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・男性育児休業取得率
・女性管理職比率
この他、すでに過去に記載が義務化されていた項目である平均年齢、 平均勤続年数、平均年間給与、女性役員比率も明らかになりました。
また人材育成方針や社内環境整備方針においては、次の項目など任意での開示が期待されています。
●任意開示が期待される代表的な項目
・人材育成・人材開発の項目
従業員1人あたり平均研修時間・研修費
・育児休業取得率関連の項目
全体もしくは女性の育児休業取得率(義務化された男性のもの以外)
最も気になるのは、給与のことではないでしょうか。上場企業の平均年間給与はどうなっているか、カオナビが調査(※)した上場企業約2,300社における集計結果を見てみましょう。
●平均年間給与
平均値は658万円、中央値は631万円で大きな偏りはないものの、1,200万円以上の企業が約2%存在し、平均値を若干押し上げているようです。
特に東証プライムや従業員数3,001人以上の企業といったいわゆる大企業において平均年間給与が高めであり、各社平均700万円台となりました。
業種では建設業、金融・保険業などが特に高めの傾向が出ていました。
賃金の男女差はどのくらいなのでしょうか。
男女の賃金の差異の情報も、今回で初めて開示が義務化された項目の一つです。「常時雇用する労働者が301人以上の事業主」は公表・有報記載義務あり、「常時雇用する労働者が101人以上300人以下の事業主」は公表項目として選択している場合に有報記載義務あり、「常時雇用する労働者が100人以下の事業主」は公表が努力義務、有報記載も任意となります。
計算式は「女性の平均年間賃金÷男性の平均年間賃金×100」です。数値が大きいほど、男女の賃金の差異は小さいことになります。
全労働者の結果を見てみると、平均値・中央値が「60%台後半」となり、「60%台」が3割強、「70%台」が3割程度で多数を占めています。しかし「100%以上」、つまり男女の賃金が同じ、もしくは女性のほうが高い企業は数社しかありませんでした。
今回初めて開示が義務化された項目の一つ、男性の育児休業等取得率(男性育休取得率)についてはどのような結果となったのでしょうか。
「常時雇用する労働者が1001人以上の事業主」は公表・有報記載義務があり、「常時雇用する労働者が101人以上1000人以下の事業主」は公表項目として選択している場合に有報記載義務あり、「常時雇用する労働者が100人以下の事業主」は公表が努力義務、有報記載も任意となります。
算出方法はいくつかありますが、多くの企業が選択していた「育児目的休暇を含まない算出方法」における男性育休取得率の結果を見ていきましょう。
「40%前後」が平均値・中央値で、 「20%台」が最頻値。「0%」も「100%以上」も1割程度あり、比較的ばらついていました。
取得率は低めの印象があります。
その他、カオナビHRテクノロジー総研の分析によると、次の特徴が見られたといいます。
●金融・保険業は、男女の賃金の差異が大きいが、男性育休取得率は高め。
●従業員数が多いほど、男性育休取得率は高いが、女性管理職比率は低い結果。
人的資本の開示義務化により、これまで見えていなかった上場企業のさまざまな傾向が見えてきました。経営層としては、他の企業の開示内容を分析し、自社と比較しながら、人的資本経営の戦略を練っていく必要があります。
カオナビは企業向けに2023年3月期決算・上場企業の人的資本に関連する情報を収集し、一覧化した結果をもとに新サービス「人的資本データnavi β版」として、2023年11月28日よりリリースしました。
企業はこのサービスを活用することで、各社の女性管理職比率や男性の育児休業取得率、男女間賃金格差などの 数値を棒グラフや一覧で確認できます。また、従業員数別・業種別・エリア別に絞り込めるため、人的資本経営のKPI(目標値)を設定する際など、参考にできるそうです。
今後、さらに開示が続いていくことで非上場企業も含めて日本企業の経営に変化が起きるかもしれません。