日本食品海外プロモーションセンター(JFOODO)は、政府が掲げる「農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略」に基づき、海外における輸出重点品目の現地消費者向けプロモーションに加え、海外における現地ニーズの市場調査・分析・公表の取り組みを強化している。

現在、日本の農林水産物・食品の輸出は好調で前年比14.3%の伸びを見せている。日本の食や食材が世界中で人気だ。更に、日本のメインカルチャーの一つと言えばアニメである。この度、日本の「食」に、日本の「アニメコンテンツ」という2つの資産を組み合わせる取り組みが、農林水産物・食品の輸出促進に寄与するのか、その可能性を探る調査をJFOODOは初の取り組みとして、米国ロサンゼルスとフランスパリで実施した。

調査はターゲットエリアにおける「食」「アニメ」双方への知見に精通した現地の専門家を対象にインタビュー。この調査の目的としては今後の食・アニメコラボ市場を起点とした市場形成余地や事業機会を見出すとともに、「食」への輸出拡大への寄与に留めず、「アニメ」輸出拡大という双方産業の拡大にお帰る相乗的な寄与をはかっていきたいというものだ。

調査結果報告会では日本食品海外プロモーションセンター(JFOODO)執行役の北川 浩伸氏と一般社団法人アニメジャパン 副理事長で株式会社アニプレックス 元代表取締役社長の夏目 公一朗氏が登場して「日本のアニメコンテンツは日本の食のグローバル化にどう貢献するか」などのテーマでトークセッションが行われた。

北川氏は調査結果により、「食×アニメコンテンツ」のコラボレーションはターゲット層や流通も異なるので、ぼんやりした感じではなくしっかりと戦略を練って進めるべきだと感じたと話す。

また、夏目氏はアニメカルチャーについて次のように話した。ターゲット層と言うと、昔はアニメファンはニッチでポケモンやドラゴンボールが世界的にヒットしたことにより世界での日本のアニメカルチャーの認知度がグッと上がった。一時は自国の経済のダメージにもなると各国の規制も入り、日本のアニメが海外で見られなくなってしまったこともあったが、2010年くらいからNetflixなどのサブスクの配信サービスが始まって、世界でよりアニメが受け入れられるようになった。

更には世界同時配信が行えることで、世界的なマーケティングが実施でき、一気にアニメファンが拡大した。コロナ禍の自宅時間の増加でアニメを見る機会も増え、最近ではリアルイベントにくるファン層も変わってきている。昔はファン層にはおたくと言われる人も多かったが、近年では一般的な人もアニメファンとなり様々なアニメに触れるなど、多くの人に受け入れられる日本のメインカルチャーに進化した。また、海外では日本に比べて単行本もよく売れる傾向があると語った。

それに対して北川氏は「食」についても似ている。最近では海外の日本食レストランには日本人ではなく、ローカルの人が主に利用するようになるくらい日本食は世界中の人々に大人気だ。これは日本の食もメインカルチャーになってきているということだ。また漫画の単行本も手に取れるリアルなものという点で食もリアルでしか提供できないので、ここにも類似点があると感じたと話した。

例えば世界的に人気のアニメ「NARUTO(ナルト)」ではラーメンを食べるシーンが多く取り入れられていたこともあり、世界のラーメンブームに貢献したのではないかと夏目氏は言う。

それに対して、北川氏はラーメンなどの食がアニメの影響を受けるのなら、調理、レシピ、道具などもアニメを通して広げられる可能性が出てきて地域経済への貢献も考えられると意見を述べた。

このように「食×アニメコンテンツ」の可能性がいろいろと話されたが、実際にどうしたらいいのか?という問いに対して、夏目氏も戦略的に行っていく必要があると言う。というのも、調査結果では食材に日本のアニメをつけて売りたいと思ったものの、ライセンスの窓口がわからなかったと言及する人もいた。日本サイドとしてはビジネスチャンスにも関わらず、窓口がきちんとされてないため届かないこともあるのだ。そのため、仕組みづくりも大切だと話した。

北川氏も地域によって戦略は変わってくると思う。今回は欧米のみの調査で東南アジアのリサーチはできていないので、今後は調査範囲も広げていきたいと語った。

このように、世界中に愛される日本の「食」と「アニメコンテンツ」のコラボレーション、戦略的な実施により今後の日本文化がより認知され進出していく可能性が大きく広がるかもしれない。

情報提供元: マガジンサミット
記事名:「 世界中に愛されている日本のメインカルチャーを組み合わせたらどうなるのか?日本の「食×アニメコンテンツ」の可能性について海外で調査を実施