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今回の対談はバンドjuJoeのメンバーでバンドマンでもあり「さよなら、バンドアパート」という書籍を執筆している平井拓郎(写真左)と
同じくバンドマンでcinema staffメンバーの三島想平(写真右)による対談の後編となる。
ミュージシャンの夢を追って上京した男の波乱万丈の物語で自身の経験も元に執筆された思い入れの深いこの作品の映画化が決まった時に平井からcinema staff役で出て欲しいと三島にオファー。そんな2人のお互いの心境や書籍の見どころなどを聞いた。
1.映画化への想いと音楽業界の今後について
平井:この作品の撮影はとにかく感慨深く、おかげさまで撮影は順調に進みました。2022年の春に公開予定で今から放映が楽しみです。
三島:オファーしてくれた時はとても嬉しかったです。書籍と映画のストーリーだと、2028年にはライブハウスが次々に潰れていき、最終的に新宿には1店舗しかなくなってしまうという設定がありますが、自分たちもここ2年はコロナ禍で思うようにライブが組めておらず、仲間が音楽をやめていく姿も見て、身につまされる思いでしたね。
平井:今はライブハウスの数が多いからお金を数万円払えば出演できますが、将来的に数が減ってしまったらバンド数に対してライブハウスが足りなくなり、 結果的に昼間にオーディションが開かれて受かったバンドだけしか出れなくなる、というストーリーです。けど実はこれ、20〜30年前のライブハウスの姿だったんです。
三島:当時はライブハウス側に認められないと出演できなかったので、バンドのレベルは保たれていたのではないかと思います。それが将来現実になるのではないか、ということですよね。
平井:音楽の市場は同じことをやっていて売れるほどマーケットはもう広くない。そうなると「バンドが好き、音楽が好き」というより、「cinema staffが好き」など、好きの範囲が狭まって特定されていきます。
三島:突出した鋭さや表現を持っていないと生き残るのが難しくなってきていると。音楽事務所やレーベルも同じことが言えると思います。ただ、個性を出すために「これだ」と信じていたものが上手くいかなかった時の傷は大きいので、行動を起こすこと自体が今はとても勇気のいることですよね。
平井:これは今のSNSでの個の表現などでも同じことが言えますね。確かに勇気がいることですが、逆に誰でも身近なところから個性を表現できる時代になっていると思います。
2:改めて書籍の見どころは?
平井:音楽小説を書いたつもりはなく、あくまで何者かになりたいという人間の姿、夢を目指している人に重きをおき執筆しました。しかし、夢に対する温度感が高ければ高い人ほど親や仲間、パートナーや身の周りの人たちは被害者にもなる可能性があります。そのため、夢を追いかけている本人だけではなく、その周りの人が見たらどう思うのか、どのようなことが起こるのか興味はありますね。
三島:この本が自身における何かしらの指針となってくる人も出てくるんじゃないでしょうか。未来について悩んでいる人が読んだら思うことが沢山あるのではないかと思いますので、ぜひ読んでみて欲しいです。
平井:「さよなら、バンドアパート」は読者全員が「面白いな」と思うようなものは書いていません。鋭さや厳しさみたいな部分がたくさんあります。自分の感情を確かめるためにも、先ずは手に取って読むことに挑戦してみて欲しいですね。
■平井 拓郎 (ヒライ タクロウ)
1987年兵庫県神戸市生まれ。ロックバンドQOOLANDを結成し、ロッキング・オン主催コ
ンテストRO69JACKにてグランプリ受賞。
UNIVERSAL MUSIC JAPANでのメジャーデビューを経て解散。
その後、ロックバンドjuJoeを結成し、無料CDを1万枚配布。1000日以上連続のnote投稿
が話題となり、2021年に『さよなら、バンドアパート』として書籍化。
※版元ドットコムより引用
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784286222219
■➀cinema staff 三島想平(ミシマ ソウヘイ)
cinema staff のベーシスト、ソングライティング担当。
2021年11月3日、4年ぶりとなるフルアルバム『海底より愛をこめて』をリリース。
現在開催中の全国ツアー“海底より愛をこめて”RELEASE TOUR『はじまりの場所』は各地SOLD OUTとなっている。
所属事務所はTHISTIME RECORDS
■平井 拓郎 書籍
「さよなら、バンドアパート」
発売予定日2021年7月16日
発行:文芸社
ミュージシャンの夢を追って上京した男の波乱万丈の物語。
2022年春、映画化決定!/「バンアパは理想が低い! サザンを目指せ!」
マネージャーの怒声が赤坂の会議室を揺らした。
傲慢、横柄、不遜を恫喝で和えた味のする言葉だった。
体育教師さながらの体躯をしたマネージャーが、僕たち三人に鋭い眼光を向けている。
ホワイトボードには『二〇一三年の目標』と書かれていた。(本文より)