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「ゲーム採用では、当社の社員が参加したオンラインゲームで、たまたま一緒のチームになった人に話しかけて仲良くなり、エンジニアだったら『会社説明させてよ!』と誘ったり、『SNSでゲームしよー』と呼び掛けて、最初からエンジニアと分かっている上で一緒に遊んだりしています。
ゲームもどんなタイプなのかはすぐに分かります。時間どおりに集まれるか、他のプレイヤーのフォローに徹するタイプか、突っ込んでいくタイプかなど、一緒に働いたときの姿が如実に出てきますね。
麻雀、ダーツ、ビリヤードも同じような理由で遊びながら選考するイメージです。麻雀牌の打ち方、店員への飲み物の頼み方、ダーツでの隣の台の方への配慮、ビリヤードでのマナー、例えばビリヤード台に飲み物を置かない、ラシャを傷付けないようにする、チョークの置き方など、遊んでいるからこそ気を抜いているので素が出てきますので、観察する良い機会になります」
―なぜこのような面白い採用方法を複数行われているのでしょうか。
「面白いように見えて、実は見るべき部分を見るためには、長い時間を一緒に過ごすことだと考えているからです。一気に時間を詰めるにはお酒を飲んだり、カラオケを歌ったり、キャンプをしたり、その人の好きなことを一緒にやってみることだと考えています。
また複数、色々な方法を行っているのは、応募者の趣味嗜好に合わせることが大事だと考えているからです。世の中には、さまざまな趣味嗜好の方がいますので、同じことばかりにならないようにしています」
―「人物採用」を重視しているようですが、どうしてなのでしょうか?
「人物が良ければ、教育で育つ可能性が非常に高くなります。また教える側も気持ちよく教えることができます。そもそも人物面と言っても『良い人』だけではなく、前述のような細かい振る舞いなどの面をかなり見ているので、『育ちの良さ』のようなものを見ているのかもしれません。育ちの良い人は得てして学力、知力も高いように感じています。学力や知力の面よりも、本来、人物面こそ、人事で見抜くべきところなのではないでしょうか」
―応募者の反応や声を教えてください。
「『こんなに素を出して話せたことはないです!』と言ってもらえることもあり、一定以上の信頼の構築にもつながっているようです。見抜くと共に、会社としての姿勢も見せているつもりです。採用は一期一会なので、お互い腹を割って話せたら良いなと思っています」
一方で、応募するには5つの資格取得が条件となるのだそう。それは基本情報技術者、Java Silver、Oracle Silver、LPIC L1、UMTP L1。さすが、プログラマー集団だけあって、技術は当たり前に求められます。高度な技術を持ちながら人物面に自信があるなら、ぜひ応募してみましょう。
システム開発会社のトラストリングでは、就活を楽しみながら行ってもらいたいという想いから、人気会話型推理ゲーム「人狼」を採用しています。
人狼ゲームとは、「村人」と「人狼」のチームに分かれて会話をしながら戦う昔からあるゲームです。
この人狼ゲームで採用を行うわけですが、参加時は「スーツ着用禁止」「1日入社体験(時給1,200円+交通費支給+昼食付)」「面接は1回だけ」などのルールもあります。
どうして人狼採用を行っているのでしょうか? 同社の広報担当、浦亜望さんにご回答いただきました。
「人狼ゲームを採用活動に取り入れたきっかけは、“学生の皆さんと楽しくお話しをして相互理解したい”と思ったからです。
人狼採用を始める前、社内で何度か人狼ゲームをしたことがありました。いつもクールな方が意外に取り乱して早く『処刑』されたり、いつも明るい方が冷静に戦略を立ててゲームをこなしてくところを見たりして、いつもと違った一面を効率よく見られたのです。また、何よりみんな笑顔で楽しそうだったので気軽にコミュニケーションを取ることができ、知らなかった一面も知ることができる良いツールに感じました。
説明会では、最初緊張していた学生もゲームという共通認識があるので、積極的に質問をしてくれて、ワイワイ楽しみながらお互いの理解を深めています」
―スーツ着用禁止の理由を教えてください。
「自分の個性を出して欲しいと思っているので、服装は自由としています。そのためユニフォームや白タイツ、コスプレなんでもありとしています」
―応募者の反応や声を教えてください。
「就活のストレスが和らいで、参加して本当に良かったです」
「終始和やかな雰囲気で、とても楽しくおしゃべりできました。社員の方と距離も近くて良い経験になりました。明日の面接でも頑張れそうです」
「人狼ゲームは、お話するだけでなく相手の表情や仕草など細かいところまで注意深く見ていくので、説明会に取り入れている点にすごくいいアイデアだと感じました」
とても楽しそうな採用機会ですね。ちなみに職種はプログラマー、WEBデザイナー、広報、事務などの業務があり、適正を見て判断するそうです。
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どちらの会社も面白い採用手法を用いていますが、実は普通の面接よりも人となりが見られていたとは驚き! こんな会社に入社できたなら、毎日楽しく働けそうですね。
【取材協力】
メイプルシステムズ(https://www.maplesystems.co.jp/)
トラストリング(https://trustring.jp/)