「人事部」と聞いて、皆さんはどんなイメージを持ちますか? 採用して、評価して、管理する。そんな堅苦しいイメージを持つ方も多いかもしれません。


しかし、デジタルバンク「みんなの銀行」のエンプロイーサクセス部では、従来のような会社が従業員を管理するだけではなく、従業員一人ひとりの「最高の体験」をデザインすることを使命としています。みんなの銀行が目指す、銀行の「再デザイン・再定義」という大きな挑戦の原動力は、定められた業務を正確に遂行する力はもちろん、自らの意志で動き、輝く「人」の力であってほしい。


だからこそ、私たちは「人事部」ではなく「エンプロイーサクセス部」と名乗っています。それは従業員の成功が会社の成功につながる、という信念の表れです。そして、その中でも私がグループ長を務める「エンプロイーエクスペリエンスグループ」では、一人ひとりの人生に深く関わる「最高の体験」をデザインすることを使命としています。


エンプロイーエクスペリエンス(Employee Experience:EX)とは

エンプロイーエクスペリエンスとは「従業員体験」を意味します。マーケティングにおいて顧客体験を最大化する「カスタマーサクセス」が重視されるように、従業員一人ひとりの体験を最大化し、成功を後押しすることが「エンプロイーサクセス」の考え方です。働きがいを重視するミレニアル世代の台頭などを背景に、近年注目を集めています。


エンプロイーエクスペリエンスグループは、要員(計画)から採用、育成、評価、そして組織開発まで、一人の社員が会社と関わるすべてのジャーニー(体験の道のり)を支える「5つのチーム」で構成されています。


今回は、この5つのチームが、どのような想いで社員みんなの「サクセス(成功)」をデザインし、どのように点と線を繋いで「EX(従業員体験)」を最大化させようとしているのか、私たちの取組みのすべてお話しします。


【採用チーム】EXの始まり。ファンから仲間へ


EXは、入社前から始まっています。エンプロイーエクスペリエンスグループの採用チームは、単にポジションの空きを埋めるために動いているわけではありません。大切にしているのは、みんなの銀行の「ファン」でいてくれる方が、「仲間」へと進化する、その最高のシナリオを描くことです。


新卒採用では毎年、ビジネス職とエンジニア職に、これからの銀行を創る熱意を持った方々がジョインしてくれています。インターンシップや面接で私も多くの学生さんとお会いしていますが、学生の皆さんの熱量には毎回圧倒されています。


キャリア採用においては、現場の社員が主体となる「スクラム採用」(※1)を徹底しています。人事だけの判断で決めるのではなく、現場のメンバーが「この人と一緒に挑戦したい」と思える仲間を、自分たちの手で探す。このプロセスこそが、入社後の絆を強くします。


※1 現場のメンバーが採用の主役となり、チーム一丸となって候補者の方と向き合う採用手法。


これまで面接で多くの方とお話ししてきましたが、「みんなの銀行アプリのUI/UX(※2)が好き」「BaaS(※3)事業の将来性にワクワクする」「銀行なのにモダンでスピード感のある開発環境がある」「チャレンジできる環境が魅力」という声をいただくことが多く、本当に嬉しく感じています。


※2 UI/UX:UIはユーザーが目にする画面デザインや操作性、UXはサービスを通じて得られる体験全体を指す言葉。


※3 BaaS:Banking as a Serviceの略。銀行が持つ機能をAPIなどを通じて、他の事業者が自社のサービスに組み込めるようにする仕組みのこと。


実際に社員アンケートを取った際、魅力のトップに選ばれたのは、事業の将来性や自己成長できる環境に加え、「働き方の柔軟性」でした。


フルフレックス制やリモートワーク(週1日以上の利用率50%)といった制度は、単なる福利厚生ではなく、「プロフェッショナルとして、自ら裁量を持って働く」というEXの一環です。


