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私の知人2人が去年富士山頂まで登りました。念入りに下調べをして、ご来光も拝んだそうです。夢がかなって大満足かと思いきや、感想は「もう二度と行きたくない」でした。体力的に大変だったとかそういうことではなく、理由は「話には聞いていたが想像以上だった」とのこと。何が想像以上だったのか?
主なポイントは3つ。
1:頂上付近の混雑
2:マナーの悪さ
3:山小屋の人の態度の悪さ
そこで調べてみました。かなりひどいみたいです。この夏、安易に富士登山へ行こうと思っている方へ…
富士山が世界遺産に登録された2013年から入山者が急増。去年、八合目以上に登った人は24万8461人でした。つまりここから頂上を目指す人は、1日平均3,450人、週末は更に人が殺到、休日・祝日・お盆時期は更に混み合います。
登山者の多くは日の出、つまりご来光が見たいので、八合目の宿で泊まるなどし、早い時間に出発します。
登山ルートは4つあるので多少の違いはあるかもしれませんが、3時くらいになると登っている人が多くいます。というかもう遅いです。早い人は1時くらいには山頂へ向かうとか。
頂上に近付けば近づくほど疲れる人も多くなり足取り重く登山道は大渋滞。ツアー客などがいる場合は渋滞度が増します。そう、あまりにも人が多いため、頂上までの登山道が大渋滞するのです。ある人は、「朝の新宿駅の山手線の階段よりひどい」と言っていました。
※富士山頂渋滞 出典:https://twitter.com/shirubef
やっとの思いで登頂してすぐに帰るなんて人はいませんから人が溜まります。山頂付近はお鉢めぐりが出来るなど結構スペースはありますが、空気も薄く疲れもあって人はなかなか動かないので、渋滞は停滞にも。そうなるといたずらに時間が経過して、富士山頂からご来光を拝もうなんてことが不可能になるので、途中で足を止めてご来光を拝むことに。
日の出が終わると下山者がやってきます。ルートにもよりますが、山道は細いところが多く、登る人と下りる人の行き来でまたまた混雑します。
そして、ようやく登頂したら午前7時なんてことも多いとか。つまり渋滞にうんざりする人が多いのです。
まず、富士登山は初心者でも難しくない・・・とは、よく聞きますよね? この“初心者でも難しくない”を鵜呑みにしてナメてかかる人は多いそうです。
未だにサンダル、薄着、ほぼ手ぶらでやってくるアンポンタンがいるとか。それでは五合目までも困難(というか止められる)だし、そこまでじゃないとしても装備が不十分すぎて頂上まではムリという人がいっぱいいるそうです。
有識者が声を揃えて言うのは、「富士登山はハイキングやピクニックじゃない」「想像以上に過酷」ということ。
道は険しく楽じゃない、道で休むことも、食事も、排泄も、基本的に全て苦しいそうです。七合目(2700m付近)になると、多少なりとも気分が悪くなるのが普通。そう「高山病」です。酷いと下山、そのまま病院送りで、毎年重傷者も出ています。それに夏でも頂上は冬のように寒いです。
じゃあ装備は万端でアタックしたとしましょう。でもなかなか経験者しかわからないことがあります。それが登山マナー。これを知らないとトラブルになりかねません。
疲れたといって登山道に座って休み、道を塞ぐ
自分がへばっているのに道を譲らない
前が遅いからと登山道をそれて歩く
道の外側を歩いて落石を起こす
道標、記念碑に登る、壊す、落書きする
喫煙
ゴミを捨てる
草花、石を持ち帰る
洗面所、トイレを使う時間が長い
トイレを汚したままにする
トイレ以外で排泄し、持ち帰らず放置
排泄物は持ち帰ること以外は、山に限らず常識ですよね? 他の人の迷惑になる身勝手な行動をしているということに気付けるかどうかですね。
富士山には、俗に言う山小屋と呼ばれる宿泊施設があって、その数は23ほど。そのうち、頂上に近い七合目、八合目付近には15ほどあって収容人数は総計で約3,000人、定員オーバーで詰め込むことも多いらしく実際はもう少し多いかもしれません。とにかく早めに予約を入れるのが先決です。予約無しで行ってもまず泊まれません。
悪評旅館
山小屋選びは念入りに。個室、あるいは仲間数人が一緒に泊まれる広間などもあり、快適な宿もあるにはあります。でも、山ですから、(しつこく言いますが)一般の温泉旅館とかホテルを思い浮かべないで下さい。“寝る場所があるだけまし、食い物があるだけまし”程度に考えておくといいそうです。そう心がけておくと酷くても想定内と思えるとか。
雑魚寝部屋みたいな場所は一枚の布団に三人が寝るほどのスペースで、寝がえりをうったら人の足が目の前にあるなんてことは普通です。山で酸素が薄いのに部屋に人が多いので酸欠になって目が覚めます。こんなの普通だそうです。
また、とんでもなく悪評の高い山小屋がいくつかあります。名前は出しませんが、客を客とも思わない、「嫌だったら出て行け」的な態度を取られ不愉快極まりないそうです。でもどうしようもありません、他に行くところがありませんから。
従業員が客対して、怒鳴る、威圧的、高圧的、タメ口、悪口をいう、冷たい
客の前で、従業員同士でケンカ、上の者が下の者を大説教している
体調不良の人がいても特別扱いしない、気にしない、追い出す
食事がひどい(量が少なかったり多かったり冷めていたり)
従業員のペースが優先される(食事中でも布団引く、寝ているのに起きろと布団を剥ぎ取る)
夜中でも動き回る、大声でしゃべる
団体客の扱いやスケジュールを優先するので、個人客の世話は後まわし
などなど、ネットで検索すると山のようにボヤキが出てきます。
ただし、山の従業員を擁護する声もあります。
・マナーが悪い客もいるのでいちいち優しく接していられない
・そもそもホテルのようなサービスを求めてないか?
・登山は自己責任なので 「助けてもらうのが当然」 と思ってはだめ
とにかく山は特殊と思ったほうが良いようです。通常の暮らしの中の一般常識とマナーは自主的に守り、でも普通のお店のサービスは受けられないと肝に銘じましょう。しつこく言いますが、富士山に登りたいなら十分予習をしましょう。これに尽きるそうです。
このような富士山の悪評を知らなかった人は多いと思います。
とにかく人が多いのが第一の問題でしょう。富士登山は入山規制をしていません、入りたい人はみんな受け入れます。解消すべき点はおそらくココなのだと思います。
聞けば、有名な世界の名山は殆どが入山規制をし、入山料を徴収しています。
富士山は入山料も任意で1000円です。初心者も、注意書きも読めない外国人も受け入れます。そして、マナーのない登山者が山を汚します。異国文字の入ったゴミも多いそうです。自然をゴミで汚すなんて山を登る資格がありますか?
富士山はみんなに愛される山、という思いで開放されているのかもしれません。そもそも美しい富士山が世界遺産の登録を見送られていたのはゴミが多いことが大きな原因でした。それをボランティア団体等がごみ収集活動やマナー向上を呼びかけて綺麗にし、すべからく富士山の素晴らしさをアピールし続けて、念願かなって世界遺産登録へこぎつけたのです。実は、景観が保てなくなるなどすると世界遺産から登録を外されることだってあるんです。
一日の入山人数を規制し、それに見合う入山料を徴収して、美しく品格のある山として日本一の富士山を守るべきではないでしょうか。