兆徳の「玉子炒飯」をそのまま製品化したわけではない? 味の素冷凍食品(株)『黄金炒飯』


炒飯界で日本一とも称される名店、兆徳。


東京・本駒込にあるこの老舗の中華料理店は連日行列を成し、北海道や沖縄からはるばる足を運ぶお客さんも少なくありません。著名人もお忍びで来るほどの人気ぶりです。



数あるメニューの中でも皆さんのお目当ては「玉子炒飯」。そこまでの中毒性を持つメニューだからさぞ個性的なのかと思いきや、この玉子炒飯は「卵、塩、米」そして「ちょっとだけ秘密の調味料」で構成された、“引き算”の賜物なのだとか。


そんな兆徳の玉子炒飯から2026年に誕生した製品があります。味の素冷凍食品から8月に発売されたばかりの『黄金炒飯』です。



“思想”のある炒飯


『黄金炒飯』のパッケージには「玉子炒飯の名店 兆徳 監修」と銘打たれています。しかし、味の素冷凍食品によると、この製品は「兆徳の玉子炒飯の再現製品でもなければ、単なる名義貸しでもない」と断言。



開発担当者の言葉を借りれば「兆徳のおいしさを“再現ではなく”冷凍炒飯として“翻訳”した商品」なのだそう。


「監修」としつつも、完全に同じものにしなかったメーカーの真意を探ってみたいと思います。



実際に食べ比べるチャンス


今回はその発売を記念した、実際の兆徳の店舗で『黄金炒飯』を24時間提供する特別イベント「裏兆徳」の開催にともない、実際に兆徳の玉子炒飯、そして『黄金炒飯』を食べ比べる取材機会をいただきました。



にこやかで屈託のない笑顔がすばらしい店主の朱 徳平さん。彼が中華鍋をひとたびふるうと、金色のお米の一粒一粒が美しく宙を舞います。





流れるような手際から送られてきたお皿の上には、輝く粒がこんもりと盛られています。眼前に、あの「兆徳の玉子炒飯」が現れました。



兆徳の玉子炒飯


口に入れる前に香ってみると、油より先に玉子の風味が感じられます。更に深く香れば、お米と油の織りなす香りに、玉子の風味が拮抗しています。そう、油が主張していないんです。そのこと自体が、まず、すごい。




満を持して口に含むと、パラパラでもっちりしたお米の粒が感じられます。塩はギリギリ。かといって、足りなくはないギリギリです。そして、油の風味に玉子が感じられる清廉さ。お米は輪郭がハッキリと感じられ、硬すぎずもっちりの風味が感じられる、気持ちの良い完璧さ。油はと言うと、ありがちな雑味や油臭さといった要素が皆無でクセがありません。食べた時に玉子をきちんと感じられるように全てのバランスが整えられています。


レンゲを口に運ぶたびに、材料の行間から新しい発見があります。


「それにしても、どうやってこのバランスを?」なんてことを考えているだけで、どんどんと口に運んでしまう魔力。ほどける米と玉子を引き立てる塩と油。


この後、隣に並んだ『黄金炒飯』を食べるのが少し怖くなるくらい完璧でした。



黄金炒飯を食する




恐る恐る『黄金炒飯』を、輝くレンゲで口に運んでみます。「あ!」と思ったのは、エッセンスが抽出されている感じ。モノはもちろん違うんだけど、似ているところが確実に在る。


『黄金炒飯』のほうは、わずかに香る鶏のエキスがあります。肉も少し入っているし塩の加減も兆徳の玉子炒飯に比べたら少し強い。

電子レンジ仕上げなので、米のパラパラさ加減は高火力の鉄鍋にかなわないとしても、少しずつすごく似ている。玉子の良さ、塩と動物性のうま味を使いながらも、「引き算」の美学を感じる見事な“翻訳”です。


さらにここで、改めて兆徳オリジナルの玉子炒飯に戻ると、『黄金炒飯』が目指した「核(コア)」の存在がよくわかります。



『黄金炒飯』の方が冷凍食品としての多少の味の強さはあるとしても、兆徳オリジナルの持つ文脈を汲み、思想を味で表現したことが感じられました。


これは、兆徳の玉子炒飯を知る人にも是非確かめていただきたい味だと思いました。



店主の朱さんが何度も確かめたであろう味わい


過日に行われた製品発表会では、『黄金炒飯』の試作品の試食も行われました。

試作品Aは「引き算しすぎ」、試作品Bは「引き算しきれなかった」もの。



わかっていて比較しながら食べると、確かに「少し味が薄いかな」「言われてみれば味が濃いかな」と思うものの、正直なところ、単体で食したらおそらく全然悪くない仕上がりだったと思います。


けれど、その上で完成品を食べると、このバランスに辿りつくのがいかに難しいかがわかる仕上がりでした。


発表会では朱さんも試作品を口にしていましたが、それぞれ即答で「これはちょっと足りない」「うん、ちょっと濃いね」「これはいい仕上がり」と評価。兆徳オリジナルの玉子炒飯が持つバランスを落とし込むために、おそらく何度もこうして試食を重ねたのだと思います。



余談ですが、試食品を残さずゆっくり全て食べてから記念撮影に臨んだ朱さんのふるまいは、普段から食べ物を大切に扱う職人としての姿勢を、図らずも物語っていました。



個人的にもおススメです


世の中には多くのコラボ製品が存在しますが、この「兆徳監修」の『黄金炒飯』は「あっさりとした上品さ」を見事に体現した素晴らしい製品でした。



食べ疲れせず、長く食べ続けたいと思える冷凍食品の炒飯は稀有かもしれません。もし冷食コーナーで『黄金炒飯』を見かけたら、一袋試してみてください。記者としてもそうですが、一個人としてもおススメです!


長野市のツルヤ(長野南店)や東京中野のサミット(パークシティ店)では発見できましたので、冷凍食品コーナーが大きめのスーパーだと見つけやすいと思いますよ。





<文・写真:オサダコウジ>

※2枚目(通常時の兆徳)の写真は公式より提供


情報提供元: ガジェット通信
記事名:「 兆徳オリジナルの玉子炒飯と冷食『黄金炒飯』をリアルタイムで食べ比べてわかった「違い」と「共通点」