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株式会社HIROTSUバイオサイエンスは、線虫による画期的ながん一次スクリーニング検査「N-NOSE」(エヌノーズ)をさらに進化させることに成功したとして、新たな進展を伝えるため記者説明会を9月20日に開催。
当日の記者説明会では、同社の代表取締役・広津崇亮氏が登壇し、N-NOSEの実社会データをはじめ、国立のがんセンターとの共同研究を基にした新製品の進捗状況なども発表した。さらに、様々な社会問題に関してテレビをはじめ各種メディアに科学的見地から解説をしている近畿大学・大貫宏一博士がオンラインで出演し、N-NOSEに関する科学的、客観的な視点で意見を述べた。
線虫によるがん一次スクリーニング検査のN-NOSEは、微量の物質を検知するという能力に関しては機械には真似できない生物の嗅覚を用いて、がんの匂いを高精度に見分ける検査。飼育コストが安価であることから検査費も安く、尿を使うことによって簡便に検査することができる。さらに、尿というのは最終産物なため、全身のがんがわかり、一次スクリーニング検査として有用とされている。
ある検査で陽性だった人のうち、本当にその病気と診断された人の割合を指す「陽性的中率」を説明する中で、広津氏は「解釈には注意が必要」とし、誤った記事や意図的に騙そうとする記事によく登場する言葉でもあると注意を促した。
なぜ、陽性的中率の解釈に注意が必要かというと、理由が二つあり、一つ目は「有病率(ある病気にかかっている人の割合。がんの場合は約0.8%)」によって極端に数値が変わること、二つ目は(その検査だけで診断できない場合は)2次検査の精度も含まれる場合があるため。「見かけの(偽の)」陽性的中率と「真の」陽性的中率があるため、注意して数字を見なければならない。
8月30日~9月1日の期間で開催された「PETサマーセミナー2024 in 高松」にて、実社会データが発表された。これは、229のPET-CT医療施設にアンケート調査し、102施設から回答を得られたもので、N-NOSE高リスク者に対してPET-CTを行い、最終的にがんと診断された人の割合を計測した数値。このセミナーにて、N-NOSE高リスクの「見かけの」陽性的中率は2.09%という実社会データが発表された。
2.09%というのは「見かけの」陽性的中率なので、二次検査に使用するPET-CTの感度(がん患者をがんと診断する確率)で補正をすると、N-NOSE高リスク者の「真の」陽性的中率は11.7%になる。他のがん検査と比較した場合、乳がんは4.8%、子宮頸がんは1.2%、大腸がんは3.1%という数値なので、N-NOSEの「真の」陽性的中率11.7%という数値がいかに高いかがわかる。
広津氏は、「第三者の調査結果により、N-NOSEの実社会における精度が非常に高いことが証明された。臨床研究ではなく、実社会データとして証明できたことに意義がある」とN-NOSEの有用性をアピールした。
また、今回発表された新たなN-NOSEは全24種のがんに対応している。血液がんや小児がんといった9種のがんに新たに対応し、全体の99.4%をカバーする。加えて、次世代技術の開発としてAIを活用した次世代型検査「N-NOSE+AI」を発表。これは、線虫嗅覚行動の大量の画像データをAIによって画像データ解析することで、検査の精度向上とがん種特定を目指すものとなっていて、今後発売されるとのこと。