最近は、モノが値上がりするニュースを頻繁に目や耳にするようになりましたが、2022年も天候不順や原材料価格の高騰により、値上がりするものがあります。特に私たちの生活に直接影響のありそうな身近なものをピックアップしてみました。
この相次ぐ値上がりを受け、生活の中でどのような工夫をしたらよいか、ファイナンシャルプランナーの方のアドバイスも合わせてご紹介します。

■2022年2月から10月までの値上がり状況をチェック!

1.2022年2月に値上げしたもの

●パスタ
パスタ製品の値上げを、ポポロスパなどでおなじみのはごろもフーズが発表。2022年2月の出荷分から家庭用のポポロスパなどのパスタ製品26品を3~9%値上げしました。「ポポロスパ7分700グラム」の参考小売価格は435円(税抜)で、2月出荷分からは470円(税抜き)になりました。
背景には、原料の小麦の価格高騰が続いていることがあります。

●ジャム
アヲハタが2022年2月1日出荷分から、家庭用ジャムの「まるごと果実」や「トーストスプレッド」などの5シリーズ35商品を3~7%程度値上げしました。
背景には、天候不順による果実や食用油などの原料価格が高騰していることがあります。

●冷凍食品
味の素や日本水産が冷凍食品を値上げしました。味の素は、家庭用の冷凍食品の3割を、4~13%値上げしました。背景には、小麦粉や食用油などの原料の価格高騰があります。

●シェアサイクル
ドコモ・バイクシェアが、2022年2月1日より「東京自転車シェアリング(11区広域連携エリア)」「練馬区シェアサイクル」「川崎バイクシェア」について、料金プランを改定しました。30分を超えた際に発生する延長料金が値上げになりました。背景は、利用者の増加にともなうポートの自転車不足にあるそうです。

●電気・ガス料金
電力大手会社、大手ガス会社が値上げしました。背景は、原油やガス、石炭など発電用燃料の価格が上昇したことがあります。

2.2022年3月に値上げしたもの

●マヨネーズ
キユーピーと味の素のマヨネーズやドレッシングなどを、2022年3月から値上げ。背景は、原料となる食用油の価格高騰などです。

●ドーナツ
ドーナツのチェーン店「ミスタードーナツ」を運営するダスキンが、商品価格改定を3月1日に適用しました。対象はドーナツ、パイ、マフィンの合計33品目です。対象商品を含むセット価格も改定。対象ショップは、ミスタードーナツ全店と、MOSDO イオンモール広島府中店です。ショップにより販売価格・取り扱い商品が異なる場合もあります。
例えば、「ポン・デ・リング」や「エンゼルフレンチ」は10円(税抜)の値上げになりました。

3.2022年4月に値上げ予定のもの

●トイレットペーパーとティッシュペーパー
トイレットペーパーとティッシュペーパーの大手、日本製紙クレシアは、2022年4月1日の出荷分からティッシュペーパーやトイレットペーパー、キッチンペーパーなどを10%以上、価格を値上げすると発表しました。背景として、紙の原料となるパルプの価格や燃料価格の高騰や、コロナ禍による物流コストの上昇などがあります。

●ケチャップ
カゴメは、2022年4月1日納品分から、家庭用のトマトケチャップなど調味料などを含めた計125品目を値上げします。出荷価格を約3%~9%引き上げるといいます。背景には、世界的な食料需要の拡大により、調味料の原材料、トマトペーストなどの価格高騰が背景となっています。

●首都高料金
首都高速道路は長距離利用において上限料金の見直しを行い、新料金への移行は2022年4月1日予定。

ETC車(普通車)では、料金距離35.7km以内利用の場合、現行の基本料金から変更はないが、料金距離35.7km超利用の場合は、上限料金を1,320円から1,950円に値上げする。

背景は、都心部に渋滞が発生している状況から、都心部の通過交通をこれまで以上に抑制する必要があることを踏まえ、より公平な料金体系を目指すものという。

4.2022年5月に値上げ予定のもの

●レトルトカレー・菓子類
明治は、2022年5月1日出荷分から、「銀座カリー 中辛」などのレトルトカレー7品目を20円値上げすることを発表しました。また、「明治ミルクチョコレート」や「アポロ」などの菓子類136品目を出荷価格、およそ3%から11%(税抜)値上げするといいます。
背景には、それらの原材料価格が高騰していることや、物流コストが上昇していることなどがあります。

