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美容業界は、美容室、エステ、鍼灸など多岐にわたる。これらの分野を横断し、メーカー商品の販売拡大を支援しているのが株式会社シンビシンだ。同社は、一部自社開発の商品も扱っているが、商品の仕入れや販売を仲介する役割を果たす商社機能を主軸としている。メーカーからエンドユーザーまでの声に耳を傾け、ニーズに応える形で注力しているのが「ライブコマース」。その取り組みと今後の展望について、代表取締役の宇多淳氏に話を聞いた。
※写真について
代表 佐々木宏志
ライブコマーサー:ぞうねこちゃんねる Kanaさん
ライブコマースとは、動画のライブ配信で商品を紹介し、そのまま販売につなげる新しい手法です。大きな特徴は、視聴者がチャットを通じてリアルタイムで質問できる点にあり、双方向のコミュニケーションが可能です。
「ライブコマースで美容業界を盛り上げよう」というコンセプトを掲げる弊社は、現在約10人のライブコマーサー(配信者)と契約し、積極的に情報発信を行っています。
一般には、ライブコマーサーはインフルエンサーが兼任していると認識されがちですが、実際は異なります。インフルエンサーは個人的なファンを持っていて、ファンがインフルエンサーを見るためにチャンネルを訪れます。一方、ライブコマーサーは視聴者に楽しい時間を提供し、個人ではなくチャンネルのファンを増やす役割を担っているのです。現在、美容業界でライブコマースを活用している企業は1割未満。ライブコマーサーはまだ日本には少なく、今後その需要が高まると予測しています。
例えば、美容サロンでは、スタッフの売り込みや顧客の口コミでサロン専売品を販売することが多いですが、売上数はそれほど多いとは言えません。しかし、ライブコマースを活用すれば、1番組で100個以上の商品を販売することが可能になります。この販売手法は、美容業界にとって見逃せない存在となっているのです。
弊社は在庫処理に悩むメーカーと協力し、商品を仕入れて新しい顧客層へ販売する事業を展開しています。その際、ライブコマースは非常に効果的な手法ですが、現時点では認知度が低く、コマーサーから商品を購入する習慣はまだ定着していません。
この状況を改善するため、コマーサーを支援しながら彼らの経験値を上げ、信頼性やブランディングを確立することが重要だと考えています。また、メーカーと協力して販売戦略を立案し、美容業界のトレンド情報の共有や新商品の監修、広告物や什器の提案など、豊かな知識をもとに多角的なアドバイスも提供しています。
さらに、情報が伝わりにくい個人サロンへの対応も重要視しており、直接サロンに足を運んで売上向上に貢献しています。現在オンライン会議や商談は増えていますが、やはり現場に足を運ぶことも重要です。オンラインでは一応の結論が出たらそこで退出、『その後』がありません。しかし対面すれば、会議や商談の後に雑談をすることがあり、その中で使える情報や新しい知識を得る機会が生まれるのです。
以前、美容業界では新情報がメーカーからのトップダウンで広まっていましたが、現在ではエンドユーザーの情報の方が早いと感じています。例えば、お客様がサロンのスタッフに『この成分を知っているか』『あの動画に登場した商品は扱っているか』と質問します。スタッフはお客様のニーズに応えるため、購入を希望される商品についてディーラーに問い合わせ、それが最終的にメーカーへと伝わる流れができているのです。関係各社にとって、これほど確実で求められている『エンドユーザーの声』はないでしょう。だからこそ、私たちは『足を運んで』情報を集めているのです。
弊社の強みは、美容室、エステ、ライブコマース、ファブリック業界など、多様な物流ラインを持っていることです。また、社員の多くがエステティシャンなどの美容技術に関わる経験を持ち、解剖学や筋肉に関する専門知識も豊富に備えています。美容と健康に関する知見は、大きな財産となっており、今後はこの専門性をさらに活かした活動を展開していきたいと考えております。