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SF映画のような世界が現実になりつつある。近い将来、恋人や人生のパートナー候補にロボットが上がってくる可能性があるかもしれないのだ。海外ではすでに「Roxxxy(ロキシー)」「サマンサ」「ハーモニー」とさまざまなセックスロボットが登場している。
シリコン樹脂の人工皮膚、喜怒哀楽を兼ね備えた感情、会話は冗談交じり、目線まで合わせてくる。好みの体格や性格まで選べるため、生身の人間と違い、「好みのタイプじゃない」「価値観が合わない」といったこともなくなる。とはいえ、相手はロボット。はたして機械は真のパートナーになれるのだろうか?
「近い将来」とはなにも数十年先のことではない。数年後レベルだ。なぜなら一部のセックスロボットは開発販売され、お金さえあればSF映画だけの出来事が現実のものとして体感できるからだ。
たとえば、アメリカ・ニュージャージー州の「True Companion社」が開発した世界初のAI搭載セックスロボット「ロキシー」は1体7,000~9,000ドル(約65~84万円)。スペイン・バルセロナ出身のエンジニアが開発した「サマンサ」は3,750ポンド(約56万円)。そして、アメリカ・カリフォルニア州にある「Abyss Creations社」が現在制作中の「ハーモニー」は2017年内の発売を予定しているという。
ただし、性的利用を目的にしたセックスロボットの場合、うまく付き合っていくうえでは道義的な問題を避けて通ることはできないだろう。現に有識者からは「女性をモノ扱いするのか」「性犯罪を助長するのではないか」「人間同士の営みが減っていくのではないか」といった指摘が挙げられている。
たしかに「機械だから、人間ではないから」という理由で、人間と同じ見た目のロボットをモノのように扱えば、それがいつしか人間に向けられる可能性も出てくる。ロボットは男性用女性用ともに存在するので、男が、女が、というより、人類としてロボットとの付き合い方を考えていかなければならないのだ。
たとえば、すでに世の中で活躍している先輩に「Pepper」や「AIBO」がいる。“彼ら”は明らかにロボットとわかるような見た目だが、社会的にはいい形で受け入れられた。とくに、AIBOは飼い主の育て方で個性が変わるなど、ロボットらしからぬ仕草で、多くの人に愛された。
だが、ソニーがロボット事業から撤退したことで、飼い主たちが修理できなくなると、実質的に死んでしまったとして、供養をするための葬儀が執り行われたというケースも出てきている。こうしたことを踏まえると、AI搭載で感情があり、会話もでき、見た目は人間同様であれば、倫理的な問題が出ないはずがないといえよう。
さきのAI搭載セックスロボット「サマンサ」の場合、性行為以外にも、コミュニケーションを目的とした「家族モード」があり、何百のフレーズに対応できるなど、日常会話をすることも可能だという。つまり、性的な目的ではなく、パートナーが亡くなった、生身の人間とは結婚したくない、という需要にさえ対応できるという。
実際、筆者の知人(女性)は冗談交じりに「将来はAI搭載のロボットと結婚するの。(ロボットは)年をとらないし、一生、私だけを見ててくれるでしょ」と言っていた。
もちろん、「所詮はロボット。生身の人間には適わないでしょ」と一笑に付す人もいるだろう。極論はそうかもしれない。ただ、意識しておくべきは、これまで命を持った人間や動物だけが人生のパートナーだったところに、今度はセックスロボットが選択肢として出てくるということだ。
そして、それが社会にどのような波紋を呼ぶことになるのか、そのことをきちんと考えておかなければならない。