イベント会場、建設現場、災害時など、幅広いシーンで利用されている仮設トイレ。生活に欠かせない重要なものではあるが、快適さは二の次で、「臭い」、「汚い」などネガティブなイメージが付きまとう。それを覆すために日夜努力をしているのが、株式会社ビー・エス・ケイだ。「利用する人のことを第一に考えて作った」と語る三谷彰則代表取締役に、製品の特長、利用者の反応、今後の展開を聞いた。

有名な映画の登場人物をモデルに製造

私の父は浄化槽メーカーに勤めており、その会社で常務と、セカンドビジネスとして立ち上げた仮設トイレを扱う部署の部長を兼任していました。ところが、その会社の経営が立ち行かなくなり、浄化槽のビジネスは買い手が見つかったものの、仮設トイレのビジネスの買い取りには、どこの企業も手を挙げませんでした。しかし、全国にいた顧客からの「ビジネスを継続してください」という声に押されて、父が事業を買い取ったのが株式会社ビー・エス・ケイの始まりです。

父が務めていた会社では、メーカーから仮設トイレを購入し、それをレンタルするというビジネスを行っていました。しかし、それでは利益が少なく、ビジネスがまたすぐに行き詰まることは目に見えています。それならばいっそのこと、仮設トイレの悪いイメージを覆すような最高級品を作ってみようという発想に至ったのです。

なぜ、仮設トイレに「臭い」「汚い」といった悪いイメージが付きまとうのかというと、運ぶ業者の利便を考えて作ったからであって、利用する人のことを考えていないからです。利用者に喜んでもらえるように、きれいで臭わず、使い心地がいいものにしたい。それでいて、取り扱う業者にも長期に渡って利用してもらえるように耐久性に優れたものでなければいけない。映画「風と共に去りぬ」のスカーレット・オハラのように、華奢だけど力強く、そして美しいということをコンセプトに掲げ、「ビューティースカーレット」の製造が始まりました。

明るい、きれい、臭くないと好評の声

他社の仮設トイレに入ると、浮遊感がありますよね。あれはブロー成型という方法を利用し、空気で膨らますことによって組み立てているからです。そのため、夏場は膨張して扉が開いてしまうというトラブルが発生します。弊社は業界で唯一、射出成型機を使用して製造することで、それを防ぐことを可能にしました。また、他社の多くがポリエチレンを使用しているところ、ポリプロピレンを使用することで、薄い壁でありながら強度もあるという作りになっています。空間的に広いだけでなく、透過性に優れた素材を天井パネルに採用したことで明るさを確保し、閉塞感を抑えることも意識した点です。その他にも、汚物を溜める便槽にも工夫を凝らすことで、臭いを防げるというのも特徴として挙げられます。業界では唯一、グッドデザイン賞を受賞しており、ありがたいことに利用者からも好評を得ています。

先日行われた「第10回淀川寛平マラソン」で弊社の製品が採用されたため、プロモーションも兼ねて、利用者を対象にシール投票を実施しました。使い心地を二重丸、丸、三角、バツで評価してもらったところ、子どもが面白がって三角とバツに入れたわずかな票を除けば、ほとんどの方に二重丸、丸と評価していただけました。「きれいだし、臭くない」「仮設トイレと思えないほど快適」「室内に手洗い場が設置されていて便利」などといったお声をいただけたことは、大変励みになりますね。

プロモーションとしても有効

弊社の製品を使用していただくことで、利用者だけではなく、ご購入・レンタルしていただいた方々にもメリットをもたらすことが可能です。例えば、工務店にお勤めの方のお話によると、施工場所の近隣からの臭いに関するクレームがなくなり、仕事がはかどるといったことがあるそうです。また、あるイベントでは、参加者の間で評判になり、イベント自体のイメージアップにもつながったといいます。最近、キャンプブームが起こっていますが、そういった通常のトイレを設置できない・しづらい場所でも利用されています。トイレが汚いと二度と来てもらえないですよね。利用者の利便性を考えて弊社の製品を採用することが、リピートにもつながっているといいます。これらの事例のように、プロモーションとしても弊社の製品は活躍してくれるはずです。

25年前、JR東日本に納品した製品の修理に先日初めて行ったのですが、消耗品のパーツを変えるだけで済んでしまいました。このように耐久性があることも、弊社の製品の魅力ですが、それ故に買い替えが進まず、苦しいところではあります。そこで販路を広げるために、海外輸出を検討しています。実際に、来年はアジアに向けて輸出することが決まっており、現在も東南アジアを中心に視察を繰り返し

ています。ほかにも需要が高まりつつあるバイオトイレの製造にも力を入れるなど、より多くの方に弊社の製品を利用してもらうことで、快適な時間を提供したいと考えています。

情報提供元: マガジンサミット
記事名:「 「業界最高級の仮設トイレでイメージを一新」ビー・エス・ケイが目指す未来