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iMZ3兄弟が掲げる7つの仕事の流儀「INSIGHT」をテーマに、オーナー(iMZ経営陣)5人衆が集いトークを展開する連載2回目。
※iMZは、ふくおかフィナンシャルグループ傘下のiBankマーケティング、みんなの銀行、ゼロバンク・デザインファクトリーの3社の頭文字をとった略称です。
■ オーナー座談会に登場する人物
横田 浩二 みんなの銀行 取締役会長
永吉 健一 みんなの銀行 取締役頭取/ゼロバンク・デザインファクトリー 取締役社長
宮本 昌明 みんなの銀行 執行役員CIO/ゼロバンク・デザインファクトリー 取締役CIO
明石 俊彦 iBankマーケティング 代表取締役社長
内田 一博 iBankマーケティング 代表取締役副社長
―― 「iMZ社内へのINSIGHI浸透度」のディスカッションを通して、オーナーそれぞれの視点がよく分かりました。iMZそれぞれ、目指すべきゴールはどこに設定していますか?
永吉 このMission・Vision・ValueとINSIGHTの関係図を見てもらうと分かるかと思いますが、我々のINSIGHTとは、この山を実現するために必要なものを仕事の流儀として定めたものなのです。iMZは3兄弟ですが事業の目的が異なるので、図のように山が2つに分かれています。ですが目指すのは、それぞれの山の頂。
それぞれのMission・Visionをどう実現していくか。我々のMissionには敢えて抽象的で、人によって捉え方が異なるようなキーメッセージを掲げていますが、その下にあるVisionは、みんなの銀行とゼロバンクの場合は“銀行として目指す姿”だし、iBankの場合は“ネオバンクとして目指す姿”を掲げています。一番下にあるINSIGHT、そしてValueを実践していくと、おのずとMission・Visionがカタチになっていく。というところがゴールなのかなと私は考えるのですが、皆さんはどうでしょう?
内田 少し別の方向からお話させてもらうと、私は以前、某総合電機メーカーグループに在籍していたのですが、そこでは会社が掲げる設立目的を社員行動原理として、エレキ事業の人だけではなく、銀行・生保・損保などの金融や医療用デバイスの事業の人たちも、当然のように自由闊達・愉快であることを体現しようとしていました。当時私は金融事業の担当でしたが、他の事業の人と初めて接するような時でも、相手に対して「やはり同じミッションの実現を目指している人だな」という印象を持つことが多く、自然と一体感みたいなものを感じていました。2年間の在籍でしたが、今でもよく覚えています。
INSIGHTの僕なりのゴールは、iMZで働いたという経験が、その人にとって「すごく良い経験となった」「一生の宝物だ」と思えるところまで持っていくことなのかな、と。ここで仕事の流儀を体得した上で、外に出てさらに活躍していく人もいれば、iMZで仕事の流儀をさらに発展させますます活躍していく人もいるでしょう。いずれにせよ彼らが世の中をリードしていくような人に育っていく、そんなゴールを期待しています。
横田 我々iMZが、企業としてサステナブルな存在であるために何をするのか。それが働く者の仕事の流儀、INSIGHT、行動原理なのですが、一番身を身を以て感じるのは、やはり逆境の時。そんな時こそ、この7つの仕事の流儀に基づいた行動ができるか、が非常に大きな意味を持ちます。
例えばラグビー。負けて落ち込んでいる時は掛け声も出にくくなる。そうするとセットプレーで互いに確認し合わないといけないですよね。コミュニケーションとして出てこない状態は、INSIGHTを忘れた状態。サステナブルに発展させていくために皆で行動しよう、特に逆境の時には。そういう原点に立ち返るものがINSIGHTではないかと思います。だから終わりのない山登りみたいな感じでしょうか。
宮本 内田さんのお話から、私もちょっと思い出したのですが。以前SIerのコンサル部門に在籍していた時、先輩から教えてもらったことがあります。経営課題を考えるにあたり、考案を出しては何度も白紙に戻されていたのですが、その中で「お前の色を出せ」と言われたのです。仕事の結果一つひとつは芸術作品と同じ。だから常に自分にしか作れないアウトプットを出すように、と。それを聞いて、それが自分の存在意義であるし、仕事の成果に自分を入れ込むということが、とても良いなと思いました。
もう何十年も前の話ですが、ずっと覚えていて、今でも心掛けています。それぞれの道のプロである自覚を持って、仕事において自分の存在価値をしっかり出していく。そういう心持ちで仕事に取組んでいれば、自然とINSIGHTも実践できているのではと思うのです。だから逆に考えると、INSIGHTのゴールは、プロとして自分が成長することなのかなと思っています。
