ジェラルド・バトラー主演最新作『カンダハル 突破せよ』がいよいよ 2023年10月20日(金)本日より公開となります。

ホワイトハウス占拠、潜水艦 VS クーデター部隊、巨大彗星の地球直撃……数々の危機を満身創痍で乗り越えてきた 孤高のアクション俳優、ジェラルド・バトラーの次なるミッションは、敵地のド真ん中に取り残された CIA 工作員が 繰り広げる孤立無援の脱出アクション!

製作には『ジョン・ウィック』シリーズのプロデューサーほかバトラー自身も参加。監督はバトラーと 3 度目のタッグとなるリック・ローマン・ウォー。元アメリカ国防情報局の職員としてアフガニスタンに赴任していたミッチェル・ラフォーチュンの実体験をベースにし、現在進行形の複雑な中東情勢を踏まえたリアリティと、手に汗握るスリルとアクションを兼ね備えたエンタテインメントとなっています。そんなリック・ローマン・ウォー監督に本作へのこだわりなどを聞きました。

――アメリカ国防情報局の職員として、アフガニスタンをはじめとした中東区域に何度も派遣されたミッチェル・ラフォーチュンならではのスリリングな脚本だったと思います。初めて脚本を読んだ時の感想を教えてください。

脚本を読んでとにかく僕が気に入ったところは、物語がアメリカからの視点だけで描かれていなかったこと。これはミッチェルにとっても非常に重要なポイントで、彼が経験した、ある地域に行くと最初自分が異邦人のように感じるが、その地域で過ごす時間が長ければ長いほど、皆同じ人間なんだということに気づいていく感覚、それを反映させたかった。

通常の映画であれば主人公の敵役になるようなキャラクターに対しても、本作では共感力や思いやりというものをしっかり持って描かれていて、戦争で我々が戦っている反対側にも、ただ自分の家族のもとに帰りたいと思っている人間がいるんだというのが僕は非常にいいなと思ったんです。人間としてちゃんと描かれていることに惹かれました。

――本作はフィクションとノンフィクションが入り交ったような構成になっていますが、どの様にバランスをとっていきましたか?

良い質問をありがとうございます。映画を作る時には、常に自分の中でバランスを見ています。それが大事だし葛藤でもある。とにかくリアルであることを僕は大切にして映画を作っています。そういった中で僕はドキュメンタリー作家ではないんだと思い出すことも重要なんです。
ドキュメンタリー作家はリアルさというのを追求しながら表現していくもの。事実であったり真実であるわけですが、僕はフィクションの映画作家というエンタメの形をとる映画を作っているわけだから、そこは意識しています。ノンフィクションのストーリーをもとにしているかもしれない、だけどそれをどうフィクションにしていくのかは非常に大切にしています。そのなかでキャラクターや世界が本格的であること、持っている本質がしっかり描かれていることを大事にしてます。もし日本で撮影することになれば、日本の地域や人にとってリアルなものを作りたいと思っています。
まさに、リアルであることとエンタメであることをブレンドしていきたいと考えています。

――3度目のジェラルド・バトラーとのタッグはいかがでしたでしょうか?彼の魅力を教えてください。

ジェリー(ジェラルド・バトラー)は1人の人間として非常に素敵で大好きであるとともに、映画スターとして被弾することなく、全く痛みを感じないようなアクションヒーローを演じようと思っていないところも大好きです。彼は脆さとかセンシティブな部分、短所を役者として、アクションスターとして見せてくれる。彼も僕も惹かれるキャラクターというのは、人間をそのまま写した、我々のような人間なんです。なので、スーパーヒーローものでたまに見るような型にハマった白黒はっきりしたようなキャラクターではなく、そのキャラクターの人間性を表現したいと思っているんです。

今回は中東が舞台で、そこで起きている暴力の連鎖が描かれていいますが、一つの面からではなく全ての側面から描きたいというのも大事にしていました。この物語の中では、トムとモーという最初は全く違うものを持っているような2人が、時間を共に過ごすことでもしかしたら家族よりもなにか共通するものを持っているのかもしれない、お互い人間なんだと気づいていくという物語になっています。

