世界で最も有名なファッションドールであるバービーが遂に映画化。映画『バービー』が公開中です。どんな自分にでもなれる完璧で<夢>のような毎日が続く“バービーランド”から、〈悩みのつきない〉人間の世界へ向かったバービーとケンが、そこでの出会いを通して気づいた”完璧”より大切なものとは?そして、バービーの最後の選択とは?

本作を手がけたグレタ・ガーウィグ監督(『レディ・バード』『ストーリー・オブ・マイ・ライフ/わたしの若草物語』)にお話を伺いました。

――映画の中でバービーとケンの置かれている状況は何度か反転していきます。色々な出来事を通してお互いを理解していきますが、グレタ監督が私生活で感じたことをストーリーに反映している部分はありますか?

もちろん反映されています。今回の物語のベースは、私が子供の時におもちゃや人形で遊んだ記憶から始まっているんです。子供たちが遊ぶときって、すごく真剣じゃないですか? 子供が遊ぶという感覚がどのくらい私たちにとって重要かを何らかの形で織り込みたいと思っていたので、(自分の)子供たちの遊ぶ姿からインスピレーションを受けた感じです。大人としてその経験を思い出したとき「あれはどういうことだったんだろう?」と考えるわけで、その要素を反映しています。

――あらゆる種類のバービーが登場してきて驚きました。

バービーが変化していること、私が若かったときと違っていろいろなボディタイプの変化したバービーがいることは、本当に素晴らしいことだと思っています。色々な女性がバービーとして存在しているから、世界中の方がこの世界の中で自分自身を見出すことができることこそ、自分が映画を作る上で重要でした。

――「この世界の中で自分自身を見出すこと」ということがまさに作品内で語られていますよね。

この映画自体は楽しいし、笑えるし、美しい部分もすごく多いんですけど、同時にシリアスでなければいけないとも思っていました。「バービー」と聞くと、一見、深さや奥行きがあるとはあまり思わないですよね。だからこそ、逆にそこに深さがあったら面白いのではないかと思いました。プラスチックの人形であるバービーの物語を通して「人間とは何なのか」を模索することは、すごくやりがいのあることでした。

――『レディ・バード』『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』など、監督のこれまでの作品でも“自分らしさの模索”は一貫して描かれていますよね。

人がより自分らしくなる、人間らしくなることに、私はとても興味があるんです。人間は生きている中で、自分のアイデンティティに欠かせないと信じていたことを、何度も自分で取り除いていく生き物だと思います。それは、10代、20代~80代と、人生の様々なタイミングでずっと起きることではないでしょうか。そうやって自分が築いたアイデンティティと自分自身がぶつかってしまう瞬間に“強いもの”があるような気がして、すごく興味があります。その瞬間、自分の人生の底が抜けたような感じがするわけです。そのとき人はどうするのか?ということですね。

――マーゴット・ロビー、ライアン・ゴズリングはもちろん、たくさんのダンサーさんたちが映画に華を与えていますね。

彼らはたとえ踊っていなくても独特な存在感があり、身体的なあり方があると思ったからです。太陽が降り注ぐビーチで、彼らは彼らでコレオグラフィされ、その通りに動いている。それにより、誇張された世界観がより出せたんじゃないかなと思っています。

マーゴットとライアンだけでなく、皆さん本当にすごくユーモアと才能があって、素晴らしい人たちばかりでした。特にコメディ部分は全部心からやっている様に見せたかったので、もともとそういう(コメディの)気持ちを持っている方をキャスティングしました。どうしても、バービーにばかりフォーカスが当たりがちで、ケンは忘れられた存在になってしまうんですよね。なので、ライアン・ゴズリングと2人で「彼の物語は語られるべきだよね」と言い合いケンの物語を考えました。

――グロリア(アメリカ・フェレーラ)にとってのバービーの様な、監督の“元気の源”は?

子供たちです!13歳、4歳、5か月、それぞれ3人の息子がいます。特に一番小さい赤ちゃんを抱きしめるのは素敵なことで、仕事が終わって戻ったとき、小さな頭をなでるとすごくリチャージされますね。私の映画は、深い形で子供時代について掘り下げているような気がしているんです。だから自分自身が子供を持つことで、よりそのテーマにつながりを感じています。

映画『バービー』上映中
キャスト:マーゴット・ロビー「ハーレイ・クインの華麗なる覚醒」、ライアン・ゴズリング「ラ・ラ・ランド」、シム・リウ「シャン・チー/テン・リングスの伝説」、デュア・リパ、ヘレン・ミレン「クイーン」
監督・脚本:グレタ・ガーウィグ 「レディ・バード」「ストーリー・オブ・マイ・ライフ/わたしの若草物語」
脚本:ノア・バームバック「マリッジ・ストーリー」
プロデューサー:デイビッド・ヘイマン「ハリー・ポッター」シリーズ「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」

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情報提供元: ガジェット通信
記事名:「 映画『バービー』グレタ・ガーウィグ監督インタビュー「人形であるバービーの物語を通して“人間とは何なのか”を模索する」