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ドクター・ドゥームを演じるのは、数々のアニメやゲーム作品はもちろん、ナレーションやラジオパーソナリティ、海外映画の吹き替えなど幅広く活躍する声優の子安武人さん。自身でもよく聴くという音声コンテンツで、どんなふうにドゥームを演じたのかお話を訊いた。
――出演のオファーが届いた際の心境はどうでしたか?
「何を言っているんだこの企画……?」ってなりました。何度も「吹き替えだよね?」って確認したぐらい。私の想像したことがないものを提示されたので驚きましたよ。
例えば、ラジオドラマに画を付けろっていうのは、それは無理だよってなるのが当然じゃないですか。テレビ番組なのに声だけしか聞けませんって言われたらテレビの意味がないというのと一緒なんです。
それから色々勉強をしていって、新しいジャンルと言いますか、開拓していくということなのかなとようやく合点がいって「面白いじゃないの」と思いました。
――本作はヴィランが支配している世界が舞台です。子安さんから見た本作の魅力について教えてください。
聴いている側のイマジネーションの世界ですよね。BGMがあったり、SEがあったり、自分の頭のなかで世界を構築していく。自分なりのストーリーや感覚を頭の中でカメラを動かしながら、千差万別の場面を描くのがきっと楽しいだろうなって思いますね。
――本作ではドゥームを演じられていますが、子安さんにピッタリだと思いました。
オファーを貰ったときは、すごく人気のあるキャラクターで、悪い人だけど共感を持てる役であることを前提に演じてほしいと仰っていただいて「そんないい役を演じさせていただけるんだ」と思いました。とても光栄ですし、軽い気持ちで演じるわけにはいかないぐらいのキャラクターです。
しかも『スターロード』では、ドゥームも歳を重ねているんですよ。みなさんがイメージしているドゥームではないので、そこを上手く演じなければならない。イメージに合わせること自体が難しいのに、さらにそこから歳を重ねてまた別のイメージとなると、相当考えることが多かったですね。
でも、ご年配の役者さんもいるなかで、僕にオファーするぐらいだから、そこまでおじいちゃんではないだろうなって。老成的なものと若干の活力みたいなところでお芝居をしてほしいんじゃないかなと模索しながら吹き替えさせていただきました。
――具体的にどんなところに気をつけましたか?
映像があれば読み取れる情報ってあるんですよ。どういう立ち位置で喋っているのか、どういう想いで喋っているのか。目から得られる情報ってたくさんあるんですけど『スターロード』は音だけなんですよね。
音だけなのに、自分で距離感や表情を想像して演じなければいけない。厳密に言えばその距離感や表情が、合っているかどうかの話しまで持っていかなくてもよくて、画がないのであれば敢えて合わせなくていいってことなんです。
日本語吹き替えとしてのお芝居をある程度演じられていれば、画がない分、お芝居を構築していくうえでの表現の幅はあるんです。画がないならないで、ある種の開き直りと言いますか、真剣に悩まずに吹き替えに挑戦しました。
――画があればそれに合わせなければいけないけど、画がないのであれば逆に合わせない部分もあると。
もちろん吹き替えなので、ここまでに終わらせなければいけないって尺はあるんです。自分はもう少したっぷり間を入れたいけど、それができないのが音声コンテンツの吹き替えなんですよね。
あくまでも原作(英語版)の役者さんがお芝居をしているので、なるべくそのままのリズムで読むことが大事。息継ぎとかも全部合わせなければ基本的にはいけない成約があるんですよね。この作業はオーディオドラマと違って、やっぱり吹き替えなんです。
――「Marvel’s・ウェイストランダーズ」は、Audibleで独占配信されます。音声コンテンツは今後も広がっていきそうでしょうか?
実は音声コンテンツ自体は昔からあるんです。レコードっていう時代からカセットブックがあってドラマCDがあるっていう、永遠と続いている文化といえば文化なんです。脈々と受け継がれてきたものの新しいカタチが、Audibleっていう新しい媒体なんだと思います。
すでにある程度は音声コンテンツが好きなユーザーは既にいるんですよ。なので、今さらドカンと流行るわけではなく、Audibleによって新しい人達がどれだけ入ってくるんだろうなっていう未来は期待してしまいますよね。僕自身、イマジネーションのなかで世界を広げていくのがすごく好きなので、このジャンルはどんどん大きくなっていってほしいなって思っています。
【あらすじ】
「Marvel’s・ウェイストランダーズ:スターロード」の舞台は、悪役のヴィランが勝利した世界。マーベル・ユニバースとはまた別の未来のお話。ドクター・ドゥームが荒地を乗っ取り、無法者のゴーストライダーや血に飢えたハンターのクレイブンなど、世界中のスーパーヴィランが支配権を握ってから30年。栄光の時代よりもお腹が出て、性格も歪んでしまったピーター・クイルとロケット・ラクーンは、不時着した地球がかつての姿とは違うことに気がつく――
「Marvel’s・ウェイストランダーズ:スターロード」は全10話で構成されており、6月28日からすべてのAudible会員が聴き放題で利用できるようになる予定です。
https://www.audible.co.jp/ep/marvel-wastelanders