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落合モトキさん、あのさんがW主演の映画『鯨の骨』が上映中です。
『鯨の骨』は濱口竜介監督と共同執筆した『ドライブ・マイ・カー』が米アカデミー賞脚色賞にノミネートされ、話題沸騰の配信ドラマ「ガンニバル」の脚本も手がけた大江崇允。いま世界が注目する映画作家が、リアルとバーチャルが混濁する現代の寄る辺なさを、ミステリアスな迷宮ファンタジーに昇華させた最新監督作。
美しくあやしい映像に紡がれたこの作品の魅力について、落合さんとあのさんのお2人にお話を伺いました。
――本作大変楽しく拝見させていただきました。お会いするのは久しぶりですか?
落合:撮影の後、一度あのちゃんのライブに行かせてもらいました。それ以来ですね。ライブは腹から声が出ていて、めちゃくちゃカッコ良かったです。
――お2人は初共演となりますが、まず最初にお互いに抱いた印象と、それがどう変化していったのかを教えてください。
落合:謎の多い子だなという印象を持っていて、まさか一緒に映画に出られるなんて思わなかったので驚きました。一緒にやっていくにつれて、すごく真面目な一面を見させていただきました。1週間リハーサルがあったんですけど、そこで一生懸命台本と向き合ったりとかしていて。
あの:ありがとうございます。(落合さんのことは)色々な作品で観ていたし、色々な経験をされている方だったんで、自分が足引っ張らないようにしなきゃなとか、そういう気持ちで最初お会いしました。恐かったらイヤだなと思っていたのですが、すごく気さくで話しやすくて安心しました。撮影では、すごく演技で引っ張ってくれて。ついていこうって。
落合:音楽とかファッションとか色々なカルチャー通ってきた人なんだなと思いました。現場で、今日の服カッコいいねとかそんな話もしていました。
――落合さんが演じた間宮は全体を通して翻弄されていく役柄で、大江監督も「とても難しい役柄を落合さんのお芝居で助けてもらった」とおっしゃっていますね。
落合:振り返ってみると結構難しそうなことを自分でもやっているなという感じなんですけど、意外とその時は感じていなくて。その1週間のリハーサルに助けられたと思います。色々ことを試して、間宮が加害者という心境の時にもちょっと余裕を持った芝居が出来て。自分的には難しい役柄だと重く捉えてなかったって感じですかね。今って作品が早いペースで作られていくので1週間リハーサルをいただけるのは贅沢な方かもしれないですね。
あの:すごくありがたい時間を過ごさせていただきました。
――落合さんは子供の頃から活動されていますが、キャリアを重ねてきて、こうした“翻弄される大人”という役柄も見事に演じられています。自分の中で役の幅が広がってきたな、という変化は感じられていますか?
落合:子供の頃からやっていて、いくつになってもずっと年下だったなってところから今30代になって、スタッフさんでも年下も増えてきたりとか、同い年の方が増えてきていますね。年上として現場の空気を作るというか、いつもの僕は年下にも敬語で話すタイプなのですが、距離を詰めるためにも、ちょっと近しい言葉で喋るっていうのも大事なんだなっていうのを覚えてきたりとか。もちろん台本セリフを覚えて現場で演じるということは絶対のことなんですけど、現場でどれだけスタッフさんと楽しい距離を取れるかなっていうようなところは今勉強中でもありますね。現場に行くことは楽しいので、楽しみながらの勉強です。
――あのさんが演じた明日香というキャラクターも複雑な側面を持っていますが、演じる上ではいかがでしたか?
あの:明日香は“ミミ”中の人なので、人間に1枚フィルターをかぶせた感覚というか、目線だったり、発言の仕方を意識していました。監督からは僕の発声の仕方を結構指導されたので、なるべくそれを守れるように頑張りました。苦戦はしましたし、すごく特訓しました。挙動とか、自分の動きのクセみたいなものを無くせる様に。人間矯正からはじまったので、たくさん学ばさせていただきました。
――あのさんは俳優、アーティストとしての活動に、バラエティー番組で活躍も目覚ましいですが、自分の中でスイッチの切り替えみたいなものはあるのですか?
