ADKグループは2月23日、若者と一緒に若者を研究し若者を動かすためのアイデアを開発する若者マーケッター集団「ADK若者スタジオ(以下、ワカスタ)」によるマーケティングアイデアコンテスト「ワカスタビジコン2023」を開催しました。全国の大学生・大学院生による参加155チーム・517名の頂点が決定した決勝大会の模様をリポートします。

「ワカスタビジコン2023」では、全国155チーム・517名の中から、審査によって選ばれた6チーム×3テーマが決勝大会に進出。参画企業のカゴメ、東京メトロ、JCBからそれぞれ課題が出され、各チームがプレゼンテーションを展開しました。

「若者が気軽に野菜を食べられる環境にするための仕掛け」という課題が出されたカゴメ部門では、ラッテ(中央大学、明治大学、金城学院大学)の波多野鈴夏さん、森崎成海さん、小池梨紗子さんによる野菜で作られた“食べるコスメ”「PAKKUN」が優秀賞に選ばれました。

「PAKKUN」は野菜の成分によって作られた唇パックで、乾いた唇に貼って唇の保湿ができる上に、使い終わった後はそのまま食べることができるというもの。会場に訪れた人たちの投票によって決まる「オーディエンス賞」も受賞し、審査員だけではなく、ビジコンに関わる学生たちからも高い評価を集めました。

カゴメは「まず、我々にはない女子大生ならではの発想力に驚かされました。野菜摂取を義務ではなく、日常を彩る+αの存在として『野菜ってカッコいい』『可愛い』と、ポジティブに捉えてもらうという着眼点がとても良かったです。しかも、思いつきではなく、SNSでの情報収集や試作などちゃんと裏取りもできている。実際に(『PAKKUN』を)作っていただいたのもすごいと思いました。野菜の色も、ひとつの価値なんですね。商品化はカゴメだけの力では難しいかもしれませんが、お付き合いのある会社と協力すれば実現できるかもしれません」とコメントしています。

「ワカモノの中で『メトポ』を流行らせるような仕掛け」という課題が出された東京メトロ部門では、SEAGIRLS(早稲田大学)の田村柚乃さん、富井かん菜さんによるLINE公式アカウント「東京メトロ社員 メト郎」が優秀賞に。

同チームは、今回の課題である「メトポ(=PASMOで定期券区間外の東京メトロ線に乗車すると、乗車日数や回数等に応じてポイントを進呈するサービス)」について、「ワカモノは、ポイントでは動かない」と分析。その上で「とりあえず渋谷」になりがちな若者の遊ぶ場所に着目し、「メト郎」というおじさんのキャラクターが180の駅の中からおすすめの場所を教えてくれる&チャット内で「メトポ」の登録も促してくれるLINE公式アカウントを提案しました。

東京メトロは「我々の視点では気付くことができない大学生の行動パターンを踏まえ、リーチから拡散までとても具体的に説明してくれました。我々だと『大学生』というセグメント以上の細分化はなかなかイメージが難しいですが、皆さんはターゲットを大学4年生に絞り、ペルソナもしっかり設定できていました。あえて抽象的な課題を出したのですが、ちゃんと『メトポ』の登録に比重を置いてもらえて、中長期的に東京のいろんな街の魅力を拡散してもらえるというところで、我々の目指す乗車促進のイメージに沿った企画内容でした」とコメントしました。

「ワカモノに『初めてクレジットカードを作るならJCBブランド』と思ってもらえる仕掛け」という課題が出されたJCB部門では、底面積×高さ×3分の1(東洋大学、高崎経済大学、聖心女子大学大学院)の工藤怜さん、日影舘優歌さん、安藤穂乃佳さんによるSNSアプリ「JCB Memory」が優秀賞に選出されました。

「JCB Memory」は、JCBカードで決済を行うと5秒後に撮影画面が起動し、購入したものやそれにまつわるものを撮影。その写真が購入したものの金額とともに、半強制的にアプリ上でつながっている友達に共有されるというもの。あえて半強制的に公開することで「限界大学生(=充実した大学生活を自虐風にアピール)」「匂わせ(=異性と遊んでいることを写真でアピール)」などに代表される「自ら発信するのは恥ずかしいけど、本当は見せたい」という学生の心理を突き、ブームを起こせると解説されました。

JCBは「利用者を増やす施策を考えるとき、どうしても我々は利得性に走りがちですが、本日ご提案いただいた6チームは皆、利得性よりもコミュニティや付加価値を提供する方向で企画を作ってくれました。それは我々にとって良い気付きになりましたし、そういう意味では全チームにそれぞれ素晴らしい点がありました。JCBは多くの会員様や加盟店様にお使いいただいており、そのなかで発生するビッグデータをお客様のためにどう活かしていくか、会社としても真剣に考えています。審査の決め手になったのは、今回の『ワカモノに初めてクレジットカード作ってもらう仕掛け』というテーマに、ダイレクトに沿っているというところです。大学生の入会動機や、提案する時期など、細かい整備もしっかりなされていました。マッチング機能の組み立ては、簡単にはできないかもしれませんが、トライしてみたいと思わされた提案でした」とコメントしています。

また、コンテストの実施に伴い、参加者の現役学生を対象にインターンシップの経験や仕事を選ぶ際に重視していること、就活に対するスタンス、希望の勤務スタイル、最近のCMや広告について思うことなどについてアンケート調査を実施。仕事・企業選びで重視することとして、1位が「やりがい」(29.6%)、2位が「業務内容」(22.0%)、3位が「人間関係」(10.8%)になるなど、イマドキ学生の本音が浮き彫りになっています。

【ワカスタビジコン公式サイト】

https://wakasuta.com/bizcon/

情報提供元: マガジンサミット
記事名:「 学生が「食べる唇パック」など考案!若者による若者向けマーケティング「ワカスタビジコン」開催