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数多の香港アクション映画でスタントを担当し、俳優としても『ハード・ボイルド /新・男たちの挽歌』等に出演するトン・ワイが主演を務め、大ヒット公開中の『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』の製作プロデューサー&人気沸騰中のテレンス・ラウ、フィリップ・ンが出演した、アクション映画の制作に情熱を懸けるスタントマンたちの汗と涙の物語『スタントマン 武替道』。7月25日より新宿ピカデリー他にて公開中です。
【STORY】1980年代、売れっ子アクション監督だったサムは、映画の撮影中の事故でその時のスタントマンを半身不随にしてしまい、それがきっかけで業界を離れ、今は細々と整骨院を営み静かに暮らしている。そんな中、かつての仕事仲間に「自分の最後の作品でアクション監督をやってほしい」と依頼され、数十年ぶりに映画制作に参加することに。しかし現代のアクション映画の撮影はコンプライアンスも厳しく、出演俳優のワイを始め製作陣はリアリティを追求するサムのやり方に反発し、現場はぎくしゃくする。さらに忙しさのあまり娘チェリーとの関係性も悪くなる。サムのアシスタントとなった若手スタントマンのロンは、サムを献身的にフォローし何とか撮影を進めようとするのだが…。
本作で人気アクション俳優のワイ役を演じ、『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』の王九として日本でも大人気のフィリップ・ンさんにオンラインインタビューを敢行!お話を伺いました。
――本作楽しく拝見いたしました! 1980年代の香港映画のアクション事情が描かれている作品ですが、今も香港映画で大活躍されているフィリップさんの立場からどの様なことを感じましたか?
香港映画のピークといわれる80、90年代から比べて、現在はある意味では下り坂を迎えている様な状況ではあると思います。この時代の映画作りは非常に大胆で色々なジャンルがあって、映画制作に関わる人たちも、「これやってみよう!」とすぐ撮っちゃうんです。そのおかげで、正統派のアクション映画以外にもキョンシー など大ヒットシリーズが生まれました。
ところが近年はそういう映画がどんどん少なくなっています。そんな中、『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』が香港でも日本でも大ヒットして、香港映画界にまた大きな波をもたらすことが出来ればいいなと期待をしています。
本作では勢いのある香港映画の制作を舞台に描かれていますので、そういった意味でも「こんな感じだったんだ」と観客の皆さんに楽しんでいただけると思います。
――スタントマンのご経験もある監督が作っているということで、アクションについての描写がリアルなのだろうなと感じました。
実は彼らとは前々からの知り合いでした(アルバート・レオン監督とハーバート・レオン監督)。実は偶然にも彼らの父親と私の父親は同じ先生に武道をならっていたので、要は兄弟子と弟弟子みたいな関係なんですよね。
その後、アクションを目指す人たちのクラスがあって、その中で私はアクションを教えたり、あるいはアクション監督をやっていたりしたのですが、その中でこの2人は色々な場面で助けてくれました。2人は大学で映画の勉強をしていたということもあり、映画撮影に関して色々なアイディアを持っていました。そして、自分たちが撮る映画のためには資金集めをしていて、無事に政府から助成金がもらえるようになったのだと聞いて私もすごく喜びました。
その時点ではまだ脚本は見ていないし、ギャランティの話などもしていませんでしたが、「出演しますよ」とすぐオッケーを出しました。長年、彼らがずっと私を助けてくれていて、そんな彼らの夢が叶うのならば手助けをしたいと。映画を作るというのは容易なことでは無いですから、自分に出来ることがあればと思ったんです。
――フィリップさんの映画愛をすごく感じますが、そういったものはどういうところから培われたのでしょうか?
父親の影響が大きかったかと思います。 私の父親は武術の先生だけではなくて大の映画ファンなんです。 今も私より多くの映画を観ていると思います。小さい頃から色々な映画を観に連れていってくれて、ほとんどがカンフー映画なのですが、すごく面白いことに、主役については何も言わないのに「この脇役のキャラクターすごいんだよ」と周りのキャラクターについて言及するんです。「この人は武術がすごいんだよ」とか「カンフーの専門なんだよ」とか、うんちくをたくさん語ってくれました。
僕も俳優になって映画の中でアクションをする様になりましたが、例えば観客が子供を連れて僕の映画を観てくれた時に「このフィリップってやつはすごいんだよ」と父親がうんちくを語る様な存在になりたいなと夢を持つようになりました。
――お父様は、本作やフィリップさんの活躍をすごく喜んでいらっしゃるのではないでしょうか。
僕が出演した作品について僕よりも詳しいんじゃないかなと思います。いつも励ましの言葉をくれます。本作については、アクションがメインではなくてスタントマンの皆さんの日常の生活や彼らの置かれている状況を描いている部分が素晴らしいと評価してくれました。
――フィリップさんは役柄によって印象が本当にガラっと変わる方ですよね。役柄になりきるという部分で意識してる部分はありますか。
演技のやり方は役者によってそれぞれですが、私の場合は非常にシンプルだと思います。私は演技を大学で学んだことはありません。大学で勉強したのは、どちらかというと教育だとかアートだとかそういったジャンルです。だから演技については映画の現場で学んだと言えます。
大事なのは、自分の演じる役柄に対する認識、あるいは脚本を、「この場面ではどういう風にこの芝居に入っていくのか」と分析することだと思います。そしてそれだけでは足りなくて、キャラクターを作る造形が演技をたくさんサポートしてくれます。
例えば、『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』の時には、長髪のカツラをかぶって、メガネをかけるとその瞬間、王九になっちゃうみたいな感じですね。
今回のワイという役柄に関しては、とても人間的な人なので王九よりはキャラクターを作りやすかったと思います。
そして大切なのは「監督が作品の中で何を語りたいのか」ということです。監督はそれぞれフィロソフィーを持って映画を撮っていると思うんですよね。安全を大切にしたいワイと、多少無理をしてでも良い映画を作りたいサムの対比が映画のストーリーにどういう作用をもたらすのか、監督が伝えたいメッセージの手助けをするのも俳優の役割なのかなと思います。
――今日は素晴らしいお話をありがとうございました!『ドラゴンボール』のベジータのTシャツを着てくださっており、嬉しいです!
こちらこそありがとう。(一周して後ろのデザインも見せてくださり)日本の観客の皆さんにはいつもパワーをもらっています。
ありがとうございました!(日本語で)
出演:トン・ワイ、テレンス・ラウ、フィリップ・ン、セシリア・チョイ他
監督:アルバート・レオン&ハーバート・レオン
2024│シネスコ│5.1ch│114分│香港│広東語│字幕翻訳:鈴木真理子│配給:ツイン 公式X:@Stuntman_filmJP
公式サイト:stuntman-movie.com
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