- 週間ランキング
「週刊少年ジャンプ」で連載された仲間りょうのギャグ漫画が連続ドラマ化。 立派な武士を目指して日々精進すると言いながら、努力しない武士校生・ 磯部磯兵衛のぐうたらで突っ込みどころ満載な日常を描く連続ドラマW-30 「磯部磯兵衛物語~浮世はつらいよ~」が配信中です。
主人公・磯兵衛役を演じるのは、WOWOWのドラマ初主演となる杉野遥亮さん。 脚本・監督は、ドラマ「小河ドラマ徳川☆家康」、舞台「ドクター皆川~手術成功5秒前~」など、絶妙なツボを押さえた笑いに定評がある細川徹さん。本作の魅力について、撮影の思い出についてお話を伺いました。
――本作とても楽しく拝見させていただきました!情報解禁の際に、監督が「バラエティ番組に出てる杉野くんを見て、今、日本で磯兵衛役が出来るのは、杉野くんしかいないと確信しました」とコメントをされていましたね。
細川:実写化ということで、どのくらいの塩梅で磯兵衛を演じてくれる人にお願いするのが良いのだろうとずっと考えていたのですが、「世界ふしぎ発見!」に出ている杉野君を見た時に、全然カッコつけていなくて。この人だ!と。普通に歩いているんだけれど、自分のことをカッコいいなんて一切思っていない歩き方で。
杉野:楽しくロケさせてもらった「世界ふしぎ発見!」のオンエアで見つけていただけるとは。自分的には、普段から手先まで神経が通っている感じがしないというか、ふにゃふにゃした歩き方がイヤだなと思っていたのですが、こうして磯兵衛を演じられたなら良かったなって。
――磯兵衛の格好が似合いすぎていてビックリしました。
杉野:本作の撮影と同時に、大河ドラマの撮影もあったのですが、 あちらは衣装を着るのにとても大変だったので、磯兵衛の着物は着るのが楽で良いなあと思っていました(笑)。
細川:視聴者の方も、このドラマを観たら「これと大河を同時にやっていたなんて…」とちょっと信じられない感じになると思う。
杉野:でもコメディをやることは結構難易度高いというか、芸術的だなと思っているので、大河が大変で磯兵衛の撮影は楽とかそういうわけではなく、新しい挑戦をさせていただいたと思っています。どの役を演じる時も「この人の感情はどうなのか」と探りながらやるので、磯兵衛を演じる時にもそのやり方を持ち込んでいた気がして。本当はもっと軽くても良かったのかなとか考えたりします。
細川:実際に撮影に入っても、僕が「世界ふしぎ発見!」で感じた印象とギャップが無く、本当に見事に磯兵衛になってくれてありがたかったですね。最初、漫画の形を真似しようとさせちゃって、「こういう歩き方で」とお願いしていたんですが、それだと力が入ってしまって、磯兵衛の脱力感が出なくて。その後、歩いているシーンをもう1回やり直した時に、全然漫画とは違うんだけど、すごく磯兵衛だったんですね。杉野くんがしっかり磯兵衛をつかんでくれた瞬間があって、嬉しかったし楽しかったです。
杉野:そうやって褒めてくださって嬉しいです。本当に助けられていることの方が本当に多かったです。撮影に入る前の準備の時間に、役作りをどうすれば良いのか分からないと悩んでいました。準備が出来ていないことへの恐怖がすごかったのですが、監督がすごく現場で気遣ってくれて、一緒に作品作りが出来たことが何よりもありがたかったです。
細川:一緒に楽しみながらみんなで作った感じがすごく出ている作品だと思います。
杉野:「笑わせてやる!」って力が入っていたり、面白い顔で無理やり笑いを誘うのはあまり好きではないので、監督が作り上げるシュールな面白さは素晴らしいなと思います。
細川:杉野くんの素の可愛らしさが存分に出ている作品だと思います。今もこうして話していても、全然カッコつけていないところがすごい。
――「脱力しているお芝居」ってすごく難しそうですよね。考えてしまったら時点で脱力していないし…と。
細川:すごく難しいと思います。ダンスというか振り付けをしてもらうところもあるのですが、それも素晴らしかった。
杉野:監督が「こういう感じで」とやってくれる動きがすごくうまかったので、形態模写させてもらった感じです。コメディだけれど、監督もちゃんと厳しいから、一生懸命要望に応えたいなと思っていました。
細川:あんまり漫画にはその描写が無いんのですが、刀を雑に扱っているところもポイントです。武士なのに刀を大切にしていない感じが良いなと思っていて、そこはニュアンスを伝えた上で、杉野君が自分で表現してくれたので。
杉野:福くん(中島襄役)と話しているシーンですよね?どうやろうかなと悩んだのですが、あとで見たら良い感じだったので安心したことを覚えています。
細川:ただ歩いていくだけなのに、すごく磯兵衛だったので。
杉野:自分で言うのはちょっと恥ずかしいけれど、間を埋めた感覚もあったので、そういったセリフではない部分の表現が面白い実写化だと思います。
――福さんをはじめ他のキャストさんも素晴らしかったですね。
細川:母上役を檀れいさんが演じてくれて、やっていただけると思っていなかったのですごくありがたかったです。
杉野:上品な方がすごくふざけたことをやってくれているのが、僕もすごく面白くて。檀さんもきっとコメディすごくお好きですよね。
細川:笑うのを我慢していたけど、明らかに笑ってしまっているところもあって(笑)。楽しいことが好きな方なんだなと嬉しかったです。
――磯兵衛はサボることがとても上手なキャラクターだなと思うのですが、お2人の自分なりのサボり方ってありますか?
細川:普通の回答になってしまうのですが、脚本の締め切りが迫っているなど、追い詰められた状況にあっても出来るだけ力を抜くことを気をつけています。力みすぎないというか。でも力を抜くのが苦手な方もいますよね。
杉野:僕もすごく難しいなと思っています。力が入りすぎてしまうのは芝居でもよくないですし、緊張感は保ちつつも力を抜くことは難しいです。
細川:力を抜きつつも、本当に何も考えずにやるんじゃダメだしね。
杉野:芝居のことをすごく考えた上で、力を手放さないといけないから、難しいなと思います。自分がまず楽しんで、ノリに乗っていくことが大切なんだと思います。本作でいうと、監督が絶対に面白いものを作ってくれるという信頼があったから、そこに自分も乗っていった感じです。これが「自分が引っ張らなきゃ」と力んでしまっていたら、この作品は出来上がらなかったんじゃないかなと思います。
――たくさんの方がこの作品を見て、良い脱力をしてくれるんじゃないかなと思います。今日は楽しいお話をどうもありがとうございました!
撮影:たむらとも
杉野遥亮さん
ヘアメイク:KOTARO
スタイリング:伊藤省吾(sitor)