5.2022年10月に値上げ予定のもの

損害保険料率算出機構が算出している「参考純率」は、各保険会社の火災保険商品の保険料の参考になるものです。この参考純率について、2021年6月に全国平均でプラス10.9%と高い引き上げ率となることが発表されました。また、火災保険期間が最長10年間から5年間に短縮されました。一般的に保険は、長期契約によって保険料が割引になりますが、期間が短縮されたことで、割引についても縮小されます。
こうした背景には、近年の自然災害の増加などが影響しているといわれています。

この参考純率を受けて、2022年10月以降の契約について大手保険会社が火災保険料を値上げする見込みがあります。ただし、改定率は都道府県や建物の構造などによって異なるため、値下げになる場合もあります。

■値上げが相次ぐ中どうする!?ファイナンシャルプランナーが対策を解説

値上げが相次ぐ中、ファイナンシャルプランナー 丸山晴美さんは、家計を守るポイントを次のようにアドバイスしています。

●食費のやりくり3つのポイント

「原油価格や穀物価格、輸入食材の価格上昇などで食品の値上げが相次いでいます。限られた食費の中でやりくりするには、『優先順位』『比較』『相場』を見ることが有効です」

1.優先順位
「優先順位とは、その言葉通り何から買うべきかをしっかりと考えるということです。同じ食べ物でも、お菓子や菓子パンではなく、自炊の材料となる肉や野菜を優先して買いましょう」

2.比較
「比較とは、同じくらいの金額でも、どちらの商品がコストパフォーマンス(費用対効果)に優れているかも考えてみることです。例えば、食パンと菓子パン、お菓子1袋とキャベツ1玉はどちらがコストパフォーマンスに優れているかを比較しながら買うことで、優先順位も決まるでしょう。また、同じ商品でも大きさによっても1個あたり、グラムあたりの値段は変わります。これらも比較して、業務用や標準サイズのセール品などお得な方を選び、これまで以上に賢い買い物を心がけてみてはいかがでしょうか」

3.相場
「相場とは、現状小麦価格が値上りしていても、米価格は安定しておりむしろ値下り傾向となっているなどを把握することです。粉食から米食を増やすことで、家計を安定させることは可能です。また、野菜が高騰しているなかでは、旬の野菜や価格が安定したきのこやもやし、冷凍野菜などを選ぶことがおすすめです。相場を見ながら臨機応変に対応していきましょう。値上げが予定されている商品は、値上げ前にストックを少し増やしてもいいですね。」

●固定費の見直しも行おう

「食費などの変動費の見直しには限度があります。固定費にも目を向けて見直しをしていきましょう。例として、自粛生活で増えすぎた定額制サービスのサブスクを見直す、スマートフォンを格安プランにする、生活や家族の変化とともに生命保険や火災保険を見直すなどです。特に火災保険は2022年10月から10年契約の廃止と値上げが予定されていますので、値上げ前の見直しをおすすめします。固定費は一度の見直しで節約の効果が継続しますので、環境が変わりやすい新年度は見直しには最適なタイミングとも言えるでしょう」

■火災保険の見直しポイント

ところで、火災保険の見直しはちょっとむずかしく感じる人も多いのでは? ソニー損保の資料では、今回の参考純率引上げで改定率が最大・最小となった地域と三大都市圏の参考純率を建物の構造別に紹介しています。

今回の改定で、築年数・建物構造別の改定率が最大となった都道府県は、宮崎県・山梨県・大阪府・沖縄県でした。宮崎県や大阪府は、近年の大きな台風や地震災害による保険金支払額や件数が増加したことが原因として考えられるといいます。

この表を参考に、もし参考純率の引上げ幅が多い地域に住んでいる場合、これを機に火災保険の補償内容を見直すことで、節約につながるかもしれないので、ぜひ見直してみましょう。

山口県のように参考純率が引下げになった地域では、今後保険料が値下げされる場合もありますので、その場合は現在と比べて、どのくらい値下げになるのかを確認してみるとよさそうです。

多くの場合は、参考純率の改定で火災保険料が変更される可能性があるため、火災保険の契約内容を確認しましょう。

【プロフィール】
ファイナンシャルプランナー 丸山 晴美さん
1974年3月17日新潟県生まれ。旅行会社、コンビニエンスストアの店?などを経て、2001年1月に節約アドバイザーに。同年9月にファイナンシャルプランナーの資格を取得。分かりやすく、楽しく、賢い節約をモットーにテレビや雑誌などで活躍中。

情報提供元: マガジンサミット
記事名:「 今年値上げになるものをチェック!FPが家計やりくりのポイントを伝授