全世界が涙した『トイ・ストーリー』『モンスターズ・インク』『リメンバー・ミー』など、数々の心温まる感動の物語を贈り届けてきたディズニー&ピクサー。世界中の誰もが共感でき、深く感動できる物語が高く評価され、制作スタジオとしてアカデミー賞長編アニメーション賞を最多受賞しているピクサーが新たに送り出す、どんな人の中にも広がっている“感情たち”の世界を舞台にした『インサイド・ヘッド2』が大ヒット上映中です。

ディズニーをこよなく愛する、12人組グループ「GANG PARADE」のヤママチミキさんが本作の監督を務めたケルシー・マンさんと、制作のマーク・ニールセンさんにインタビュー!作品の魅力について、キャラクターたちへの想いについて、お話を伺いました!

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▲ミキさんのピンクの衣装に「WAO!」と喜んでくださったお2人。とても楽しい雰囲気での取材となりました。

――本作大変楽しく拝見させていただきました! ケルシー監督にお聞きします。前作の監督であるピート・ドクターさんからこの作品を預けられた時の心境はいかがでしたか?

ケルシー監督:まさに”ヨロコビ”でいっぱいでした! まさか私がピクサーで監督ができるとは思っていなかったので、本当に嬉しかったです。世界中で愛された『インサイド・ヘッド』という作品の続編を自分が担当するとは予想もつきませんでした。

ーー本作では、ヨロコビたちの他にも新しい感情たちが登場します。それによってヨロコビたちが追いやられていくような展開が印象的でした。複雑な感情が生まれると、ヨロコビのようなシンプルな感情たちが抑制されていくことは、実際に私達の体にも起きているのでしょうか?

マークさん:感情の科学的なことは、臨床心理士のリサ・デモーラ氏に相談し色々助けてもらったんだよね。

ケルシー監督:そうだね。私がこの映画を作る上で学んだことは、「色々な感情があるけれど、それぞれに理由があって存在していて、どの感情も人間を助けるためにある」ということです。リサ曰く、「悪い感情はない」と。シンパイやイイナーのように、付き合っていくことが難しい感情はありますが、その感情自体は悪者ではなく、適切なタイミングで適切な感情を味わうことが人間にとって大事なんです。何かを不安に思ったり、心配する気持ちは誰でも持っていますが、その感情が私たちの命を守ることだってあるじゃないですか。いかに、感情をコントロールしていくのかということが大切なのだと思います。

マークさん:どうやってそれを手なづけていくかというのは、人間が一生をかけて行っていく仕事だと思ってます。ライリーの中でヨロコビたちの役割が減っているようにも思えますが、それは違います。彼女は、これまでと違う種類の喜びを感じているわけです。成長した彼女は物語後半により成熟した喜びを感じている。それは小さい子どもがチョコレートを食べて「やったー!」というものとは違う種類の喜びなんです。

ケルシー監督:確かにね。若い時は喜びは、すぐに味わえる思うんです。でも、大人になると自ら意図しないと喜びは来ません。喜びを感じることを意識的にやらないといけないですね。例えば、私が今このインタビューを受けて緊張したり、心配していると感じることもできますが、「自分が誇りに思っている映画について話せる機会なのだから嬉しい!」とか、「日本は素晴らしい国だから訪れることが嬉しいな!」というふうに意図的に喜びを感じるようにしています。自分の人生において、意識的に喜びを感じるのは不可欠だなと思います。

――“思春期ボタン”というアイデアが最高ですよね。前作のラストにも出てきましたが、このボタンを最初に登場させるのは監督のアイデアですか?

ケルシー監督:元々のアイデアはピート(・ドクター)のものです。当時は続編のことなんて全く考えていなかったので、「こういうボタンが出てきたら面白いな」というアイデアの一つだった様です。僕が『インサイド・ヘッド2』の監督を任された際に、「観客として何が起こってほしいか」を考えてリストにしました。そのうちの一つとして、あのボタンが実際に鳴っているところを見たいと思ったんです。あるんだから使わなきゃ駄目だよねっていうことです(笑)。また、ライリーの頭の中の司令部が一旦破壊されて、改築されるのも面白いんじゃないかと思ってリストに入れていました。
シリーズでライリーの頭の中で起こっていることは「科学」なんです。物語を作っていくにあたって、実際に専門家の方々に取材をしたり話を聞きながら進めていきました。10代の人間の頭の中って本当にいろんなことが起こってるんですよ。脳神経が壊れちゃったりとか、新しいものが生まれて、それらがくっついたり離れたり、本当にぐちゃぐちゃな状態だそうです。その話を受けて、忙しい工事現場みたいだなと思い、あのシーンになっています。

――思春期まっただなかのライリーが他者と関わることによって、脳内で色々な問題が勃発するわけですが、「現実世界での物語」と「脳内での物語」のバランスをどの様にとろうと考えましたか?

ケルシー監督:そのバランスを取ることに4年ほどかかりました。私達スタッフの間では、「三次元チェスをやってるみたいだ」と言われているほど難しかったです。本作の脚本を書くこともすごく大きなチャレンジだったし、編集を担当したスタッフもかなり大変だったと思います。
前作では、ヨロコビが主人公のようなポジションでしたが、本作ではライリーの人生も大事な局面に突入したり、新しい友人と古い友人の間で揺れ動いたり。それにあわせて、頭の中でも新しい感情たちが登場して、彼らのことも描かなければならない。今振り返ってみても、本当にチャレンジングなことだったと思います。

ーー全世界で大ヒット中の本作ですが、プロデューサーとしてピクサーの将来の展望を教えていただけますか?

マークさん:私はピクサーには明るい未来があると信じています。コロナ禍はかなり大変で、劇場が閉鎖されたところもたくさんありました。今作の状況を見て、多くの人々が映画館に戻ってきてくれているのは非常に心強く思っています。普遍的なテーマで、共感できて、楽しめるストーリーを愛情を込めて丁寧に作ると、人々はそれに反応して劇場に戻ってきてくれるんだなと感じています。ピクサーには才能がある人々がたくさんいて、そういったストーリー、作品を作る力があります。これからの社会で大切な意味を持つ物語を伝え続けていくことができると信じています。私たちはこれからも長編映画を作っていきます!

ケルシー監督:みんなが楽しめて、誰もが共感できる映画にしたいと思ったんだ。誰かを排除することはしたくなかったし、ライリーがティーンエイジャーになる経験には多くの人が共感できるはずだからね。

インタビュー後には、特製の『インサイド・ヘッド2』クッキーをプレゼントさせていただきました! ケルシー監督、マークさん、素敵なお話をどうもありがとうございました!

インタビュアー:ヤママチミキ
撮影:オサダコウジ
クッキー制作:Kumi Ota
合同取材:映画.comさん、アニメイトタイムズさん

作品情報


『インサイド・ヘッド2』大ヒット上映中
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
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情報提供元: ガジェット通信
記事名:「 『インサイド・ヘッド2』ケルシー監督&プロデューサー・マークさんに聞く「どの感情も人間を助けるためにある」(聞き手:ヤママチミキ)