長崎県長崎市にあり、黒木明子氏が院長を務める「医療法人くろき眼科」。黒木院長は、患者さんとの会話を大切にしており、病気には直接関係のない話も聞くという。なぜなら、患者さんの背景を知り、一人一人に適した治療を提供するためだ。さらに、眼科治療だけでは患者さんの目の不調は改善できないと考え、開業15周年を期に「メディカルサロン Aki5」を開設。身体だけではなく、心のケアにも力を入れている黒木院長に、地域密着型の眼科医療の在り方や今後の展望を聞いた。

大学病院での経験とジレンマ、そして開業へ

私は、教員を続けていた母の背中を見て育ち、学生時代から、自分も責任のある仕事に就きたいと考えていました。医師という職業を選んだのは、口癖のように「医者になりたかった」と言っていた祖母の影響があったかもしれません。眼科医を志したのは、自分の手で手術をして患者さんを直接助けることができる点に魅力を感じたからです。

長崎大学医学部を卒業後、同大学眼科に入局し、大学病院や関連病院で勤務しました。最先端の治療に携わる喜びを感じる一方、毎日数多くの患者さんの治療に対応するのに精一杯で、患者さんの話をじっくり聞くことができないもどかしさを感じていました。その後、ペンシルベニア大学へ留学し、加齢黄斑変性の研究を進め、留学中に第一子、第二子を出産しました。帰国後、病院勤務に復帰しましたが、子育てとの両立が難しく、このままでは自分も家族も壊れてしまうと感じ、開業を決意。2008年に医療法人くろき眼科を開業し、患者さん一人一人に向き合い、地域に根差した医療を提供しはじめました。

治療を続けるなかで、検査や診察だけでは見えてこない、患者さん一人一人の背景を知ることが大切だと改めて思いました。家庭環境や生活環境、抱えておられる不安などを考慮しながら、最適な治療方針を立てることを心がけています。何気ない会話の中からは、治療だけでは解決できない悩みも見えてきます。そうした経験が、後の「メディカルサロン Aki5」の開設につながっていきました。

心と体の健康をサポートする「メディカルサロン Aki5」

長年の診療経験を通じて、「目が痛い」「見えにくい」「辛くて目を開けられない」といった症状で受診される方のなかには、目の病気ではない方もたくさんいらっしゃることを痛感しました。

そのような目の不調の原因は、疲労や肩こり、ストレスなどであることが私にはわかりますが、眼科でそれを治療することはできません。「目に異常はないです」とお帰りいただくのが申し訳なく、何かして差し上げられないかという気持ちが高まっていきました。「病は気から」といいますが、眼科疾患を抱える患者さんのなかにも、心の状態が悪いために病気を悪化させている方もいらっしゃいます。「そういう方の手助けもしたい」そんな思いから、開業15周年を迎えた2023年という節目の年に「メディカルサロン Aki5」をオープンしました。まずは、ヒマラヤンオイルを使用したヘッドケアからボディケアを提供し、心身の緊張をほぐすことから始めました。開設から半年以上経ち、患者さんが「すっきりした」「痛みが取れた」と言ってくださり、リピートしてくださる方も増えてきて手応えを感じています。2024年3月からは、音振動周波数療法(サイマケア)も導入しました。

人の体はさまざまな周波数を発しており、ストレスなどで乱れた周波数を整えることで、自律神経のバランスを整え、心身の状態を改善へと導きます。これまでの眼科治療と併用することで、治療効果を高めることができると期待しています。将来的には、現代医療の限界を超える新たな選択肢の一つとして発展させていければと考えています。

地域のかかりつけ医として、笑顔あふれる施設を目指して

当院では、一般的な眼科疾患から専門性の高い治療まで、幅広く対応しています。最新の医療機器を導入し、白内障や翼状片の日帰り手術にも力を入れています。さらに治療体制を強化するために、手術を担当する先生を外部から迎え、体制を整えました。<開業当初から、患者さんとの会話を大切にし、それぞれの患者さんにどのような治療が最適なのかを見極めてきました。確実で誠実な診療とわかりやすい説明により、患者さんの不安を少しでも和らげることも心掛けています。今後はスタッフのさらなる増員を図り、より多くの患者さんのお役に立てるよう努めていきます。

また、近年特に気をつけているのが、子どもの近視予防です。外遊びの減少、スマートフォンの普及などにより、近視の子どもの数が急増しており、将来的な緑内障などの眼疾患リスクも懸念されます。また、精神的なストレスから、見えにくさや目の痛みなどの不定愁訴を抱えているお子さんも多いため、お子さんたちのストレスケアにも力を入れていきたいと思います。

開業から16年、地域に根差した眼科クリニックとして、患者さんが安心して相談でき、笑顔で帰っていただけるような施設であり続けることが、私の変わらない目標です。日進月歩で進む眼科医療の世界にあって、最新の医療技術を積極的に取り入れながら、患者さん一人一人に寄り添った医療を実現し、医療ではカバーしきれない心身のケアも提供していく。その思いを胸に、スタッフ一同、これからも精進してまいります。

院長:黒木 明子(Akiko KUROKI)

私たちは皆様の不安を少しでも和らげることができるように、最新の医療機器を用い、確実で誠実な診療と
分かりやすい説明を心がけています。コミュニケーションを大切にし、おひとりお一人に寄り添った診療ができるように努力してまいります。お気軽にご相談ください。スタッフ一同お待ちしております。長崎大学医学部卒業長崎大学眼科入局後、同大学附属病院および関連病院勤務ペンシルベニア大学留学日本眼科学会専門医医学博士
くろき眼科
HP:https://kuroki.main.jp

情報提供元: マガジンサミット
記事名:「 患者さんの心身の健康を守り、笑顔をつくる 地域密着型の眼科医療