​​朝晩の寒暖差とともに鼻水や咳の相談が増える秋口。単なる夏バテや風邪と自己判断し、対処が遅れる患者は少なくない。ブタクサをはじめとする秋の花粉症は下気道にまで影響を及ぼし、重症化するリスクを秘めている。「ちゃんと診察、ちゃんと診断」を掲げるなのはな耳鼻咽喉科の境修平院長に、秋の鼻症状の真実と医療の本質について話を聞いた。​


​​小さな粒子が引き起こす隠れた脅威と地域医療連携の枠を超えた取り組み​


​​9月以降、耳鼻咽喉科の診療現場ではアレルギー性鼻炎を訴える患者が急増する。その主因となるのが、ブタクサをはじめとする秋の花粉症だ。春に飛散するスギ花粉の粒子径が約30マイクロメートル以上であり、鼻腔粘膜で捕獲されやすいのに対し、ブタクサ花粉は18から20マイクロメートルと非常に微小である。


この物理的特性により、花粉が鼻腔を通り抜けて気管や気管支といった下気道深部まで到達・沈着しやすい。結果として、単なる鼻症状にとどまらず、長引く咳や喉の違和感、「花粉喘息」と呼ばれる喘息様症状を引き起こしやすいのが最大の特徴だ。


こうした秋特有の症状は、耳鼻咽喉科単独の対応にとどまらず、下気道の炎症や喘息への発展を見越した包括的なケアが求められる。患者様の健康を守るためには、近隣の小児科や内科との緻密な連携が不可欠だ。基幹病院での豊富な臨床経験を経て地域医療に携わる中で、診療科の垣根を越えた高度な連携こそが、患者様の生活を守る基盤になると実感している。​


​​曖昧さを排除する臨床アプローチと客観的診断に基づく的確な医療​


​​一般的に「かぜ症候群」は7日から10日程度で自然治癒へと向かう。それ以上の期間、鼻水や鼻づまり、咳が継続する場合は、単純な風邪ではなくアレルギー性鼻炎や副鼻腔炎の可能性が高い。しかし、市販の点鼻薬による自己流の処置には注意を要する。ナファゾリンなどの血管収縮剤が含まれる点鼻薬は一時的な即効性をもつものの、長期連用により粘膜の二次肥厚を招き、逆に鼻づまりを悪化させるリスクが存在する。


こうした混乱を防ぐため、当院では「ちゃんと診察、ちゃんと診断」というポリシーを徹底している。病名を告げずに投薬するような曖昧な医療を排し、専門医としての視診、鼻水の性状確認、鼻腔ファイバーやレントゲン検査を通じた客観的データに基づく的確な診断を行っている。病態を患者様へ丁寧に説明し、納得感のある治療へ繋げる。さらに、看護師による補足指導を組み合わせることで、診療の円滑化と患者様の安心感を両立している。​


​​先進テクノロジーと専門性の融合が描く患者本位の地域医療モデル​



患者様の負担を軽減し、質の高い医療を提供するためには院内環境の整備も欠かせない。当院では院内での待ち時間を最小限に抑えるべく、ネット予約システムを完備している。加えて、24時間対応のAI電話やAIチャットボットを導入し、ホームページでの迅速な情報発信とあわせて、患者様がいつでも適切な情報にアクセスできる環境を整えている。


近年はAIを活用した自己診断も広まりつつあるが、AIは問診を補助できても実際の診察を行うことはできない。どれほど技術が進化しようとも、粘膜の状態を直接観察し病態を見極める専門医の診察に代わるものはない。規則正しい生活やデジタルデトックスの重要性を啓蒙しながら、デジタルツールの利便性と対面診療の的確な診断力を融合させ、患者様が安心して頼れる地域医療の未来像を追求していく。​


​​秋の季節の変わり目は自律神経の乱れから体調を崩しやすいが、適切な治療により症状はコントロールが期待できる。情報が錯綜する現代だからこそ、客観的ファクトに基づく専門医の「診察」が真価を発揮する。一人ひとりの患者様と誠実に向き合い、地域全体の健康維持に貢献する取り組みは、未来の地域医療が目指すべき普遍的な姿と言える。​



■取材協力:


医療法人三香会なのはな耳鼻咽喉科


院長 境 修平


nanohana-jibika.com​

情報提供元: マガジンサミット
記事名:「 秋の長引く不調は風邪かアレルギーか 耳鼻咽喉科が提示する的確な診断 」