「家庭と両立しながら裁量を持って打ち込める」という声を聞くと、この環境を整えてよかったと心から思います。ちなみに、月に2回「戦略的退社デー」「超回復デー」という早帰り推奨デーを設けています。


「……超回復デー?」と思いますよね(笑)。

「超回復」とは、トレーニングで傷ついた筋肉が、休息を経て前よりも太く強く進化する現象のこと。私たちの仕事も、毎日フル回転で進めるのではなく、時には意図的に休むことで「前日を超えるパフォーマンス」を手に入れる。このサイクルこそが、最高の従業員体験だと思うのです。


社員には、「今日は脳(筋肉)を追い込んだから、戦略的に退社してリフレッシュしよう!」という潔さを持って超回復し、新たなパフォーマンスに繋げてほしいと願っています。


私たちの採用は、入社後のミスマッチという「マイナスの体験」を防ぐため、スキルだけでなくカルチャーマッチも大事にしています。入社初日に「この選択は正しかった」と確信してもらうこと。それが私たちの目指す体験のスタートラインです。


【評価チーム/育成チーム】EXの加速。会社とともに成長させる


「仲間」としてジョインした後の体験をデザインするのが、評価チームと育成チームの連携です。ここで提供するEXは、「自分の可能性が広がり続けているという手応え」です。


私たちが最も大切にしている軸は、「事業と個人がともに成長する」ということ。会社とメンバーは「対等なパートナー」です。そのため、「会社がキャリアを与える」という考え方はしません。


メンバー自身が自分の人生の主語となり、理想のプロフェッショナル像を自らデザインする。そして会社は、その個人の成長のベクトルと、会社の期待する成長ベクトルを全力で合わせていく。この「ベクトルの同期」こそが、私たちの考える評価と育成の本質です。


みんなの銀行の評価の場面では、「どんな結果を出したか」という実績面に加え、これからの挑戦を後押しする「未来への期待値」も同じくらい大切にしています。


「今何ができたか」をしっかりと評価した上で、「次に何を成し遂げたいか」「どう成長したいか」という未来への期待をベースにフィードバックを行います。私たちにとって評価はゴールではなく、次の成長へのスタート地点なのです。


また、その「期待」を「確実なスキル」へと変えるため、2025年に「人財育成チーム」を本格始動させました。 オンライン学習プラットフォーム「Schoo」の活用促進や、自身のスキルアップを資金面でバックアップする「レベルアップサポート制度」など、学びたいという意欲に即座に応える仕組みを整えています。


特に新卒ビジネス職の方には、5年間で2つの異なる部署を経験するジョブローテーションを設計しました。あえて異なる視点を持つことで、自身の市場価値を高めていけるプロフェッショナルへの成長を後押しします。



写真:採用・育成・評価チームのメンバーが手を取り合い、入社から成長までを一本の線で繋ぐことが、私たちの役割です。


【組織開発チーム】EXの深まり。個の輝きを、組織の力へ


個の力が磨かれても、それがバラバラに動いては意味がありません。EXを完成させる最後のピースが、組織開発チームです。組織開発チームが提供するEXは、「個の力が何倍にも増幅されるチームの心地よさ」です。



図:みんなの銀行のMission・Vision・ValueとINSIGHTの関係図


みんなの銀行には、私たちのMission・Vision・Valueを根底から支える基盤として、INSIGHTという7つの仕事の流儀(行動指針)があります。


私たちが目指す「みんなに価値あるつながりを。」というMissionやVisionを達成するためには、このINSIGHTに即した行動と、それによって醸成される組織カルチャーが非常に重要です。これをただの標語にせず、組織の血液として循環させる活動を、組織開発メンバーがリードしています。



図:7つの仕事の流儀「INSIGHT」


面白いのは、これが経営陣や人事のトップダウンではない点です。現場の有志による「INSIGHT部会」が中心となり、自分たちの組織カルチャーを自分たちで育んでいます。「このチームなら、もっとすごいことができる」。そんな確信を持って働ける環境こそが、最高の従業員体験です。


