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今回、「エシカルフード」の中でも未利用資源に目を向けた商品開発・啓発について取り組む「未利用魚活用プラットフォーム」を通じ、愛媛県八幡浜・千葉県船橋の漁業関係者やメーカーとタッグを組み、未利用魚の「アイゴ」「コノシロ」を活用した2つの商品を開発した。
これは、漁業で課題を抱える地域と流通のマッチングを行い、その地でとれる未利用魚を使って商品づくりを行うプロジェクトだ。商品開発にはエシカルな食に対して関心が高いなどビッグデータから分析した中で選ばれたT会員の一般の方にも生活者代表として参加してもらい、食に関わる様々な立場の方を一同に介して作り上げた。
日本が誇る一次産業の中でも中々厳しい状況に直面する漁業と、漁業を生業にする地域を含めた食の持続可能性を模索した新しい商品づくりとなっている。
なぜ今回、活用したのが「未利用魚」かというと世界的食糧難とタンパク質不足に対して島国で恵まれた漁場を持つ日本で頼るべきは魚介類だったからだ。そして獲ったのに捨てられてしまう魚を活用するのがいいという結論に至った。 2023年7月5日(水)より販売開始になったのは下記2アイテム。
■愛媛県八幡浜チームの「アイゴあふれるオイル漬け」 全国17店舗の「信濃屋」で販売(六本木ヒルズ店先行発売。7月中旬以降より全店展開)
■千葉県船橋チームの「コノシロやわらか煮」 全国49店舗の「こだわりや」・オンラインショップで販売
今回、開発チームも発表会にかけつけた。
先ず、愛媛県八幡浜だが、主力であった漁業は資源量の減少と共に衰退しつつあるため、このままではいけないと、今回、このプロジェクトに賛同する運びになったそう。
未利用魚の「アイゴ」だが、太く鋭い棘があり、毒腺を持っていて食用の処理が難しいことが原因で捨てられるなどほとんど食用になっていなかった。
そこでTカードのデータを活用し、購買者ターゲットのペルソナを作成。それに見合ったワインに合うプレミアムなオイル系おつまみとして活用されることになった。
八幡浜産のアイゴと温州みかんの皮に愛媛の大州産の醤油を使用していて、バケットやピザ、サラダ、豆腐などに合わせて楽しめる一品だ。
続いて千葉県船橋については実は水揚げ量、日本一の魚が2種(スズキ、コノシロ)あるものの、あまり知られていない。資源やマンパワーが減少している中、100年後も漁業を続けていくことを考えてこのプロジェクトに参加したと言う。
今回、使用した未利用魚「コノシロ」は幼魚のうちはシンコ、成長してコハダとして江戸前寿司の代表的なネタで高値で取引されるが、生魚になると小骨が口にさわりやすく、加工に手間がかかるため、値がつかない。また独特の「ドット柄」が好みではないという人もいる。
今回、チームに参加した加工業者により骨も丸ごと食べられ、常温で扱える商品として誕生した。こだわりの調味料が使用され、このまま食卓に出せるのも忙しい人の味方になる。食事のメインとして、お酒のおつまみとしても食べられる商品だ。
このように課題の解決に踏み出した「未利用魚活用プラットフォーム」。これをスタートに漁業の課題の解決の一歩となり、エシカルを考えた「持続可能な食」への取り組みが広がるかもしれない。