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人体の神秘と人間の恐怖の根源を探るドキュメンタリー『人体の構造について』が11月22日より公開。ショッキングな“脳手術”の光景を映した本編映像をご紹介する。
『カニバ パリ人肉事件 38 年目の真実』を共同で手掛けた人類学者で映画監督のルーシァン・キャステーヌ=テイラーとヴェレナ・パラベルによる本作は、医師視点のカメラや内視鏡の映像を使い、人体と医療現場のリアルを生々しく映し出す異色のドキュメンタリー。本作を鑑賞したホラー漫画家の伊藤潤二氏は、「人体組織という小宇宙に潜り込んで目撃する手術映像はまるでイリュージョンです。それに対する外界=病院の厳しい現実に目眩を覚えました」とコメントしている。
今回ご紹介するのは、脳室内の圧を軽減するために行う“脳室開口術”という手術を映したシーン。頭に孔を開けられ、そこから金属の器具を脳内に差し込まれている患者は、なんと意識があり、医師と他愛のない会話をしている。患者の表情と頭上で行われていることが交互に映し出されると、なんとも奇妙な感覚に陥る。時折痛みがあるようで顔をしかめており、そのたび自分の頭までキリキリしてくるようだ。場面が切り替わり、カメラは手術器具が脳内に入っていく様子に迫る。小宇宙のような管と体液の世界を器具がゆっくりと進んでいき、やがて脳の最深部にある下垂体に到達。膜に覆われた器官を見た医師は「綿菓子みたいだ」と呟いている。その頃になると、患者は麻酔によって意識を無くし、無菌ビニールに包まれたマネキンのように手術台に横たわっている。
監督の一人であるヴェレナ・パラベルは、「私たちは医学のツールを借りることによって、人間の肉体や世界に対する従来の見方を打ち破りたいと思いました。しかし、それは同時に、私たちの脆弱性や、生命の儚さ、そして常に存在する死の影を垣間見せるものにもなります。本作では主に、私たちの身体の“内部”を撮影することで、人間の生命力や私たちの肉体の秘密を解き明かすことができるのです」と本作の意図を語っている。
『人体の構造について』
11月22日(金)ヒューマントラストシネマ渋谷&有楽町ほか全国ロードショー
© Norte Productions –CG Cinéma –S.E.L –Rita Productions –2022