知られざる男性ストリップダンスの世界の裏側とそこで奮闘するダンサーたちの姿を迫力のダンスシーンと共に描き、世界を熱狂させてきた映画『マジック・マイク』。

無名時代にストリップダンサーだったチャニング・テイタムの経験をもとに制作され、ダンス映画史上 NO.1 大ヒットに君臨する映画『マジック・マイク』。 アカデミー賞監督にして『オーシャンズ』シリーズのスティーブン・ソダーバーグが監督として再度カムバックし、マイクの人生をかけたラストダンス&ショーを描く『マジック・マイク ラストダンス』が、3月3日より公開となります。

本作へのこだわりについて、シリーズへの想いについて、スティーブン・ソダーバーグ監督にインタビューを敢行しました。

――本作とても楽しく拝見させていただきました。本作でシリーズ3作目の最終章となりますが、どの様な物語を描きたいと思いましたか?

関わっている全ての人がこの3作目に向かって進化していったと思います。1作目はとても小さなお話でした。3本の映画を通して、男女関係、男女の官能性というものを議論してほしいという気持ちがあった。1作目の時にはその準備が出来ていなかったと思います。ただ、幸運にも今1作目を観ても古くないな、楽しめるなと思うんです。ストリップダンサーの映画を作っている時に陥りがちな罠にハマらないように…、男女関係やセクシャリティの描き方を間違えない様に気をつけて作っていました。

2作目はまた違う方向になっていて、キャラクターたちの描き方が広がったことを私は嬉しく思っています。3作目となる本作は、これまで作ってきた世界の上で成り立っているストーリーでありながら、マイクをアメリカから離して、新しい場所でチャレンジさせる必要がありました。

――本作で監督はどの様なチャレンジをしたいと思いましたか?

一つ目は舞台でのショーをどう映画にするかいうこと、二つ目は男女関係、人間関係をどう描こうかというところだった。その二つを十分に見せたいと思っていたので、それがチャレンジだったよ。舞台でのダンスというのは100年以上の歴史がある中で、また新しいダンスの表現を見せたいと思ったけれど、あまり時間がなかったので、どんどん素早くジャッジをしていかないといけなかった。完成した映画を今観ると、その時はもっと時間がほしいなと思ったけれど、今思うと、限られた時間の中で作ったエネルギーがスクリーン上によく現れているなと思った。願わくば、観客の皆さんにも目の前で繰り広げている様な迫力のあるダンスシーンを味わってもらいたいんだ。

――最後のダンスシーンは本当にすごかったです!

最後のダンスシーンを撮影している時に、私がこれまで観てきた、好きなダンスシーンを思い出していたんですね。誰も『ウエスト・サイド物語』(61)のダンスを超えることは出来ないと思うのだけど、あれ以上複雑にすることは出来ないし、すごいダンスシーンだと思う。それを認めつつも、違う新しいものを作りたいと思ったのが水の上で行うダンスでした。ダンスの直線的な流れの中に、別の時間の流れが入る編集をしているんだ。

――『マジック・マイク』シリーズは、女性の欲望の解放を上手に描いていますよね。

自分の人生に何を求めているのか、どんなダンスが見たいのかを色々な人に聞きました。ストリップを含むダンスというエキサイティングな場所でありながら、安全な場所であるということにこだわりました。映画を作り始めてからもそういう会話を続けています。

「マジック・マイク・ライブ」を作ったテイタムやカロリンなどのアイディアを盗んだ部分もあります。また色々な人たちに、「観ている人は、人生に何を求めているのか」「ファンタジーに何を求めているのか」ということを聞きました。
彼らが感じて求めるもの、安全で共感できて、少しミステリー要素もある空間を作りたいと思いました。映画を作り始めてからも友人や知らない人とも、そのような会話は続けていきました。

そのようにアイディアを生み出すための議論をする文化は常に出来ていたと思いますが、一番大きな影響はマックスを演じたサルマ・ハエックの存在でした。映画の中でもマックスはショーについて尋問をしますが、まさに彼女自身が色々と問いかける人でした。映画の中でマックスが問いかけるシーンは、ほとんどサルマのものだと思います。私たちが行った議論や彼女がキャラクターで見せたい部分は、全て尊重されるように、また知的に扱われるようにサルマは最終的な判断を下していたと言ってもいいと思います。

――主演のチャニング・テイタムさんと共に歩んだ『マジックマイク』の歴史だと思いますが、改めてチャニングさんの功績はどの様な所にあると思いますか?

「ストリップ映画というのは昔から全く変わっていないので、それを変えたい」ということが彼のアイデアでした。ちゃんと踊れる、実力のあるダンサーがストリップシーンもありのショーを見せる。ダンスで物語を語りたいというアイデアです。先ほど、1、2作目から3作目へと作品が変化してきたと言ったけれど、マイクというキャラクター、演じるチャニング・テイタム自身は全然変わっていないんですね。2010年の時と同じく、誠実でリアルなお芝居をしてくれました。

――このシリーズの主人公はダンサーで、ダンスが中心となってストーリーが展開していきますが、夢や挫折というテーマは多くの方にささりますよね。

私は、人がどうやって生計をたてているかに興味があるんですね。どんな映画を作る時でも、キャラクターをふくらませる時に、そこが一番気になるんです。人生の上の大きな要素であると思うし、皆さん多くの時間を仕事にしているし、仕事を探しているともいます。

1作目では、人は生計をたてるためにどんな変わった仕事をするのだろうかという部分を考えていましたし、『マジック・マイク ラストダンス』でも同じ様にマイクの生活のことを描いている。それを悲しくではなくて、楽しく描くことで、エンターテイメントにすることは可能だと思っている。ぜひスクリーンで多くの人に楽しんでいただきたいです。

――今日は貴重なお話をどうもありがとうございました!

【作品情報】
『マジック・マイク ラストダンス』

出演:チャニング・テイタム(『キングスマン:ゴールデン・サークル』『ザ・ロストシティ』)
サルマ・ハエック(『ヒットマンズ・ワイフズ・ボディガード』『ハウス・オブ・グッチ』)
監督:スティーブン・ソダーバーグ(『オーシャンズ』シリーズ) 

■配給:ワーナー・ブラザース映画 (C)2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved
■公式サイト:http://www.magicmike-lastdance.jp/  #マジックマイク
■映倫区分:PG12

情報提供元: ガジェット通信
記事名:「 『マジック・マイク ラストダンス』スティーブン・ソダーバーグ監督インタビュー「新しいものを見せかった“水の上でのダンス”」