睡眠時無呼吸症候群(SAS)や慢性呼吸器疾患(COPD等)の医療機器を製造販売するレスメド株式会社は、6月29日の日本睡眠学会第49回定期学術集会で「グローバルで注目される女性SAS」と題した共催シンポジウムを開催。女性の睡眠時無呼吸症候群(SAS)をテーマに、基礎と臨床の両面からその理解を深める講演が行なわれました。

■世界中に存在する「隠れ睡眠時無呼吸症候群」

睡眠時無呼吸症候群というと、最も目立つ特徴はいびきです。しかし、女性の場合はいびきを訴える頻度が低く、疲労感や不眠、不安といった様々な症状を示します。また、月経、妊娠、更年期に伴うホルモン変動がさらに睡眠を乱すため、女性は男性と比べて良質な睡眠を得られる日数が少ない傾向にあるとのことです。

多様な症状や「睡眠時無呼吸症候群は太った中年男性の病気」というイメージによって、睡眠時無呼吸症候群の特定に時間がかかっているのが現状なのです。

シンポジウムの冒頭、レスメドでメディカル・アフェアーズ ディレクターを務めるAlison Wimmsさんは、最新の国際研究に基づいて、現行の診療・制度は女性の睡眠時無呼吸症候群に対応するには不十分であると強調しました。

■夜間睡眠の重要性

今回のシンポジウムでは、東京大学の林悠教授が初参加し、レム睡眠のメカニズムに迫る基礎研究の知見を紹介しました。レム睡眠とは、眠っている間にまぶたの下で眼球が動く「急速眼球運動(Rapid Eye Movements)」が起きる睡眠を指します。

シンポジウムの中で林教授は、レム睡眠とノンレム睡眠の役割について解説し、睡眠の質を改善することによって健康寿命が延伸する可能性を示唆しました。

日本人の睡眠習慣について林教授は「日本人は特に夜間の睡眠時間が足りていないので、質の良い夜間の睡眠が重要。日中の仮眠は一時的な体力の回復に繋がるが、夜間の睡眠が深くなりにくくなってしまうので注意してほしい」と語り、夜間睡眠の重要性を強調しました。

■性差を考慮した日本独自の問診票を構築

女性の睡眠時無呼吸症候群は様々な症状を呈し、更年期の症状と間違えられたり、見逃されたりする危険性があるそうです。くわみず病院の院長・池上あずさ先生は、女性特有の症状を踏まえた日本独自のスクリーニングツールの構築に取り組んでいます。

今回のシンポジウムで池上先生は、現在使用されているスクリーニングである「STOP-BANG質問票」と「ベルリン質問票」の結果を比較した上で、より臨床に即しかつ性差を考慮した質問票案を紹介しました。

女性の睡眠時無呼吸症候群について、池上先生は「いびきがある=睡眠時無呼吸症候群ではない」と前置きし、いびき以外の特徴として、朝の頭痛、集中力が続かない、疲労感、高血圧などがみられると説明しました。それを踏まえたうえで「女性が自身の睡眠時無呼吸症候群に気づき、適切な治療を受けることで、日常生活のQOLを上げることができる」と述べました。

■睡眠リテラシー向上へ向けて

今回の講演内容を受けて、シンポジウムで座長を務めた、かごしま高岡病院の院長・髙岡俊夫先生は「昔に比べて、子どもも大人も夜型になっている。睡眠日誌をつけることで、自身の睡眠習慣を把握できる。また、スマートフォンのアプリやトラッキングツールを使用することで少しでも睡眠に関心を持ち、睡眠の大切さを理解してほしい」と睡眠の重要性を強調しました。

【レスメド公式ホームページ】
https://www.resmed.jp/

【睡眠専門情報サイト「レスメド スリープスポット」】
https://sleepspot.resmed.jp/

情報提供元: マガジンサミット
記事名:「 「疲れがとれない…」それSASかも?男性とは違う、女性の「睡眠時無呼吸症候群」の症状とは