニック理事長 鶴見隆史(つるみたかふみ)先生によると、パイナップルには肉食化が進む日本人に、今、もっとも必要といえる“特別な酵素”が含まれているそう。
普段から肉食ばかりの編集部としては気になるところ。折よく、鶴見先生が登壇するパイナップルに関するセミナーが開催されると聞き、さっそく取材にうかがいました。
今回のセミナーは、バナナとパイナップルに関するWEB情報サイト、ドール「バナナ・パイン研究所」が主催するものです。登壇した鶴見先生は、開口一番「今、日本人の健康状態は最悪なんです」と切り出しました。
なぜ、最悪なのか? どうやら日本人は、タンパク質を過剰摂取する傾向にあるようです。
タンパク質の摂取目安は、育ち盛りの15~17歳であれば、1日あたり65gの推奨量(厚生省)とされています。これは多い方で、体重1㎏に対して0.8㎏ほど、つまり体重60㎏の男性で48gぐらいが世界基準だそう。
ところが、先生によると、日本の若年層では100gも摂取している例もあり、かなりバランスの悪い状態といえるようです。これは、昨今、流行している糖質を制限して肉や卵などを中心とした食生活をおくる「糖質制限ダイエット」とも大きく関係しており、タンパク質を過剰摂取する原因の1つとなっているそうです。
タンパク質は必須栄養素の1つで、主に肉類、魚介類、卵、乳類、大豆製品に多く含まれます。ところが、タンパク質は摂取した量の10%ほどしか体内に吸収されません。残りは消化しきれず腸で窒素残留物(アンモニア物質)となります。
消化されず腐敗物質となったタンパク質は、赤血球が連銭状にかたまる原因にもなり、これが増えると血流障害を引き起し、抹消血管に酸素や栄養素がゆきわたらなくなります。場合によっては動脈硬化や癌などの病気にかかる恐れもあり、それだけタンパク質の取りすぎは身体にとって負担なのだそうです。
タンパク質の摂取を制限する他に、何かよい方法はないのでしょうか?
その問題を解決するカギとなるのが、パイナップル特有の成分である“ブロメライン”。タンパク質消化を助ける働きをもっており、下痢やガス発生の抑制・便秘などを解消し、腸内環境を整える“パインデトックス”です。
ブロメラインには肉を柔らかくする作用もあり、そういった意味でも動物性タンパク質との相性が良いそう。ただし一緒に煮込んでしまうのは厳禁。なせならば、ブロメラインは熱に弱く、48℃で2時間、50℃で20分、53度℃では、たった20秒あまりで効果が失われてしまうそうです。
つまり、パインデトックスは“生食”で摂取することが大切なのです。酢豚にパイナップルがトッピングされていることがありますが、熱を通してしまったパイナップルでは意味がなく、あくまで“生”のまま食べてください、とのこと。(ちなみに酢豚のパインは、清朝時代に上海の料理店で見た目をゴージャスにするためにトッピングされたもののようです)
今回のセミナーでは “パインデトックス”を気軽に取り入れるために開発したオリジナルレシピなども紹介しています。
考案した料理研究家関口絢子(せきぐちあやこ)先生によると、生のパイナップルを朝・昼・晩と簡単に効率よく食べられ、さらに他の食材とあわせることで“キレイ”の相乗効果をうむレシピだそう。さっそく、紹介しますと…
■朝食におススメ パインボウル
ブロメタインとバナナのビタミンB6(タンパク質代謝ビタミン)、シリアル(食物繊維)を組み合わせたヘルシーなモーニングメニュー。バナナはミキサーにかけることなくヨーグルトと混ぜてスプーンで潰して食べるので、お手軽簡単! サクサク、トローリな食感がクセになりそうです。
パイナップル1/3カット。バナナ1本、プレーンヨーグルト1/2カップ、シリアル適量、ミント3枚(すべて1人分)
■ランチタイムにおススメ パインデトックスウォーター
パイナップル同様に消化酵素を助ける生姜、アンチエイジングやリラックス効果のあるバジルで爽やかな仕上がりです。生姜やブロックパイナップルは、出先のコンビニやスーパーで手に入るものなので、タンブラーさえあれば気軽に作ることができます。
パイナップル1/4カット、生姜1かけ、バジル2~3枚、ミネラルウォーター300ml(すべて1人分)
■夕食におすすめ パイナップルのグリーンソースがけ
ブロメタインに加えて、タンパク質を代謝するビタミンB6が豊富なクルミ、消化酵素を助けるパセリ、ニンニク等で仕上げたグルーンソース。肉料理やディナーの添え物、前菜としておススメです。
パイナップル1/6カット、パセリ1枝(5g)、クルミ3粒、オリーブオイル大さじ1、ニンニク1/4かけ、塩少々
パセリの茎を除いた葉の部分とクルミ、ニンニクを細かく刻みながら全体を包丁でたたきます。オリーブオイルと塩を加え混ぜたら完成。カットしたパイナップルの上にかけて実食!
なかには、果物を食べると糖分摂取が多くなりすぎるかも?と心配する人もいるかも知れません。「糖質制限ダイエット」などでは、糖質を含む果物摂取をNGとする場合もあるようです。
しかし、心配するほど果物の糖分量は多くありません。パイナップル100gに15gほどの糖質しかなく(ちなみに、白米ご飯100gの糖質は36gくらいです)その他にも、フルーツには、豊富なファイトケミカルが溢れています。
また、フルーツの糖はおだやかにカラダに吸収されるため、急激な血糖値の上昇をおさえカラダに負担をかけにくい食材でもあります。
ある程度の糖質制限も大切ですが、何でも、やりすぎや思い込みは禁物ですね。
出典 情報サイト「バナナ・パイン研究所」 https://www.banana-pine-lab.org/
ご紹介したレシピ以外にも、表参道の「ZIPZAP」では、生パイナップルと豚肉を大胆に挟んだ「パインデトックス サンドイッチプレート」を期間限定※で楽しめるそう。※2017年11月9日~11月30日。
「酵素は外から摂取すると良く、血液さらさら成分も多く含むので、特にタンパク質の好きな人は、ブロメラインやパパイン(パパイヤに含まれる酵素)を摂ることをおススメします」と鶴見先生。
これからの季節、宴会も多くなにかと暴飲、暴食をしがちですが、ぜひ、家庭で、街で、職場でパインデトックスに挑戦してみてはいかが。