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筆者はステイホーム期間にかなりの断捨離をしたつもりです。着なくなった服や使わなくなった資料などを整理し、スペースを作ったつもりです。しかし、すぐにまた次の何かを買ってしまい、部屋は元通りモノでいっぱいになってしまいました。
この現象に悩まされていたのは私だけではないようで、多くの人がステイホーム中についつい何かを買ってしまっていたといいます。家の中にいることが多いため、買い物という行為が社会との接点になっていたのだと思います。
また、何かを買い集めることを楽しみにしていた人もいたのかもしれません。出かける用事がないのにたくさん洋服を買って部屋でファッションショーを楽しんでいた人もいました。私たちはモノに慰められていたからステイホーム期間を乗り切れたのかもしれません。
『ESSE』2021年6月号には「これからの持たない暮らし」という特集記事があり、ステイホーム期間に手放してよかったものを読者にアンケートしていました。すると洋服を挙げる人が多く、若い頃に着ていた服を人にあげたり、2年着なかったものを処分したりと、あまり着用しなくなったものにはさよならしているようです。
少し前までは、多くのモノを持っている人はうらやましがられていました。大きなクローゼットにどっさり服が入っている人は憧れの対象だったのです。けれど近頃は、最小限の服を工夫して着回している人が注目されている気がしています。自分に似合う服だけを残し、スペースに余裕を持って生きる人がかっこいいと思われるようになってきているのです。
ささやかな居住スペースのなかでは、全てのモノを取っておくことは不可能なので、やはり少しずつ処分をしていく必要はあるのです。その中で自分が優先するものは何なのかは見失わないようにしていたいものです。
筆者は本はできるだけ手元に置いています。雑誌の記事にも「手放した本をまた読みたくなって買い戻した」という体験談が載っていました。これから電子書籍化がさらに進めば本棚は不要になる可能性もあります。技術の進歩により、さまざまなモノがデジタルで収納されるようになれば、私たちはもっと広いスペースで暮らせるようになるでしょう。