――サウジアラビア王国でこれほど大規模な英語圏のジャンル映画が撮影されるのは、初めてとのことですね。

まず『アラビアのロレンス』以来の大規模な撮影ときいてワクワクしましたが、誰も見たことのない風景を映画で撮影できたこともスリリングでした。ただ、プレッシャーもありましたね。例えば日本でアメリカの映画クリエイターとして撮影するのであれば、現地の役者もスタッフもプロフェッショナルな人たちを集めることができるけれど、サウジアラビアではまだ映画産業がこれからという状況。25カ国から500人が集まって、インフラを作ってから映画を作らなければいけませんでした。現場にいるときは「サウジアラビアで『地獄の黙示録』を作っているような気がする」とジョークを飛ばしていましたが、関わった全ての人にとって忘れられない撮影だったと思います。500人が誰1人辞めることなく、撮影が終わったときは泣いていたり感情が高まっていました。皆違う文化から集まったのにもかかわらず、撮影後には連絡を取り合うような仲にまでなった。それはこの映画そのものを反映しているようにも思います。

――激しい銃撃戦や広大な砂漠でのカーチェイスなど迫力の映像が盛り沢山あります。演出する上で意識したことなどありますでしょうか?

観客に感じてほしいのはキャラクターの感情です。劇場で2時間、キャラクターの感情面での旅路に入り込んで、お手洗いに行くこともなく、ずっと映画の中にいてもらいたいと思っています。アクションシーンも作り方は同じなんです。アクションスタントとかをやってきた経験はあるんですが、そのシーンではキャラクターの感情が乗っているかを大切にしています。
夜間、ヘリコプターと戦うシーンも感情がそこに乗っていることが大事で、アクションのための思考のないアクションにならないように。目で見るというよりも体感、肌で感じて欲しいと思っています。

――今お話いただいた様に、アクション大作でありながらキャラクターの感情を大切にされている所が監督の作品の魅力だと感じました。

“感情の旅路”をとても大切にしています。観客がエモーショナルな道のりを体験出来るということ。キャラクターを見ているだけでなく、キャラクターの感情を感じてもらうことが大事だと思っています。

――今日は素敵なお話をありがとうございました!

『カンダハル 突破せよ』

【ストーリー】イラン国内に潜入中の CIA 工作員トム・ハリス(ジェラルド・バトラー)は、核開発施設の破壊工作に成功した直後、CIA内部告発により機密情報が漏洩し全世界に正体が明かされてしまう。即刻ミッションを中止し中東からの脱出を図るトムが目指すのは、アフガニスタン南部のカンダハルにある CIA 基地。30 時間後に離陸する英国 SAS 連隊の飛行機に乗らなければ、生き残るチャンスはない。イランの精鋭集団・コッズ部隊のほか、パキスタン軍統合情報局(ISI)も絶好の「金づる」になりうるトムの捕獲に乗り出し、さらに、タリバンの息がかかったゲリラ、金次第で敵にも味方にもなるウォーロード率いる武装集団など、トムの行く手にはさまざまな勢力が立ちはだかり、敵味方の入り乱れる壮絶な死闘へと追跡劇が繰り広げられるのだった。はたして執拗に襲いかかる敵の追跡をかわし、無事カンダハルに辿り着くことができるのか?

ジェラルド・バトラー
監督:リック・ローマン・ウォー『エンド・オブ・ステイツ』『グリーンランド―地球最後の2日間―』
脚本:ミッチェル・ラフォーチュン
2022 年/イギリス/ DCP5.1ch/シネマスコープ/英語/119 分/G/KANDAHAR(原題)/字幕翻訳:平井かおり、字幕監修:大久保義信
提供:クロックワークス、アスミック・エース/配給:クロックワークス
(C)COPYRIGHT 2022 COLLEAH PRODUCTIONS LIMITED. ALL RIGHTS RESERVED.
Twitter:@kandahar_toppa
公式サイト:klockworx.com/movies/kandahar

情報提供元: ガジェット通信
記事名:「 ジェラルド・バトラー主演最新作『カンダハル 突破せよ』リック監督に聞く「フィクションとノンフィクションのバランスが大事だし、葛藤でもある」