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どうも特殊犯罪アナリストの丸野裕行です。
かつて西成に潜入取材をした筆者、当時に巡ったのは生活保護者相手に賭博が行われている通称・ドームや場末のスナック、畳の継ぎ目から小さなゴキブリが湧いてくる簡易宿泊所(通称・ドヤ)などでした。
ハルシオンや裏DVDを売る露店、飛び降り自殺した女性に群がるホームレスなど、様々な現場を目のあたりにしてきましたが、今の西成は一体どのように変貌を遂げているのでしょうか?
今回はヤクザ博士、半グレ博士で社会学者の廣末登先生らとともに危険な街を散策した記録をリポートします。
まず廣末先生と向かったのは、西成の時計の修理店。時計のオーバーホールを行っている職人さんのところへ伺いました。まさかのイメージのあった西成で長年職人をしているご夫婦はその喧騒まみれの世界とは一線を画した温厚さ。
これから向かう“現場”の前に、非常に癒されました。
時計談義をした後、お店を出ましたが、インバウンドでうろつきまくっていた外国人がいない。
コロナ禍でドヤなどに宿泊していた彼らがいないために、街は静寂に包まれています。
先生と路上生活者のホームグランド・あいりん職業安定所のあたりに歩を進めます。
「いやぁ、丸野さん、ここらは変わっとらんよ。まぁ冬場とかに逝く人もいるからね。流れ者が世代交代してるんと違うの」
確かに職安の隣に渦高く積もられたゴミの山。それを漁っている高齢者。それで暖をとる者もいる。歩道に寝転んでいるオヤジも変わらない。このあたりは昔と変わらずスラム化しているままなんです。
しかし、ションベン横丁のあたりはまがい物を売る露店の姿はなく、日本人観光客が名物の串カツを求めて、お店はにぎわってる。
インバウンドの影響をこの周辺は受けていないのだろうか。新店と思しき射的場が立ち並び、地元の人々は酒を飲み、アツアツのけつねうどんを啜りこむ。そして渋い佇まいの純喫茶で、真緑の通称・クリソー(クリームソーダ)を頬張っているわけです。
「いやぁ、丸野さんここらへんは変わらんねぇ」と先生がひと言。先生、今は福岡在住で全国を飛び回っていますが、もともと京都で大手の陶器会社でデザイナーをやっていたので関西のことを熟知しているわけです。
しかし、かつてはあれほど人がひしめき合っていた大通りに出ると、やはり人がまばら。昔父親に連れて行ってもらったふぐの名店『づぼらや』も閉店していました。
悲しい気分で、筆者が好きな串カツを先生と一緒に頬張りました。すると店内にタトゥーがバリバリに入った青年が……。こっちを見ている。怖い……。ビールを所望して、会計。彼が外に立っている。
「すいません、丸野さんですよね」
殴られることを見越して、ちょっと顔をこわばらせてしまいました。
「いつもガジェット通信やテレビとかも読んだり観たりしてます。ファンなんで握手してください」
ええっ、そっち!? 廣末先生の方が有名だよ?! なんでこんなところで顔バレするのか。誰が見ているのかわからない。ガジェット通信やテレビのメディア力を改めて実感しました。
後日、久しぶり会う仲の良いいとこの兄貴やその息子とまた西成に再訪問。今回の目的地は、萩之茶屋、動物園前の商店街、そして西成あいりん地区のスナック街。中国系や韓国系のキレイなお姉さん方が店の前を通ると手招きしてくるという、まさに男の天竺。
やさぐれているオヤジたちは、ここらで昼から酒を飲み、カラオケを歌うということなんです。
どのお店もまるで香港の屋台のように原色に彩られた看板が立ち並び、ネオンサインを周囲一面にまき散らしています。目が痛いや……。
すると、兄貴の目に留まったのは『カラオケ居酒屋ソウル』。ソウルというくらいだからコリアン美人がいると思いきや、中国美女がずらりそろい踏み。やはり中国系が急増中だというこの商店街には、彼女たちが幅を利かせているのでしょうか。
見まがうほどの美人が数人カウンターで接客。昔はこのようなことはなく、さびれた商店街の洋食屋で食事をするくらいだったのに、ずいぶんと様変わり。東南アジアの歓楽街を訪れているような気がしますね。
まぁ店では盛り上がって、たっぷりと堪能したわけですが……。全員ホクホクの顔で、マズいラーメンを食べて帰路につきました。
ちなみに駅までの帰り道では、まだ小銭をせびってくる爺さん、煙草を恵んでくれという爺さん、なんだか詰め寄ってきて体をぶつけてくる爺さんとかいました。インバウンドが復活したらこの街並みはどうなるんですかね。大阪万博が開催される直前、大阪府や大阪市はどう対応するんでしょうか。
(執筆者: 丸野裕行)