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人気のあるラーメン屋さんなどでは「スープがなくなり次第営業終了」のシステムを取り入れている店もあり、営業時間が2~3時間で終わってしまうような場合も少なくありません。
ところが先日行ったうどん屋さんは、なんとうどんを食べられる時間がわずか15分程度しかありませんでした。
そのうどん屋とは鹿児島市の鹿児島港と桜島港を結ぶ「桜島フェリー」の船内にある「やぶ金」というお店。広々とした客席内に赤い提灯がぶら下がっている一角があり、そこに「やぶ金」があります。
「やぶ金」は桜島フェリーの名物で、フェリーに乗ったときにはうどんを食べるというのが鹿児島県民の定番。鹿児島県民のソウルフードとも呼ばれるほどです。
桜島フェリーは24時間運行をしていて、「やぶ金」のうどんを食べられるのは8時台から17時台の便限定。なので厳密には営業時間9時間のお店ということになるのですが、フェリーは鹿児島港から桜島港までをわずか15分で移動してしまうため、うどんを食べられる時間は実質15分しかないのです。
うどんのメニューはかけうどん(500円)、月見うどん(550円)、天ぷらうどん(600円)の3種類のみ。せっかくの機会なので一番乗りで店に入り、天ぷらうどんを注文してみましたが、そのわずかな間に後ろには列ができ始めていました。
うどんは30秒もしないうちに提供されましたが、列に並んでしまったら食べられる時間が15分よりさらに短くなってしまいそう。
それにしても手際よく提供された天ぷらうどんは骨身に沁みる美味しさ。麺はいわゆる立ち食いうどん的な柔らかい食感でコシとは無縁ですが、昆布とカツオが感じられる優しい味のつゆがなんとも美味。
桜島フェリーに乗るということは旅行中だったり、車ごと乗り込んだり、何らかの移動をしている途中の人がほとんどのはず。移動の疲れをそっと癒やしてくれるような味わいなのです。
そう考えると麺も柔らかくて大正解。優しい味のつゆとしっかり一体化する優しい食感。麺が口の中でふわっとほぐれ、おつゆの美味しさがフワッと広がっていきます。
今回は天ぷらそばを選んだのもよかった。野菜の甘味と油のまろやかさが美味しさを一段高めてくれていました。いやあ、これはうまいなあ。
時間に余裕があればデッキに移動し、桜島を眺めながら食べたりなんかしちゃったらもう最高。絶景とともに旅の思い出に残る一杯となりました。
うどんはお腹がそんなに空いていなくても食べられるくらい軽めのボリューム感になっているので、もし桜島フェリーに乗る機会があればぜひどうぞ。
(執筆者: ノジーマ)