北朝鮮が弾道ミサイルを日本海にバンバン撃ち込んでいます。5月29日に放ったミサイルは日本海の排他的経済水域を超えたというし、特に日本海側の漁協は怒り心頭です。

 

ところで、新聞やニュースでよく見聞きする「排他的経済水域(EEZ)」って、どういうエリアなのか説明できますか? 「領海」という言葉も聞くけど何がどう違うのでしょう? 実は私も曖昧だったので、調べてみました。ざっくりとですが知識として覚えておくと良いでしょう。

 

排他的経済水域とは?

ものすごく単純に言うと、「他の国が、漁業や資源を奪ってはダメな水域」ってこと。国連海洋法条約で定められた、国の沿岸から200海里(約370キロ)以内の領域とされています。

 

もうちょっと詳しく言うと…

 

水産(漁業)資源の開発、管理

天然・鉱物資源の探査、開発、管理

自然エネルギー(海水、海風など)の探査、開発

海洋科学調査

人工島、施設の設置

 

という事が、沿岸国に認められている権利。資源の管理や海をきれいに保つという義務があります。ちゃんと海の面倒を見ないと最大で200海里以内の領域が狭まったりもするようです。

 

なので、他の国がこの水域に入って

 

船で通過する

海底にパイプライン、電線などを設置する

科学的な海洋調査を行う

 

といったことは、海の資源を奪うわけではないのでセーフなんです。ちなみにこの水域は空にも通じているので、他の国の飛行機が通過するのも大丈夫です。北朝鮮が日本の排他的経済水域に達する程のミサイルを撃つのは、たまたま被害が出ていないだけで、実質的には攻撃しているのと同じ行為といえるかもしれません。

 

領海、接続水域、公海…

では、もうちょっとだけ海の領土的なことについてお勉強を。

 

出典:http://www.kaiho.mlit.go.jp/

 

【領海】

国が最も海の権利を主張できるのが「領海」です。沿岸から12海里(22.2キロ)を越えない範囲で、自国の主権が及ぶ水域のこと。

 

外国船には、安全を害さない範囲で通航する権利が与えられていますが、勝手に漁業をしたり、密輸を企んでいるとすれば、日本の法律に基づいて船長・船員らを逮捕する権利があります。

 

【接続水域】

領海の外側には、これもよく聞く「接続水域」(沿岸から24海里・44.4キロ)があります。

 

接続水域は、領海に比べ取締りは少し緩くなります。他国の船が自由に航行可能、もちろん魚や資源を採ったりするのはNG。密輸などの怪しい船を発見した場合は取り締まることができます。何かやらかしそうな不審船が来たら、日本は「領海に近づくな」と警告したり、監視したりできます。

 

この接続水域の外側が排他的経済水域になります。不審船や不審な航空機がもし入ってきたら、まずは警戒するエリアと考えていいでしょう。

 

排他的経済水域の外側は?

「公海」と呼ばれ、どこの国の場所でもない海となっているので、どこの国の船が入り込んで漁業をしても良いことになっています。ただし、国連海洋条約で船や飛行機を乗っ取る行為(海賊とか)は禁止されています。

 

ここでひとつ疑問。排他的経済水域が他の国と重なったらどうするのか?

 

実は、上手に分ける法律がないので、コレが問題でよく揉めるわけです。実際、日本と中国の間で揉めていますよね? 対処方法は「お互いに話し合い」みたいです。

 

海の領土に関しては、もっと複雑な事情が隠れているのですが詳しく説明するとかなり長くなるのでやめときます(笑)。でも、ここまでで多少は知識になったでしょうか。

 

北朝鮮のミサイル実験(!?)に対し、安倍総理は毎度毎度「断固として抗議します」などと、同じ言葉を繰り返していますが為す術もない感じ。もしミサイルが日本の漁船などが被害を受けたら、何かが始まりそうな気がします。始まらないでほしいです。

 

情報提供元: マガジンサミット
記事名:「 北のミサイル発射でよく聞く「排他的経済水域」「領海」何が違うの?