クエンティン・タランティーノの初監督作にして、全世界の度肝を抜いた鮮烈のバイオレンス作『レザボア・ドッグス デジタルリマスター版』が、大ヒット上映中です。

本作の1993年初公開当時に宣伝を担当していたのが、本多淳一さん(元株式会社ヘラルド・エース)。発売中のリマスター版のパンフレットには本多さんのインタビューが掲載されており、「タランティーノを床屋に連れて行った」などの貴重なエピソードが! ガジェット通信でも本多さんにいくつか質問させていただきました!

◆デジタルリマスター版が公開すると聞いた時のお気持ちを伺えますでしょうか?

タランティーノ10作目にして引退作品となる新作の発表がなされたタイミングで、30年ぶりにデビュー作がデジタルリマスター版で甦るというニュースはうれしいことでした。当時は生まれてもいない、若年層の映画ファンがこの名作を発見・絶賛してくれているのも、いまの時代に通ずるスピリッツがこの映画にはあるのだなと感じて、最初に関わったスタッフとして誇らしいことです。

◆本多さんも劇場でご覧になったと思いますが、改めてご覧になっていかがでしたか?

いきなり銀行強盗計画が失敗したラストシーンから始まり、キャラクター紹介で時制を戻しながら、しかも誰が裏切り者かもすぐにばらして、ストーリーをドライブさせていくシナリオ設計と演出に、改めて感服しました。もちろん「リトル・グリーン・バッグ」が流れるタイトルバックでは鳥肌が立つほどコーフンしましたよ。しかし、特殊詐欺が横行するこの時代に、正面切って強盗に入るオールドファッションな犯罪スタイルは、60-70年代のアメリカンシネマにハマった世代には、音楽や陳腐な会話同様に楽しめる設定だったことに改めて気づかされました。

◆パンフレットに掲載されていた、タランティーノ監督のアテンドエピソードがとても素敵でした。ゆうばり国際映画祭での思い出を教えていただけますか?

夕張では雪だるまの着ぐるみ着せられて狂喜して子供のように雪合戦してたかと思えば、取材の合間も時間を惜しんで、次回作となる「パルプ・フィクション」の台本執筆に没頭していたり、公私の切り替えが早い人だなあ、と思いました。

◆レザボア・ドッグス以外でお好きなタランティーノ作品を教えてください。

「ジャッキー・ブラウン」
歌に乗せてパム・グリアが歩くオープニングからして大好きです。
「デス・プルーフ in グラインドハウス」 
中高生のころに名画座通って観た「ダーティ・メリー/クレイジー・ラリー」や「ラスト・アメリカン・ヒーロー」のようなアメリカを滲ませる作品として、笑って泣けた。
「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」
シャロン・テート事件をモチーフにしたってことだけで、ありがたい作品。

◆今、レザボア・ドッグスの宣伝をするとしたらどの様なアプローチをしますか?

30年前と今とでは全く宣伝手法やツールが異なるし、一流監督の地位を既に確立してしまっているので、なんともですが、やっぱりサントラをガンガン売り込んでカッコいい音楽から映画に引きづり込みたいです。また、黒いスーツの男たちを全国各地の繁華街を歩かせる、とか、あまりお金かけなくても話題づくりできる手法で宣伝したいですね。

◆本多さんは数々の作品を配給されてきたかと思いますが、レザボア・ドッグスのように印象的だった作品とそのエピソードを教えてください。

1989年に日本武道館・大阪城ホールなどを会場に、オーケストラ付き生演奏で上映した一大ページェント「イントレランス」のイベント上映が印象に残ってます。映写機3台を駆使し、最後のクライマックスシーンで、1面からいきなり3面スクリーンに拡大され、3つの時代の映像を並行して投影させるという大スペクタクルを巨大な会場で体感しまして、その夜限りほかにはないイベントとして興奮した思い出があります。同時並行で、これも映画のマジックといえる「ニュー・シネマ・パラダイス」も宣伝していて、映画の時代とともに生きた映画評論の神様・淀川
長政先生、野口久光先生に導かれて、映画の面白さ・すばらしさを体現した時期でした。

◆本多さんが最近ご覧になって「これはすごい!」と唸った作品を教えてください!

唸ったというにはおこがましいですが、『PERFECT DAYS』かなあ。鳥の声で起きて、缶コーヒー買って、仕事に行って、「おっ疲れさーん!」でチューハイ1杯飲んで、文庫本読んで寝る生活、なんか私もやってるような気がしてきた、映画でした。毎日、ニーナ・シモンとルー・リード聴いてます。ヴァン・モリソンも。

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情報提供元: ガジェット通信
記事名:「 『レザボア・ドッグス』1993年初公開当時の宣伝担当・本多さんに色々聞いてみた!「いまの時代に通ずるスピリッツがこの映画にはある」