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でも!井上様の真骨頂は、なんといってもナンセンス絵本でございます。マツコ・デラックス絶賛の長新太様と並び、歴史に残る数々のナンセンス絵本を世に残されております。
「まがれば まがりみち」「ちょうつがいの絵本」「ヘンなえほん」などなど、数えきれません。講談社出版文化賞絵本賞、日本絵本賞大賞など、絵本の賞もたくさん受賞されております。
がしかし、井上様、その他にも、漫画、イラストレーション、タブロー、舞台美術など様々なジャンルで活躍されておりました。なかでも強烈なのが、“タブロー”でございます。去年2月に84歳で逝去され、井上様を惜しむイベント・展覧会が全国各地で開催されましたが、そこで皆さんが驚いたのは、このタブローではないでしょうか。
「くまの子ウーフ」からは、想像もつかないエログロでございます。絵本作家としての井上様しか知らない方々は驚かれたはず…。
その井上洋介様が今、盛り上がっているのでございます。まずは、こちら。
「ホウホウフクロウ」(作:井上 洋介)
今年6月に出版された井上洋介さんの最後の絵本でございます。数々のナンセンス絵本を描いてきた井上様の最後の作品でございます。しかし、読まれて「えっ?」と肩透かしを食らわされた方もいらっしゃったのでは…。
最後の1冊は、なんと静謐な水墨画の絵本!絵のタッチはさほど変わりませんが、中身がこれまでのナンセンス絵本とは一線を画す作品でございます。だって最後の作品がナンセンス絵本ではないのでございます。…
しかし、最後がナンセンスでないところが、ナンセンスではなかと。綺麗に裏切ってくれる、まさに井上様らしいかなと小生は感じております。
出版元の福音館のHPでは、次のように紹介されておりました。
「昨年逝去された井上洋介さんが遺した最後の絵本です。洋介さんの絵本といえば、やはりナンセンス絵本がその真骨頂といえるでしょう。その洋介さんが最後に辿り着いたのは、ナンセンスをはるかに超越した、静謐な水墨画の絵本でした。闇夜に飛び回るフクロウやミミズクたちは、見る者を圧倒する迫力もあり、のびのびと大らかでもあり。それは、常に斬新な発想で絵本を作り続けてきた洋介さんのお姿、そのものなのかもしれません」と。
さらに8月には、この2冊が出版されております!
さらにさらに!東京の絵本ファンの聖地「上井草のちひろ美術館・東京」では、8月24日から「開館40周年記念III 奇喜怪快 井上洋介の絵本展」がスタート!
こちらでは、井上様の初期から晩年までの作品約150点を展示。絵本画家としてのデビュー作「おだんごぱん」やロングセラー絵本「くまの子ウーフ」、1970年代から展開した自作絵本、谷川俊太郎様が文を担当した「こわくない」、京極夏彦様が文を担当した怖い絵本「うぶめ」などの絵本原画。さらに、先ほど紹介したタブローや漫画なども展示されております。
そして、会期中の9月24日には、大御所絵本画家の片山健様と編集者の土井章史様による対談「井上洋介を語る」も開催されます。土井様は、「井上洋介獨画集 1931-2016」「井上洋介絵本画集 1931-2016」の編集も担当されております。
ちなみに土井様は、今はなき絵本ファンの聖地、絵本専門店「トムズボックス」の店長でございます。長新太様や井上洋介様のナンセンス絵本の編集を担当していたことでも有名でございます。
芸術の秋、今年は井上洋介様に浸ってみるのはいかがでしょうか…。
(文:N田N昌)