2026年10月1日、シコー株式会社(大阪市)と大昭和紙工産業株式会社(静岡県富士市)が、合弁会社「リサックホールディングス株式会社」を設立しました。両社が手がける重包装袋は、米や小麦粉、セメントなどを運ぶための大型の紙袋です。同日、大阪市内のシコー本社でメディア説明会を開き、シコー代表取締役社長の白石忠臣氏と、大昭和紙工産業代表取締役社長の齊藤了介氏が、2025年7月の業務提携から合弁会社へ進んだ背景と今後の取り組みを語りました。


設備と人材の課題を、2社の連携で乗り越える


重包装袋の国内市場は、全国クラフト紙袋工業組合の公表データによると、1973年のピーク時に年間約29億袋でしたが、2025年には約9.3億袋と3分の1以下になりました。



白石氏が課題に挙げたのは、設備と人材です。40年以上使い続けている機械もあり、新しく購入すると購入時の2〜3倍の価格になるといいます。また、若手の採用に苦戦しており、ベテランの技術を次の世代へ継承する担い手の確保が必要です。


両社は、国が掲げる「100億企業」の考え方に共感しています。地域経済を牽引する企業を増やし、経済の基盤を強くするという方針で、白石氏は、設備投資と賃上げを継続的に行うには一定の規模が必要だと説明しました。こうした課題を各社が単独で抱え続けるには限界があり、経営資源を持ち寄って連携で解決していく。それが両社の考えです。


両社は2025年7月の業務提携後、工場の相互見学など現場の交流を進めてきました。両社長のほか、両社の役員や部長らも議論を重ね、資本を伴う合弁会社の設立を決めました。


共同購買から、人と技術の承継へ。2社の連携が動き出す


新会社の資本金は1,000万円で、本社はシコー本社内(大阪市北区)に置き、代表取締役社長には白石氏が就きました。出資比率は、シコー60%、大昭和紙工産業40%です。



設立の狙いは、コストの最適化、現場の交流による人と技術の承継、設備投資や人材確保での協業、業界全体の安定供給への貢献です。最初に取り組むのは、資材の共同購買、生産体制の最適化、技術交流による品質向上の3つ。両社合わせて10拠点の工場を止めず、お客様への安定供給を目指します。工場の統廃合や人員削減の予定はないと、白石氏は説明会で述べました。


最初の一歩に共同購買を選んだ理由について、白石氏は、取り組みやすいテーマであり、成果が出れば関心を持つ同業他社も現れるのではないかと話します。共同購買では、現在の仕入れ先とのこれまでの付き合いにも配慮するといいます。営業や物流の連携は中長期での検討課題です。両社の営業が混乱した場合、お客様にも影響が及ぶ可能性があるため、まずは資材の共同購買と技術交流から始めます。


両社長の信頼を土台に、仲間を募る開かれた相談窓口へ


社名の「リ」には、縮小が続く市場で業界の在り方を再編(Re-)していく思いを、「ホールディングス」には、2社で完結せず、同じ思いの仲間が増えてほしいという期待を込めました。



提携を持ちかけたのは齊藤氏です。2001年に23歳で家業を継ぎ、業界に携わって25年の齊藤氏は、シコーが最も相性のよいパートナーだと確信し、2025年に一緒にやろうと声をかけました。


提携から設立まで、約1年2カ月かかりました。両社長だけでなく、実務を担うメンバーも交えて対話を重ねたといいます。白石氏は、この間に、連携は論理的に正しいだけでは機能しないと実感したそうです。いちばん大事なのは両社の社長の仲がよいことで、相手の人となりがわかれば、たいていのことは乗り越えられると話します。別々のままよりも会社をつくるほうが両社長の本気度が伝わり、両社の社員の当事者意識も確実に変わるといいます。


新会社が目指すのは、「開かれた相談窓口」です。2社だけのための枠組みではなく、事業に悩みを抱える同業他社が、気軽に声をかけられる窓口にしたいといいます。業界団体に加盟するメーカーは約48社、未加盟を含めると60社近くあり、各社の事情に合わせて、画一的ではない形で連携を進める考えです。白石氏自身もオーナー系の中小企業の経営者で、オーナーの気持ちはわかるつもりだと話します。



お客様にとっては、これからも当たり前のように袋を買い続けられること。白石氏は、袋を「縁の下の力持ち」と表し、大きく注目されるより、当たり前に届け続けられる仕組みにしたいと話します。


両社が目指すのは、守るだけの取り組みではありません。利益を出し、人と設備に戻すことで、袋をつくる人たちがこの仕事を誇れる業界にしていくことです。白石氏は、リサックホールディングスを「袋屋として誇りをかけた挑戦」と位置付けます。同じ課題に向き合う他の業界のヒントになればという願いも込め、新会社は「はじまり」の一歩を踏み出しました。

情報提供元: マガジンサミット
記事名:「 重包装袋の老舗2社が「競争」から「連携」へ。共同購買と技術交流から始まる、リサックホールディングスの挑戦 」