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「カイジ」の福本伸行と、「沈黙の艦隊」のかわぐちかいじという日本漫画界が誇る黄金タッグによる原作コミック「告白 コンフェッション」が、生田斗真、ヤン・イクチュンの日韓実力派俳優W主演で実写映画化。5月31日(金)に全国公開となります。
【ストーリー】大学山岳部OBで親友の浅井とジヨンは、16年前の大学卒業登山中に行方不明となり事故死とされた同級生、西田さゆりの慰霊登山に出かける。しかし猛吹雪により遭難し、ジヨンは脚に大怪我を負ってしまう。死を確信した彼は、自分がさゆりを殺害したと告白。そのまま死を待つジヨンだったが、直後に山小屋が出現する。一命を取り留め、救助を待つ2人だったが、浅井はジヨンの様子がおかしいことに気づく。
先の展開が読めないハラハラドキドキの74分!監督を務めた山下敦弘さんにお話を伺いました。
――映画とても怖く面白く拝見させていただきました!企画の発案から完成までに多くの時間をかけられたそうですね。
コロナが間に入っちゃったんで、結局5年ぐらいかかっちゃったんです。高田亮さんと最初に書いた脚本から撮影に入る前まで結構変わった部分も多くて。企画の最初からヤン・イクチュンさんやりたいという想いがあったので、原作とは違う、日本人と韓国人のやりとりになるということで原作とは変えた部分が多いです。
――言語の違いがありますものね。
イクチュンさんも日本語はかなり理解出来てお話も出来るのですが、ネイティブでは無いので。最初は全編日本語で喋ってもらう予定だったのですが、途中からジヨンが韓国語でブツブツ話す様になり、それが浅井には理解出来ずさらなる恐怖をますという設定に変えていきました。この言語の違いがプラスに活かせる仕掛けに辿り着くまでに結構時間がかかりました。
――拝見して、密室で緊迫した状況で、相手が何を言っているのか分からないのってめちゃめちゃ怖いし嫌だなと思いました…!
字幕がついているので観客には分かるのですが、浅井にとってはたまに何言っているのか分からないという恐怖がありますよね。
――原作の漫画の方はモノローグで心情が語られていますが、映画では違う見せ方をされていて面白かったです。
映画も全部モノローグにしてしまうとちょっとつまらないなと思っていたので、どう映画として変換していくかみたいなことは考えましたね。原作とは少し印象が違うかもしれませんが、そこも楽しんでいただけたら嬉しいです。
――イクチュンさんにお願いしたいと思ったきっかけはどんなことでしたか?
企画を立てたプロデューサーのアイデアだったんですけど、僕もそのアイデアを聞いてぜひやらせてください!と。撮影まで5年もかかってしまったので、本当によく待っていてくださいました。お芝居が本当にすごい方ですから、ご一緒したらどういう作品が出来るんだろうという興味がありました。僕は以前『リンダリンダリンダ』という映画でペ・ドゥナさんとご一緒しているのですが、韓国の俳優さんの映画に対するポテンシャルってものすごく高いなと感じていて。イクチュンさんもまさにそういう方でした。実際の彼はすごく優しくてお茶目な方で。撮影している時はものすごく怖いのに、普段は本当に柔らかい方なので、次またご一緒出来る時はイクチュンさんの素に近い優しい役柄をお願いしたいです(笑)。
――生田斗真さん演じる浅井は善人なのかどうなのか?という絶妙さでしたね。
ジヨンはある種のモンスター的なキャラクターで、とにかく放出していくタイプのキャラクターだったんですけど、 浅井はそれを受けてリアクションしなきゃいけないので、まずイクチュンさんには自由に暴れてくれと。その姿を僕と生田さんで見ながら浅井というキャラクターはどうリアクションしてくべきなのかを決めていきました。最終的には色々なことが起きるのですが、映画の流れ的には暴れるジヨンと受け止める浅井の図が多かったので、そのリアクションの微調整をずっと2人でしていた感じです。
今回、アクションシーンも多く、生田さんが僕よりも全然詳しい部分もあるので、アクション部の方と話ながら進めてくれたりもして。アクションは、派手な動きはないのですがセットがかなり狭いし、気をつけないと危ない動きも多かったので助かりました。
