相撲の街として知られる墨田区・両国。ここは浮世絵師・葛飾北斎が生まれた地でもあり、江戸時代から続く歴史や文化が今も街の随所に息づいている。


そんな両国を舞台に、東京都と公益財団法人東京観光財団は10月10日から12日まで、親子向けの「江戸東京歴史ツーリズム 〜見て、聞いて、感じて!アートから、東京の昔と今を学ぼう。〜」を開催した。


「あしたの東京プロジェクト」の一環で、参加者は江戸東京博物館を見学し、北斎ゆかりの両国の街並みを散策。歴史を手掛かりに身近な東京の魅力を再発見するツアーの様子を取材した。


江戸東京博物館で発見!江戸の暮らしと意外な食文化



「あしたの東京プロジェクト」は、都民が地元・東京の魅力を再発見し、地域への理解や愛着を深めることを目的とした取り組み。2022年度にスタートし、今年で5年目を迎える。


今年度の第1弾となる「江戸東京歴史ツーリズム」には、719組1,814人が応募。抽選で選ばれた都内在住の小学4~6年生とその保護者、計142人がツアーに参加した。


参加者は2チームに分かれ、江戸東京博物館の見学と両国のまち歩きを体験。


館内でまず目を引くのは、江戸時代の日本橋を当時の大きさで部分的に再現した大型展示だ。かつて五街道の起点として全国各地を結んでいた日本橋を渡り、江戸の町へと足を踏み入れる。


その先には、寺子屋や長屋、絵草紙屋など、当時の暮らしを再現した展示が並ぶ。


例えば、庶民の住まいだった長屋。限られた広さの部屋で家族が暮らし、井戸やトイレは近隣住民と共同で使用していた。古着や灰などを無駄なく再利用するなど、現代にも通じる生活の知恵があったという。



なかでも興味深かったのが、江戸の屋台文化だ。当時の江戸には武士や職人など、単身で暮らす男性も多く、手軽に食事ができる屋台が発展。寿司や天ぷら、蕎麦などは、いわば現代のファストフードのような存在だった。


さらに、江戸時代の握り寿司は今の2~3倍ほどの大きさがあったという。参加者のなかには、その大きさに「一口で食べられない」と驚き、写真に収める子どもたちの姿も見られた。


普段何気なく食べている料理が、実は江戸の暮らしと深く結びついている。身近な食文化を入り口に、当時の人々の生活がぐっと近くに感じられる展示だった。


北斎ゆかりの両国を散策!街に残る江戸の痕跡を探す



博物館で江戸の暮らしを学んだ後は、実際の両国の街へ。今度は葛飾北斎の浮世絵などを手掛かりに、現在も残る歴史の痕跡を探していく。


最初に訪れたのは旧安田庭園。かつて隅田川の潮の満ち引きを利用していた庭園で、池や緑が織りなす日本庭園の景観と現代の高層建築を同時に眺められる。


江戸の面影を感じる風景の向こうには、現在の東京が広がっている。


続いて、両国のシンボルともいえる両国国技館を経て、回向院へ。



回向院は、1657年の「明暦の大火」で亡くなった人々を弔うために建立された寺院。江戸時代には勧進相撲が行われ、現在の両国に根付く相撲文化とも深い関わりを持っている。


その後は、江戸時代から続く猪料理の老舗「もゝんじや」の前を通り、両国橋へと向かった。



両国橋は、明暦の大火をきっかけに架けられた橋だ。周辺には火災の延焼を防ぐための広小路が設けられ、やがて屋台や見世物小屋などが集まるにぎやかな盛り場へと発展した。


そして、江戸時代に始まった両国の川開きの花火は、現在の隅田川花火大会へとつながっている。


博物館で学んだ江戸の町づくりが、目の前にある橋や道路の歴史と結びついていく。普段なら何気なく通り過ぎてしまう場所も、その背景を知ると違って見えてくる。



最後は隅田川沿いへ。浮世絵に描かれた両国の風景と現在の街並みを見比べながら、絵の中に残された江戸のにぎわいを今の景色に重ね合わせた。


歴史は博物館の展示の中だけにあるわけではない。街の至るところに息づいていることを実感できた。


「ジオラマが魅力的!」親子が見つけた両国の魅力をマップに



博物館の見学とまち歩きを終えた参加者は、再び会場に集合。最後に行われたのは、ツアーを通じて発見した両国の魅力を共有するワークショップだ。


参加者は「Padlet(パドレット)」というデジタルツールを使い、お気に入りのスポットの写真や、魅力に感じた理由などを投稿。会場のスクリーンには、それぞれの発見が次々と映し出された。



江戸東京博物館のジオラマを評価するコメントや、旧安田庭園の水面に映る建物の美しさに注目した投稿など、集まった感想はさまざま。


江戸時代の寿司の大きさが印象に残った人もいれば、北斎のデザインマンホールに興味を持った人もいる。同じ場所を巡っていても、何に魅力を感じるかは人それぞれだ。



途中には、墨田区観光協会の担当者が投稿されたスポットについて補足説明する場面も。参加者の発見をきっかけに、両国の新たな見どころが共有されていった。


こうして、親子それぞれの視点を集めたオリジナルの東京の魅力マップが完成。投稿された写真やコメントの一部は、後日「あしたの東京プロジェクト」の公式サイトでも公開される予定だ。


いつもの街にも、まだ知らない東京がある



今回のツアーは、博物館で江戸の歴史を「知り」、実際に街を「歩き」、発見した魅力を自分の言葉で「伝える」体験だった。


また、同プロジェクトの連動イベントとして、「‐両国‐ 江戸NOREN」では「みんなでつくる東京ペタマップ in すみだ」も開催。誰でも参加でき、来場者がお気に入りのスポットを書いたステッカーを巨大マップに貼り、東京の魅力を共有した。


普段何気なく歩いている街にも、まだ知らない歴史や文化が隠れている。次の休日は、身近な街を少し違った視点で歩いてみてはいかがだろう。


あしたの東京プロジェクト 公式サイト:https://tokyo-tomorrow-project.tokyotokyo.jp/

情報提供元: マガジンサミット
記事名:「 江戸の寿司は今の2~3倍!? 親子で両国を巡り「東京の昔と今」を再発見 」