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コロナ禍が収まらず、まだまだ感染対策は欠かせません。部屋の換気として窓開けはとくに大切といわれますよね。でも、冬は窓を開けると寒いのが事実…。実は、レンジフードファン(換気扇)をまわしているだけで、きちんと換気できることが判明したのです。
今回は、三菱電機が行った実験結果と、北海道大学大学院工学研究院建築都市 部門教授の工学博士 林基哉先生の解説、三菱電機の担当者の解説のもと、上手な換気方法をご紹介します。
冬は窓開けの換気はなかなか現実的ではありませんよね。そうした中、三菱電機がこんな実験をしました。
寒い冬に窓を開けなくても、一般的な住宅の「24時間換気システム※」と台所にあるレンジフードファン(換気扇)を使って効率的に換気ができるかを確かめる実験です。
※「24時間換気システム」:2003年の建築基準法の改正で導入が義務化され、急速に普及した、室内の空気の入れ替えが行える換気設備。
その結果、レンジフードファンを上手く使うことで、「24時間換気システム」のみの場合と比べて、リビングにおいて3倍以上の換気量を確保できることがわかりました。
この結果を受け、林基哉先生は次のコメントを寄せています。
「お部屋の空気をキレイに保つには、まず十分な換気量を確保することが大切です。気象条件に配慮しながら窓を開けたり、レンジフードファンなどの換気機器を利用して十分な換気量を確保しましょう」(林基哉先生)
ところで、家庭内では、よくこんな間違った換気方法がされているそうです。三菱電機の担当者は次の2つを挙げます。
「春や秋などの中間期に、エアコンを使用していない室内温度と外気温の差が少ない場合、窓開けなど行ったとしても、外からの風が弱いと、十分な換気量を確保できない場合があります」(三菱電機の担当者)
これから春にかけての季節、窓開けしているのに換気ができていないとなると損ですよね。どうすればいいのでしょうか。
「こういったケースでは、まずは窓を全開にしていただき、二ヶ所以上の窓を開けていただくなど、気流の流れができるようにしましょう。それでも、外気を取り込めていないと感じる場合には、林先生が解説しているように、扇風機やサーキュレーターなどを利用して部屋の空気を攪拌することで室内に気流を起こし、室内のよどみを解消すると良いです」(三菱電機の担当者)
林先生の解説はこちら。
「お部屋に滞留する空気を攪拌させながら換気すれば、空気中に偏在する有害物質の濃度をむらなく下げることができ、高濃度のまま他の人に届くことを防ぐ効果が期待されます。重要なことは、外気を取り込むだけでなく、室内全体の空気を効率的に排出することです。
一方、家庭内で健康的な生活をしていく上では、温度の急変を抑制する必要があります。家庭内で『換気による安心感』、『室温変化が少ない快適性』を両立するために、エアコン空調による室内空気の攪拌や温度設定を利用することは上手な換気方法です」(林基哉先生)
「換気扇など換気機器に向かって、扇風機などで気流を吹かせることで換気量が増えるイメージを持たれる方もいらっしゃいますが、換気扇からの換気量は性能によって決まっているので、気流を向けて空気の流れを整えることはできたとしても、空気が入れ替わる量が増えるということはありません」(三菱電機の担当者)
扇風機などを使うときには、換気扇ではなく、空気の流れを意識して室内に気流を起こすようにするのがポイントといえそうです。
ところで、室内空気の攪拌を行いたい場合、エアコンの風も使えるとのこと。その場合、風は強風にすればいいのでしょうか。三菱電機の担当者にうかがいました。
「室内空気の攪拌を行う際には、必ずしも強風にする必要はありません。強風にすればより遠くのエリアまで気流を届けることができますが、お部屋のほこりを巻き上げてしまうなどの弊害が考えられます。気流の風向を部屋の四隅に届くように設定して、部屋の隅まで気流が届く範囲で風量を調整ください。
攪拌・換気を行う際には室内温度の変化が起こるため、エアコンで温度調整すると、その室内温度変化も最小限に抑えられ、快適性を維持することができるでしょう」(三菱電機の担当者)
ぜひ今回の内容をヒントにして、上手に換気しながら、おうちでの感染対策を徹底しましょう!
【取材協力】
林 基哉先生
北海道大学 大学院工学研究院建築都市部門教授工学博士
これまでに建築物衛生、シックハウス対策、建築物の省エネルギーなどの研究を行い、近年は、新型コロナウイルス感染症のクラスター感染、建築設備対策に関する調査研究に従事している。
【参考】
三菱電機「教えて!霧ヶ峰」(https://www.mitsubishielectric.co.jp/home/kirigamine/special/oshiete/)