また、私たちは毎月「エンゲージメントサーベイ(社員のモチベーションや組織の課題を可視化する調査)」を実施しています。正直、毎月実施するのは大変な面もありますが、半年や1年に一度の調査では、現場の「今」の悩みを見逃してしまう。


一人ひとりの声にクイックに反応し、打ち手を打つ。このスピード感と、社員一人ひとりに向き合う姿勢こそが、組織開発における私たちのこだわりです。



図:FY26における組織開発施策のディスカッション中


【要員チーム】すべての挑戦を、持続可能な「基盤」へ


最後に、あえて触れたいのが、一見「裏方」に見える要員チームの存在です。彼らがデータの裏付けを持って適切なリソース配分を行うからこそ、現場に無理な負荷がかからず、新しい育成制度や採用活動に健全な投資を行うことができます。


また、客観的なデータに基づいて人事施策を進めるために、「タレントマネジメントシステム」(※4)の整備も進めています。


※4 社員のスキルや経験等の人財情報を一元化・見える化し、評価や育成などの人事業務につなげてく仕組み。


これは単なる管理のためではなく、社員一人ひとりの頑張りや志向を正しくキャッチアップし、社内のチャンスと結びつけるためのものです。デジタルバンクだからこそ、データという客観的な根拠を、社員の「納得感のある体験」を守るために最大限活用しています。


「攻め」の採用や育成を、盤石な「守り」が支える。これらの5つのチームが、1つのエンプロイーエクスペリエンスグループとして密に連携しているからこそ、みんなの銀行は、銀行としての強固な基盤を持ちながら、ベンチャーのようなスピードで進化し続けられるのです。


なお、基盤という意味では、エンプロイーサクセス部にあるもう1つの組織「エンプロイーサポートグループ」も、制度構築・運用の観点から大きな貢献をしています。こちらについては、また別の機会にご紹介します。



図:人事データを活用しながらディスカッション


すべてのピースは社員の「サクセス」のために


採用で「ファン」から「仲間」になり、評価・育成で「成長」を実感し、組織開発で「一体感」を感じ、安定した基盤の上で挑戦し続ける。


これまでお話ししてきた各チームの取組みは、決してバラバラの「点」ではなく、社員一人ひとりの「サクセスストーリー」を紡ぐための一本の「線」として繋がっています。


「この会社を選んでよかった」

「毎日が挑戦の連続で面白い」

「次はこれを成し遂げたい」


そう思える瞬間を1つでも多くつくるために、私たちは今日もエンプロイーエクスペリエンスを磨き続けています。


不確実性の高い現代において、組織と個人が「対等なパートナー」として共に歩むこと、そしてそのための「最高の従業員体験(EX)」をデザインし続けることは、これからの企業経営における共通の重要テーマです。私たちの挑戦が、組織のあり方や働き方のアップデートを模索する企業の皆さまにとって、少しでも参考になれば幸いです。


筆者プロフィール

みんなの銀行 エンプロイーサクセス部 エンプロイーエクスペリエンスグループ長

永峰 義之


2006年、国内銀行に新卒入社。法人営業、採用・人財育成、経営計画策定等に従事。スタートアップ投資やLP出資にも携わり、金融と事業領域を幅広く経験。2020年に2人目の人事としてみんなの銀行プロジェクトに参画。現在は、採用、組織開発、人財育成、人事評価運用、人財ポートフォリオ戦略を統括。




※この記事は、みんなの銀行公式noteからの転載です。

最新情報やサービス詳細は、みんなの銀行公式サイトをご確認ください。

公式サイト:https://www.minna-no-ginko.com/


(執筆者: みんなの銀行)


情報提供元: ガジェット通信
記事名:「 「管理」ではなく「最高の体験」をデザインする。私たちが描くエンプロイーエクスペリエンス(EX)とは? 」