2018年の連載開始以来、累計発行部数215万部を超える二宮正明が放つ衝撃のサスペンスコミック『ガンニバル』を実写ドラマ化。ディズニープラス「スター」にて独占配信中だ。狂気の世界へと誘われて行く主人公の警察官・阿川大悟役を柳楽優弥が務め、 供花村を支配する後藤家次期当主・後藤恵介役を笠松将、大悟の妻・阿川有希(ゆうき)を吉岡里帆が演じるなど、豪華演技派俳優陣が脇を固めています。

監督は、『岬の兄妹』、『さがす』が国内外で絶賛された片山慎三さん。本作でのこだわりや、印象的なシーンの撮影方法などお話を伺いました。

――まずは、原作の『ガンニバル』を初めて読んだ時の感想を教えていただけますでしょうか。

「映像化しませんか?」という話をいただいてから原作を読み始めました。最初は怖そうだな、怖いの苦手だな…と思っていたのですが、読んでいくとどんどんハマっていって。登場人物たちの過去が明かされていく過程がとても濃いお話で。ぜひ映像化させていただきたいと思いました。

――監督は怖いものが苦手なのですね、意外でした!

苦手なんです。怖がりです。意外だと言われるのですが、こういう話をすると「怖いものが苦手な人ほど、怖い作品を作ることに向いている」と言われます。怖がらない人は、何が怖いのかが分からないから苦戦するけれど、怖がりな人ほどポイントを知っていると。

――以前、原作者の二宮先生にお話を伺った時に、『ガンニバル』は、映画『わらの犬』(1971)の影響を受けているとおっしゃっていました。村社会や閉鎖的な空間などを描いた作品で好きなものはありますか?

横溝正史シリーズの、『犬神家の一族』、『悪魔の手毬唄』が好きです。あとはドラマ『トリック』も面白くて好きです。僕自身は大阪出身で、そこまで田舎では無い地域で育ったので、田舎の閉鎖的な空間に戸惑った経験は無いのですが、「近所の人に見られている」という感覚は多くの人にとってあるのかなと思います。僕も、朝帰りしたら近所のおばあちゃんに「息子さんが朝帰りしていたよ」と母親にチクられたことがあります(笑)。

コロナ禍では、「都会から帰省して欲しくない」といったことが問題になったりもしたじゃないですか。その場所に住んでいる人からすると、嫌なことである気持ちも分かる部分もあるし、そういうことって実際の社会にもありますよね。そういう部分で『ガンニバル』ってリアリティのあるお話ですよね。

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――「供花村」のロケーションも素晴らしかったです。

ロケ地に関しても、「人口300人にも満たない村」という原作の設定を見て、隔絶された地形で住民が村の外に出ることがほとんど無い様な場所を探しました。色々な村を見てまわって、森はここ、家はここという様にそれぞれの良い所をチョイスして撮影をしました。兵庫県、三重県、長野県で撮影をしていて、小さい村の話なのですが、撮影規模はかなり大きいものになりました。

――ドローンで撮影された山々も美しいですね。

あそこは、三重県の「木津呂集落」という場所です。日本は自然が綺麗ですからね。綺麗な森や川をしっかり見せたいという気持ちもありました。ドローンは高度が決まっていて、それ以上高く飛ばしてしまうと法律違反になってしまいます。なので、高い所から撮影をするには山に登る必要があって。実際に、僕とカメラマン、ドローンのオペレーターの方などスタッフで山に登って、大変でした(笑)。機材を担いで、体力勝負でしたね。でも楽しかったです。

――「ディズニープラス」スター独占配信という制作スタイルだからこそ出来た部分、表現のしやすさ、難しさはありましたか?

CGやアクションにしっかりお金をかけられるな、ということがすごく嬉しかったです。「ディズニープラス」で人喰い村の話をやるの?と最初驚いたのですが、怖い部分は残しつつ、ちゃんとエンターテイメントであり、人間ドラマにしたいという気持ちが強かったです。民放のドラマ等に比べて、時間もかけて撮影することが出来ましたし、その点で、時間をかけたからには、それだけのものを作りたいというプレッシャーもありました。

ドラマなので「続きが気になる」という仕掛けも大事になってきます。脚本の段階で話数は区切っていました。そういう部分を撮影に入る前に入念に打ち合わせしていたので、困ることはありませんでした。

――撮影前にしっかり脚本が出来上がっていて、その上で展開を練ることが出来たのですね。

配信ドラマだからこそなのかもしれませんが、2話、3話分くらいの脚本が完成していないと、企画自体のGOサインが出ないんですよね。「この原作で行きます」というだけでは許可がおりないので、「こういうドラマです」というルックを作る必要がありました。ましろ役はまだ決まっていなかったので、同世代の子役の女の子と森の中、猟銃をつきつける恵介っぽい男の人、などイメージに合うカットをいくつか撮影して、(ディズニープラスの)本国に提出して、という。「こういう雰囲気のドラマを作ります」というカットを脚本の途中に入れ込んでイメージしやすいようにしたり、普段のドラマには無いくらいしっかりした企画書を用意しました。

ティザーポスターの噛み後のある腕の写真は、企画書用に撮った写真のアングルを利用しています。企画書用では、実際に噛んでもらった腕の写真を使っていて、実際のポスターの写真は造形部が作ったものではあるのですが。たくさん時間をかけて作っていますし、それを感じてもらえる作品になっていると思います。

――貴重なお話をありがとうございます。監督がディズニープラスで好きな作品はありますか?

これまで加入していなかったのですが、本作をきっかけに見る様になりました。『アトランタ』というドラマが好きで、シーズン4と5 はディズニープラスでしか観られないので嬉しかったです。『ウォーキング・デッド』も最終シーズンまで観られますし、そういった大きなタイトルと一緒に『ガンニバル』も楽しんでもらえることはありがたいです。

・アトランタ
https://www.disneyplus.com/ja-jp/series/atlanta/68sl4qXn1PbA
・ウォーキング・デッド
https://www.disneyplus.com/ja-jp/series/the-walking-dead/6FPLfTcQrTpy

――ぜひ『ガンニバル』と一緒にさまざまな作品を楽しんでいただきたいと思います。今日は素敵なお話をどうもありがとうございました!

片山慎三監督

『ガンニバル』
■原作:『ガンニバル』二宮正明(日本文芸社刊)
■配信:ディズニープラス「スター」で12月28日より独占配信
■監督:片山慎三、川井隼人 ■脚本:大江崇允 ■プロデューサー:山本晃久、岩倉達哉
■出演:柳楽優弥、笠松将、吉岡里帆、高杉真宙、北香那、杉田雷麟、山下リオ、田中俊介、志水心音、吉原光夫、六角精児、酒向芳、
矢柴俊博、河井⻘葉、赤堀雅秋、二階堂智、小木茂光、利重剛、中村梅雀、倍賞美津子

(C)2022 Disney

情報提供元: ガジェット通信
記事名:「 『ガンニバル』片山慎三監督インタビュー「怖がりだから、怖い作品が作れる」ドローン撮影の裏側も