――映画のネタバレに関わる部分なのであまり詳しくは書けないのですが、人間の嫌な部分が凝縮されてもいるのに、お2人が演じることによってなんか憎めないですよね。笑っちゃう部分もあって。
生田さんとイクチュンさんのお芝居によるものも大きいですし、原作の福本伸行先生により凄みもありますよね。僕はもともと福本作品はあまり読んでいなかったのですが「最強伝説 黒沢」は面白くて好きです。福本さんの描く過剰な自意識というか、過剰な疑心というか、あそこまでいくとギャグだなというところが魅力的ですよね。だから「告白 コンフェッション」も、もちろん怖い漫画なんですけれど読んでいると笑っちゃうんですよね。浅井の異常な猜疑心がおかしくて。あの心理描写を書ける福本さんってすごいなと思います。「カイジ」もそうですが、みんな考えすぎて自爆してしまう。
――私は監督の作品が大好きでこれまでも拝見させていただいていますが、山下監督がこういったジャンルの作品を撮ることが意外でした。
結構驚かれることありましたね、意外ですって。僕自身がホラー映画を観るのが大好きなので、こういう作品を撮れた満足感がすごくあります。サム・ライミの『死霊のはらわた』とか怖いシーンもあるのですが、凄すぎて笑っちゃうという。
――私もサム・ライミ監督の『スペル』が好きなのですが、あのお婆さんとジヨンの暴れっぷりは、少し通じるものを感じました。
そうそう、あれも意味分からないですよね。なんであそこまで恨まれるのかっていう。観ている間は怖いなあと思っても、よく考えると「そんなに悪いことしてるか?」っていう。あれもギャグですよね。『死霊のはらわた』も子供の頃はただただ怖いだと思って見てたんですけど、最近見直すと全然ギャグなんですよね。とにかく過剰である。過剰なまでに主人公が追い込まれていくという所は僕の好きなホラー映画と本作の共通点かもしれません。もっと過剰にするかどうか悩んだんですけど、今見ると良い塩梅だったかなって。個人的にも面白かったです。
――最近監督が面白かったホラー映画があれば教えて欲しいです!
『バーバリアン』という民泊の話が面白かったです。民泊で予約していた部屋に行ったら、すでに男が一人いて…。という。その民泊の気持ち悪さが最初の30分ぐらいあるんですけど、最終的には全然違う着地点で、気持ち悪さがすげえ面白かったです。B級ホラーであり得ないことがたくさん起きてめちゃ笑えます。
――チェックさせていただきます。本作の主題歌「殺意vs殺意(共犯:生田斗真)」をマキシマム ザ ホルモンが担当されていますが、それも豪華すぎますね!
凄いんですよ。あの曲が上がってきた時にホルモンってすごいなって。俺が言うのもあれですけれどダメ元であたってみたら、メンバーに原作が好きな人もいて、生田さんとも交流があるということでOKをいただいて。最後にこの曲を聴いたら映画の内容が吹っ飛ぶぐらいの熱量と情報量の曲なんで。 そのままだと歌詞が聴き取れないと思いますけど、歌詞カードを見ると映画のことと全部リンクしている歌詞なのですごいんですよ。ぜひ歌詞もじっくり楽しんで欲しいです。
――映画館の爆音で聴きたいですよね。
本当、映画館の音響で聴くホルモン最高だと思いますよ。74分間2人の芝居が途切れないんで、すごく集中して観れる映画だと思いますし、終わって「ふーっ」って一息ついた時にホルモンがガツンと入ってくる。この映画の2人は過剰ですけれど、人間って何か抱えていること、秘めているものがあると思うので、そういう怖さを面白さも体験していただきたいです。
――今日は素敵なお話をありがとうございました!
『告白 コンフェッション』
原作:原作 福本伸行 作画 かわぐちかいじ 『告白 コンフェッション』(講談社「ヤンマガ KC」刊)
出演:生田斗真 ヤン・イクチュン
奈緒
監督:山下敦弘
脚本:幸修司 高田亮
主題歌:「殺意 vs 殺意(共犯:生田斗真)」マキシマム ザ ホルモン
音楽:宅見将典
製作:映画『告白 コンフェッション』製作委員会
製作幹事:日本映画放送 NTT ドコモ
制作プロダクション:ギークサイト
配給:ギャガ
(C)2024 福本伸行・かわぐちかいじ/講談社/『告白 コンフェッション』製作委員会
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