先日、NTV系の「究極の〇×クイズショー」で、日本版シンデレラが紹介されておりました。「明治時代、シンデレラはおしんという名前で伝わっていた」という話は本当か嘘か?という2択で、正解は「本当」でございます。

 

日本でシンデレラが伝わったのは明治時代の頃。そもそも、1886年に「郵便報知新聞」が「新貞羅」として発表したのが日本への初めての伝来とされております。その後、小学校の教科書「国語読本高等科女子用」に登場!そのタイトルは「シンデレラ」ではなく、なんと「おしん物語」!作者は、文豪、坪内逍遥様でございます。

 

 

こちらのシンデレラ、名前が「おしん」に変わっただけではございません。当時の日本では、ドレスも魔法使いも舞踏会も、なんのこっちゃでございます。草履袴の時代でございます。

 

そこで、おしん物語では「ドレス」は「絹でできた着物」、「魔法使い」は「弁天」、「忘れたガラスの靴」は「扇」、「王子様」は「華族の若殿」、「舞踏会」は「園遊会」といった具合にアレンジされております。

 

ベースのストーリーは変わりません。おしんは継母や義姉にいじめられ辛抱し、最後に幸せを勝ち取るという物語でございます。ちなみに「おしん」の由来はシンデレラの「シン」のほかに、“辛い”=お辛(おしん)説もあるようでございます。ラストは、若殿がおしんが忘れていった扇を持って「この扇の中に描かれている柄は何だと思うか?」と問い、見事おしんが「白波と菊の模様です」と正解し、恋が成就するという流れになっております。

 

さすが文豪坪内様、靴を履かせ代わりに、扇の柄を当てさせるという見事な設定にアレンジされております。こちらが「おしん物語」と呼ばれる日本版シンデレラのお話でございます。

 

実はもうひとつ、日本版シンデレラ(和製シンデレラ)と呼ばれているものがございます。こちらの「こめんぶくあわんぶく」という絵本でございます。

 

 

こちらは、翻訳されたのではありません。越後地方に伝わる民話(伝承)をもとに絵本の作者である松谷みよ子様が創作したものでございます。

 

ストーリーは…

父親の再婚で家に来た継母は、実の娘(あわんぶく)ばかりかわいがり、主人公のこめんぶくのことを疎ましく思っておりました。そして、お祭りの日、継母は実の娘と二人で着飾って出かけます。家に残されたこめんぶくは、あることで、使い美しい着物と黒塗りの漆の下駄をゲット!お祭りに向かいます。

 

「誰だ、あの美しい娘は!?」と、こめんぶくは祭りの主役に!お金持ちのご子息のハートをわしづかみに…。そこで、お祭りタイム終了。こめんぶくは、「やばい、継母より早く家に帰らねば」と、馬に飛び乗ります。しかし、その時にぬげてしまうのです、黒塗りの漆の下駄が!!このあとは、みなさんのご想像にお任せします。たぶん、ご想像通りでございます。子供に読むと、十中八九、「これ、シンデレラに超似てない?」と指摘されるはずでございます。

 

ここまで似ていれば、日本版シンデレラ、和製シンデレラと呼んでもよいのではないでしょうか…。シンデレラの話を知っている人が民話をアレンジして伝承したのではないか…という説。世界には同じような展開の昔話があり、これもそのひとつで、まったく違う場所で同じようなストーリーが偶然作られた…という説。どちらの説も、今のところ、結論はでていないようです。

 

興味をお持ちになられた方は、「こめんぶくあわんぶく」、是非チェックしてみられてはいかがでしょうか。

(文:N田N昌)

 

情報提供元: マガジンサミット
記事名:「 シンデレラの日本版は「おしん物語」だけではなかった