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今回は、興味深い切り口で支援する2社の部活動の地域移行の例をご紹介します。
KNT-CTのグループ会社である近畿日本ツーリスト株式会社は、「PTA業務アウトソーシング」などの学校サポート事業を展開していますが、2023年度からは新たに「部活動サポートサービス」を開始することを発表しました。
専門知識を持った協業各社が活動内容を計画し、オンラインツールを活用した指導を行います。
2023年2月1日現在のラインナップは次のようになっています。
・「eスポーツ部」 提供:株式会社 NTTe-Sports
・「ダンス部」 提供:エイベックス・マネジメント株式会社
その他、吹奏楽部、美術部、バスケットボール部、バトミントン部など
近畿日本ツーリスト株式会社 教育旅行事業部の宮崎敏行さんにお話をうかがいました。
―オンライン部活は従来の部活動と比べてどのような点にメリットや魅力がありますか?
「全国すべての地域に専門的な指導・部活動を届けられる点が、一番のメリットです。地域移行は、地域に先生の代わりに部活動を任せられる指導者がいなければ進みません。オンライン部活は地域に指導者がいなくとも、また離島や山間部などでも部活動を提供できます。専門的な指導を求める生徒の需要と、社会課題となる先生の働き方改革の問題を解消できるサービスとなっています」
体験した生徒の声を教えてもらいました。
eスポーツ部、ダンス部、バスケットボール部共通
『普段リアルで行っている部活動と変わらない部活動ができてよかった』
バスケットボール部
『オンラインでの指導だったが、コーチからの動きの指示や指導は理解しやすかった』
今年10月には実証事業の一環として沖縄県・渡嘉敷村の渡嘉敷中学校でバスケットボール部のオンライン指導を実施しました。
沖縄スポーツアカデミー株式会社協力の下、バスケットボール部におけるオンラインでの指導者派遣及び科学の知見に基づいたトレーニングプログラムを提供。当日は、オンラインでドリブル・パス・シュートの基本個人技術を中心に指導が行われました。
参加した生徒は次のような感想を述べていたそうです。
『うちの中学は部活がバトミントン部しかないが、オンラインでの部活を行えればもっといろいろな部活を選択でき、高校に進学しても続けていけると思う。来年入ってくる新1年生に対しても、バトミントン部だけではなく、部活の選択ができる環境があったほうが良い』
―今後、改善したい点などありましたらお教えください。
「遠隔指導を行うソリューションとしては基本的にNTT東日本の『リモートインストラクション』を利用していますが、今後はさらに双方に時差のない最新のソリューションを採用し、オンラインであっても、よりリアルに近い環境で部活動を提供できるようにしていきたいと考えております」
今後、部活動の種類が増え、さらにオンライン部活の利便性やコミュニケーション性が向上すれば、より地域の部活動も充実していきそうですね。
東京都渋谷区は全国に先駆け、「シブヤ『部活動改革』プロジェクト」を立ち上げ、地域単位でスポーツ・文化活動を楽しめる組織として2021年10月に一般社団法人渋谷ユナイテッドを設立。
その一環として実施されている「デジタルクリエイティブ部」では、IT企業の株式会社MIXI(ミクシィ)がコンテンツ提供や講師派遣などの支援を年間を通して行っています。
テキストプログラミングやグラフィックデザインの講座のほか、AIやセキュリティ、サウンドデザインなどのクリエイティブスキルを学べるコンテンツを提供。
プログラミング言語「Python」でゲームを作ったり、会話AIロボット「Romi」との会話をプログラミングしたりと中学生たちが楽しみながら参加できる内容になっています。
株式会社MIXI 開発本部 CTO室 田那辺 輝さんにお話を伺いました。
―デジタルクリエイティブ部は従来の中学校の部活動と比べてどのような点にメリットや魅力がありますか?
「渋谷ユナイテッドが実施する部活動と私たちデジタルクリエイティブ部では、それぞれ渋谷区内の団体や企業が協力して指導を行っているため、専門性の高い体験やカリキュラムが提供されています。デジタルクリエイティブ部では『プログラミング』『AI/テクノロジー』『デザイン』の3つの分野で、当社が独自に開発したコンテンツを用意しており、現役エンジニアやデザイナーの講師から直接学べることが魅力の一つです。
また、活動場所はすべて当社のオフィスで行われ、会社の雰囲気などを感じてもらうこともできるため、将来のキャリアを考えるきっかけにもなると考えています」
―講師を務めた率直な感想を聞かせてください。
「我々が得意とするIT領域で社会貢献活動をし、渋谷にオフィスを構える企業として地域とのつながりを持てていることを嬉しく思っております。学生のみなさんが普段は体験できないような学びを得られる場となっていることを講師として間近で見られる点にも、非常にやりがいを感じております。学生ならではの吸収力の高さや柔軟性については、私たちにとっても良い刺激になっていますし、中学生のITリテラシーの高さには驚かされることも多々あります」
デジタルクリエイティブ部に参加した生徒たちからは次のような声が挙がっているそうです。
『自分が作ったプログラムが動くとすごく嬉しくて楽しいので、むずかしい内容もあるけど、ぜひ続けていきたい』
『最初はデザインってむずかしそうだしあまり面白くなさそうと思ったけれど、自分で考えて作るといろいろなことができて面白かった』
(昨年度に同社が実施したアンケート結果より)
「みなさん、部活動を通して楽しみながら学びを深めていることがわかりました。今年度から初めて参加する学生についても、隣の席同士で互いに教え合う姿なども見られ、学生間での交流も発展している様子があり、部活動としての一体感も醸成されているように感じます」(田那辺さん)
―今後、改善したい点などありましたらお教えください。
「デジタルクリエイティブ部ではパソコンを活用しながら自由な発想力を伸ばしてもらいたいと考えています。今後は学生には自主性を持ってもらいつつ、より深く学習したいと積極的に思ってもらえるコンテンツを提供していく予定です。また、将来的にデジタル分野で活躍できる人材となってもらえるよう、引き続き、当社リソースを活用した幅広いIT教育支援を実施してまいります」
どちらも企業が支援するこれまでにない貴重な部活動ですね。教師の負担を軽減するだけでなく、中学生にとっての部活動の価値も上がることに期待が高まります。
【取材協力】
近畿日本ツーリスト「部活動サポートサービス」
(https://gtc.knt.co.jp/clubsupport/)
MIXI「当社が支援する渋谷区部活動「デジタルクリエイティブ部」でPythonプログラミングの授業(全3回)を実施しました」
(https://mixi.co.jp/sustainability/report/2023/0725/23601/)