あの:スイッチの意識を変えていないからかもしれないけど、頭がもうこんがらがっちゃった事1回ありましたね。なので、もうちょい意識した方がいいのかなと思ったりはします。この映画の撮影をしている時は、監督に「映画のことだけを考えて欲しい」と言われていたので、すごい束縛の中でしっかりと映画に向き合うことが出来ました。
――撮影で特に印象に残っていることはありますか?
落合:とにかくたくさん走ったなと思います。何回も何回も走って、お互いヘトヘトになっていながらも、最後のシーンに向かっていたんで、もう何か出し切ろうみたいな感じが現場にも僕自身にもあって、しかもそこの走るシーンからハッピーエンドに向かっていくので印象が強くて。そして、あのちゃんの足が速い! ヒールのある靴で走っているのにすごく速くて、33歳の僕も本気出して頑張りました。
あの:すごい走りました。カメラワークが面白くて、現場ではどんな風に撮影しているのかよく分からなかった部分が、完成をした作品を観たらトリックの様に不思議なシーンとなっていて。全体的に「こうなるんだ」というシーンが多くて面白かったです。
――主題歌「鯨の骨」(ano)を、あのさんが手掛けられていますが、これは映画への出演と同じタイミングで決まったのですか?
あの:何となくやれたらいいね、いいですねぐらいの話は出ていましたが、決定したのは撮影に入ってからです。明日香を演じながら作っていきました。作詞にも演じているときの気持ちとか、自分の感じたものが込められています。撮影が終わって、エンディングに流れるのだったらこんな音だなというのは大体固まっていて。この作品自体が綺麗でふわふわしていて、でも怖いというまさに“深海”の雰囲気を持っているなと思ったので、それを歌詞に入れさせていただきました。
落合:完成した作品を試写室で観させてもらった時に、エンドロールであのちゃんの歌なんだと知って。曲自体も良かったし、本当に深海の中を見ているような終わり方だったのですごく合っているなと感じました。
――本作はバーチャルとリアルが混濁した世界観となっていますが、お2人が“ミミ”の様な技術の進化だったり弊害を感じることはありますか?
落合:自分もヘッドホンつけてネットゲームをやったりするんですけど、やってみてダメだこれってなったら退室しちゃえばいいし、言い方はすごく悪いけれど、無責任な世界が生まれ始めているなとは思いますね。ちゃんと約束して、対面して何かをすることとは違うというか。
あの:アーティストとしても活動している身からすると、曲を歌うにしても、バーチャルの音楽が人気を集めていることは新しいジャンルだし良いなと思うし、カッコ良いなと思う曲もあるけれど、人間として感情を乗せていくという事は大事にしているんで、それはAIには出来ない事だって信じたいし、アーティストとして戦いたいなとは思います。
――最後に、ガジェット通信は役員がひろゆきさんだったりするのですが、あのさんとひろゆきさんの会話がすごく好きで…。
落合:あのちゃんとひろゆきさんは友達になるの?
あの:友達じゃないです。何回かひろゆきさんと番組に出ただけで、ぶわーって色々な切り抜き動画が出てきたので印象が強いだけです。
――このインタビューが出たら、ひろゆきさんにもURLを送ります(笑)。今日は楽しいお話をありがとうございました!
撮影:稲澤朝博
◆落合モトキさん
ヘアメイク:山田みずき
スタイリスト:中田愛
衣装クレジット表記
お問い合わせ:Sakas PR (サカス ピーアール)
住所:東京都渋谷区神宮前3−15−21 ヒルトップ原宿301号
TEL:03-6447-2762
◆あのさん
ヘアメイク:出口夕紀
スタイリスト:神田百実
【あらすじ】結婚間近だった恋人と破局した不眠症の間宮は、マッチングアプリで唯一返信をくれた女子高生と会うが、女子高生は間宮のアパートで自殺してしまう。うろたえて山中に埋めようとするも、気がつけば死体は消えていた。間宮はARアプリ「王様の耳はロバの耳(通称ミミ)」(※注釈)の中で、死んだ女子高生と瓜二つの少女“明日香”を発見する。“明日香”は「ミミ」を通じて再生できる動画を街中で投稿し、動画目当てのファンたちが街を徘徊するカリスマ的存在だった。 “明日香”の痕跡を追いかけるうちに、現実と幻想の境界が曖昧になっていく間宮。いったい“明日香”とは何者か? 彼女は死んだ少女と同一人物なのか? そして本当に存在するのだろうか?