​​2026年9月16日、株式会社クラウドワークスは、「中小企業のAI活用の現在地と未来」をテーマとしたメディアセミナーを開催しました。​


​​同社が従業員5~299名の​​​​企業​​の担当者​576​名​​を対象に実施した「中小企業のAI活用レベル調査」の結果発表に加え、8月20日にリリースした新サービス「AIクラウドワークス」の紹介や先行事例紹介、そして慶應義塾大学 総合政策学部 准教授の清水たくみ氏を招いたクロストークを通じて、中小企業のAI活用の現在地と課題、外部AI人材の活用がもたらす可能性を探りました。​


​​日本400万社のAI化を担う「AI実装インフラ」を目指す​



​​株式会社クラウドワークスの代表取締役社長兼CEOの吉田浩一郎氏は、日本の既存企業400万社のAI化を加速させる「AI実装インフラ」構想を掲げました。​


​​クラウドワークスはフリーランス業界最大級のプラットフォームを基盤に、ユーザー約800万人を擁しますが、AIを契機に事業の枠組みを派遣、正社員紹介、開発請負まで広げているといいます。​


​​吉田氏は経営者の本音を、「IT企業の社長なら自分でコードを書いているのが当たり前、という風潮がある。しかし本音では『そこに時間を使うべきではない』と感じている経営者が多い」と明かしました。​


​​AIエージェントを立ち上げても継続的なアップデートが必要で、社員のマネジメントコストと変わらないそう。社内にAI人材がいても、自社の経営業務のAI実装を担える人材はおらず、「自分でやるしかない」が現状だといいます。​


​​こうしたニーズを受け、8月20日に「AIクラウドワークス」をリリース。​​​AI技術者・専門家1万人が登録し、33業種・17業務領域の相談に対応します。​受注実績は5万円から2,000万円まで幅広く、大手コンサルでは受けられない小規模案件もカバー。​「どのステージの経営者においてもAIを頼みたいというニーズが確実にある」と手応えを語りました。​


​​チャット利用の先にある「AIオーケストレーション」と現場の成果​



​​AIクラウドワークス事業責任者の九鬼隆剛氏は、企業のAI導入を5段階で整理し、「大部分の企業がステップ3(組織利用)で止まっている」と指摘。​ステップ4の部分最適とステップ5の「AIオーケストレーション(全体最適)」の違いを、見積もり業務を例に解説しました。​


​​部分最適は単一工程のAI化ですが、オーケストレーションは依頼受信から見積書作成まで一連の流れを自動化する状態です。​具体的な成果事例として3社を紹介しました。​建築資材​​​​ ​​​​卸売業​​では電話・FAXの受注をLINEベースのAI自動化に切り替え、受注業務の工数を20%削減。​​​地方No.1の外壁塗装業では13の集客ブログ運用をAI化し、週10時間かかるところを週2時間に短縮。​​​建築設計事務所では長期修繕計画の更新工程で15日分の作業を2日に短縮したそうです。​


​​さらにグループ会社では8領域14業務を横断的にAI化し、工数換算で約2.7人月だった業務を約0.4人月に圧縮。​この事例を起点に、会社全体のAI化を提案する「マルっとAI」もリリースしています。​


​​AI導入の成否を分けるのは技術ではなく人材と組織​



​​清水たくみ氏を迎えたクロストークでは、3つのテーマが議論されました。​



​​まず、「中小企業のAI活用の現在地」として、調査ではAI利用企業は59.6%ですが、その80.9%はチャットどまり。​これを踏まえて清水氏は「総務省​​ ​​の調査でも55%前後でほぼ一致。ただ米国やドイツ、中国では9割超えであり、海外との差が見える」と指摘しました。​



​​続いて「中小企業のAI導入課題」ついて、最大の障壁は「AIに詳しい推進リーダーの欠如」と調査で判明。チャットどまり企業と自動化済み企業で最も差が開いた項目で、20.5ptの格差があります。​



​​AI推進者が「足りている」中小企業はわずか11.1%、採用・育成・外注いずれも半数近くが中断・未着手です。​九鬼氏は「問い合わせの​​​ほとんど​​ ​​​​ ​​​は社長から。中小企業でAI推進リーダーを一人置くのは現実的ではなく、社長がAIに​​​関心と危機感​​​​ ​​​を持つことが重要」とコメント。​


​​清水氏は「新規技術の導入には4つの要因(使いやすさ、効果の見込、組織的促進体制、社会的影響)が左右するという理論があり、今回の結果はこれに綺麗に当てはまる」とコメントしました。​



​​さらに「外部人材活用の可能性」については、自動化済み企業の26.1%が外部AI人材を活用しており、これはチャットどまり企業の7.0%の​​約​​3.7倍です。​清水氏は「外に任せきりではなく、内部の人材も一緒に考え、能力を蓄積していくバランスが重要」と強調。​九鬼氏は「準備と運用を自社で担い、実装を外注する切り分けが適切」と実務的な視点を示しました。​


​​清水氏はさらに「技術知識だけでなく、業務プロセスを理解した人材との掛け合わせが鍵」と指摘​​し、九鬼氏もそれに同調しました。​日本の遅れについて清水氏は「リスクへの過敏さと、経営層のAI活用コミットメントの低さが要因。日本ではミドルの利用が進む一方で経営陣の利用が少ない」と分析しました。​


​​吉田氏はクロージングで、「1年前はAIで人がいらなくなるという論調が大半だったが、日本の既存企業400万社にとっては逆にAI人材が必要な時代が来ている。AI時代の人材プラットフォームとして『AIならクラウドワークス』を目指していく」と語り、会を締めくくりました。​

情報提供元: マガジンサミット
記事名:「 ​​中小企業のAI活用8割が「チャットどまり」外部AI人材が切り拓く業務自動化への道​ 」