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新型コロナウイルスの蔓延は未だに続いていますが、それでも現在は全国の陽性者数が減少傾向にあり、今年の年末年始は帰省する人も大幅に増えると考えられます。
多くの人の帰省による感染拡大も懸念されますが、実は相続弁護士ナビ調べによると、弁護士への相続トラブルに関する相談件数も年始やお盆の帰省の時期に増える傾向にあるというのです。
なぜ帰省シーズンに相続トラブルの相談が増えるのか。それは帰省で家族や親戚が集まる中、財産分与について話し合いが始まり、全く異なる考えを持っている人もいるため争いを招いてしまう場合もあるからだそうです。
実際、法務省の司法統計年報(家事事件編)によると、遺産相続をめぐるトラブルは近年増加傾向にありましたが、コロナにより帰省ができなかった2020年は遺産分割事件数が大きく減少しており、これは帰省する人が少なかった影響によるものと考えられます。
今回は相続トラブルに関して「ウカイ&パートナーズ法律事務所」の鵜飼大(うかい まさる)弁護士にお話を伺っています。
「昔に比べて親や兄弟にほとんど会わない家族や何年も会ってない家族が増えています。また、ここ20年間で離婚が増加し、離婚によって別れた親子は他人に近い関係性になっている場合もあります。このような社会の変化・個人の価値観の変化に応じて、交流のない家族が相続で争いを始め、場合によっては訴訟に進展するケースが増えていると言えます。また、年内に争いを解決したい、または相談したいと希望する相談者が年末年始に多くなる傾向があります。相続問題は調査等を含めて、すぐに解決するわけではないので、問題が生じたらすぐに相談することをお勧めします。」
鵜飼弁護士によると、相続財産に不動産がある場合トラブルになるケースが多いとのこと。
「特に自宅が唯一の財産であり、相続人の1人が同居している場合に問題になります。このような場合に自宅不動産を共有とする分割方法は、同居していない相続人は相続税を払う必要があるものの自宅は使えないことになり、妥当な解決になりません。そのため、同居していなかった相続人は、不動産を売って売却代金を分割するか、相続人の1人が不動産をすべて相続し、他の相続人に代償金を払う代償分割を求めることになります」。
「資産のある方は生前に税理士に相談したり、遺言書の作成について弁護士に相談したりするなど、あらかじめ対策をしている方が多くいらっしゃいます。しかし、相続について何も対策していない方も一定数存在しており、兄には留学の費用を出したり、生前のお世話を近所に住む妹がしていたりと、兄弟間でささいな不満があると取り分で揉めたりすることが多いので要注意です。『財産を多く抱えているわけではないのだから大丈夫』と考えている人の方が、のちのち争いが多くなる事があるため、事前に相続トラブルに詳しい専門家に相談することをお勧めします。」
また、鵜飼弁護士には相続トラブルを未然に防ぐための遺言書についてもお話を伺っています。
「最近は、遺言を作成する方が増えています。しかし、遺留分に配慮した遺言になっていないことが多いため、せっかく遺言を残したのに、親の死後、兄弟間で遺留分請求の争いとなったり、筆跡が違うなど遺言の有効性を争うトラブルが多くあります。遺言を作成する際は、死後、兄弟間でトラブルなどが生じないよう、十分配慮して作成するように気を付けましょう。遺言書は自分でも作成することはできますが、弁護士に依頼をすることで未然にトラブルを防ぐことも可能になると思います。生前に資産と負債をまとめた財産の一覧表を作成しておくことも大切です。」
「最近ではエンディングノートを活用される方もいらっしゃいますが、エンディングノートだけでは正式な遺言書と認められない可能性もあるため、効力のある遺言書とするために専門家への相談がオススメします。また、遺言書をみつけた相続人は、その場で内容を確認したいという思いに駆られるかもしれませんが、必ず家庭裁判所の検認を受けるようにしましょう。」
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帰省シーズンに増える相続トラブル。もし、問題を抱えてしまっている方は、一度、弁護士に相談することを検討してみてはいかがでしょうか。