明石 iBankは2016年の設立ですが、当時は人数も少なかったので、人や心の距離感、何かに向かって行く時の価値観みたいなものを、比較的寄せやすかったと思うのです。一方、現在ではスタッフ数も100名を超えてきて、それぞれのバックボーンも異なり、距離感、価値観も多様です。そうなると皆の拠り所となるようなものが必要で、INSIGHTは、その拠り所としての大きな役割を担っているのかなと。つまり意識しなくても、結果として好循環を作り続ける状態ができれば、それが目指すゴールなのかなと感じています。
―― 自身が一番好きなINSIGHTと、その理由を教えてください。
明石 「Take the Lead(思い立ったら、やってみよう)」と「Give Many “Likes”(「いいね!」をたくさん口に出そう)」。私は銀行員人生が長かったので、どちらかというと手堅く、確認しながら進めていくし、何かあるとまず穴を探すみたいな癖が知らず知らずについているのですが(笑)、iBankは新しいことを生み出していく会社です。だからこそ「思い立ったら、やってみよう!」という精神がとても大事だと思います。それぞれが「いいね!」をたくさん口に出しながら、新しいことにどんどん挑戦していくカタチができたら、最高だなと思います。
宮本 「Inclusion &Diversity(みんなちがって、みんないい)」。1つだけを選び出すのは難しいですね(笑)。「Take the Lead(思い立ったら、やってみよう)」も好きだし、「Nothing is Impossible(「できない」ではなく、どうしたら「できる」かを考えよう)」も好き。
みんなの銀行のパートナー企業であるGoogle Cloudさんの食堂に行った時の話ですが、様々な国籍のスタッフが楽しそうにディスカッションしている姿が印象に残っています。例えば企業の採用では、同一の考え方を持つ人を集めようとすることが多いですが、そうではなく、寧ろ異なる発想を持つ人を集めてディスカッションを尽くしていく。私自身、仕事においては今でも「なんでこの考え方を理解してもらえないのだろうか」と思う瞬間もありますが、それでも多様な考え方の人をどんどん受け入れて、ディスカッションを尽くした上で一体感を作り上げていくのが、組織にとって非常に重要なのだと思考えています。
内田 「Stand United with Compassion(常に「思い遣り」の精神を持とう)」。4年ほど前、iBankには20名ほどのスタッフしかいませんでした。当時、キャリア採用組の中でも私は早い時期の入社だったわけですが、周りの皆さんは夢あふれる若者で、優秀な人ばかりなのに、私は一番のおじさん。不安や緊張だけではなく、寂しさや違和感もあったのは事実です。
これからiMZにはたくさんの方が入社されますし、あるいは、ポジションを変えて新しい職種にチャレンジする人も増えてくるでしょう。彼らの中には、以前の私と同様に、寂しさや違和感を覚える人もいるでしょう。だからこそiMZは、新しく参画してくる人たちを思い遣りの精神で包み込むような組織でないといけない。皆さんも感じたであろう、最初の寂しさや違和感を忘れないで欲しい。これは、先ほど宮本さんがお話された多様性の裏返しとして、大事なことなのかなと思います。私のiMZでの原点でもあるので、「思い遣り」の精神を大事にしたいなと思っています。
永吉 「High Heat!(「熱量」の高さで結果に差をつけよう)」。INSIGHTの生みの親としては全部と言いたいところですが(笑)。私の職業人生を振り返ると、限界突破する時には必ず良いものができるのですね。先ほど宮本さんがお話された「自分の色を出す」というのも、High Heat!に通じると思っています。
まだ誰もやったことのない新しいコトには、正解もゴールもないものです。「ここまででいいや」って自分で勝手にゴール決めてると、それ以上先はないですよね。まだ誰もやったことのない新しいビジネスは、それこそ正解もゴールもなく、まさに一人ひとりが会社の端っこを走り回りながら広げているところなので、「ここまででいいや」と、会社の端っこで走るのを止めてしまうのは、すごく残念なことだと思います。
iMZでは「何やってもいいよ」「どんどんやっていいよ」と言っているわけですから、熱量高く、自分の限界を突破して、より良いものを作ることに挑戦して欲しい。常にHigh Heat!で取組むのは楽ではなく、正直きついです。手を抜く瞬間が必要な時もあるかもしれない。でも、やる時はやる、という気持ちを私自身、大切なキーワードにしています。
横田 「Nothing is Impossible(「できない」ではなく、どうしたら「できる」かを考えよう)」。私も永吉さんと同じく全部と言いたいところですが、今日はこれにします。
私も長く銀行員を続けてきましたので、銀行員の常識に凝り固まっています。それでも、新しいものはやはり常識を覆すこところから生まれてくる。よくアメリカではお年寄りが、”Never say never”という言葉を使うんですね。「絶対できない」とか「問題外」とか言わずに、どうしたらできるのかを考えると、その方が面白い。経験を積み重ねれば重ねるほど、知識が増えれば増えるほど、Nothing is Impossibleが逆に遠くなってしまうので、自戒も込めて、私はこれを選びます。
(3/3編につづく)
(執筆者: みんなの銀行)