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稀代の劇作家・根本宗子の初映画化、前田敦子主演×菊池風磨共演、山岸聖太監督の最新作、映画『もっと超越した所へ。』が大ヒット上映中です。
原作・脚本は、稀代の劇作家・根本宗子。“映像化不可能”と言われた伝説の舞台を自ら大胆なアレンジで表現し、クズ男を引き寄せてしまう4人の女性の恋愛模様と、彼女たちの意地とパワーが引き起こすミラクルを痛快に描く。めんどくさい感情とキレッキレの本音をさらけ出しながらも、強くたくましく生きる姿に、奮い立つようなエネルギーを得られ、「なんでこんな人を好きになっちゃうんだろう」と感じたことがある、愛する人がいるすべての人に捧ぐ――、この秋最高の恋愛エンタテインメントが誕生。
本作で、バンドマン志望の怜人(菊池風磨)の恋人、デザイナーの真知子を演じる前田敦子さんにお話を伺いました。
――意外だったのですが、前田さんが恋愛作品に出るのは久しぶりなのですね。
そうなんです。しっかりした恋愛映画は『イニシエーション・ラブ』(2015)以来かもしれません。あの作品も個性的な恋愛映画でしたけれど、本作もすごく個性的な作品です。私が根本宗子さんの舞台を初めて観たのが、「もっと超越した所へ。」(2015)の次の作品だったので、もともとの舞台は観れていないのですが。その時の根本さんの舞台ってご本人も出演されていましたし、迫力がすごくて、大笑いも出来るんですよ。なので、映画化と聞いて、「絶対に面白い!」と思いました。台本を読んでももう完成されていて。撮影は楽しみでしたし、楽しかったです。
――作品拝見して、ハイテンションなシーンも多いですよね。すごかったです。
いい年した人たちの集まりではあるのですけど、はちゃめちゃで(笑)。……「一生懸命」って、素敵じゃないですか? 先日子供の運動会に行った時に、親子一緒に参加する競技の中で一番面白かったのが、保護者リレーだったんです。大人たちが本気で走って、ずっこけたり、子供に手を振りながらアピールしたり、一生懸命ですごく面白くて。「良い所を見せたい」って気持ちって素敵だし、いいな〜って思いました。大人が必死って素晴らしいなと思って、この映画も共通しているなって。
――分かります。“必死”って良いですよね。“沼る”という言葉には若干ネガティブなニュアンスもあると思うのですが、実は美しいという。
そう思います。若い子が、がむしゃらで必死になっているのも素敵ですけれど、色々な経験を経て、中年になっている大人たちだと、よりその必死さが際立つというか。本作で描かれているカップルも、結婚する?別れる?それともこのまま?という“モヤモヤ期”であると思うんですよね。それが発散された時が…すごい! 若い子がこの作品をみて「このおじさん、おばさんたち何やってんの?」って思うくらいがちょうど良い作品だなって。でもね、見ててご覧、自分たちもそうなるんだよ?って(笑)。
――それ、すごく思いました!(笑)
「痛いな〜」って思っている部分、全く同じことになるんだよって(笑)。私は本当に中間地点というか、こういう時期(映画で描かれている恋愛)も経て、ここまでがむしゃらに恋愛することってもう無いかなって今は思います。将来ずっと一人でいたいわけではないですけれど、今は子供がいるので恋愛の比重は重くないというか。
――前田さんが、今“沼っている”というか、ハマっていることってありますか?
レゴです!
――レゴってすごく深い沼ですよね…?
本当に。面白いですよね。今、家で「スーパーマリオ」のコーナーを作っているのですが、アプリと連動出来るんです! アプリとレゴが連動して、ヨッシーと出会ったり、ゲームが楽しめたりするのですごく面白くて。今日も朝6時半くらいに起きて、一生懸命作っていたら、気付いたら2時間経っていました(笑)。自分が楽しんじゃって、子供が飽きたらラッキーくらいに思って作っています。
――以前、前田さんと根本さんのトークショーで、「「ジャニーズの菊池風磨くんがいるなんて、、と思っていて、向こうも『あっちゃんがいる、、』と思ってたみたい」とおっしゃっていたのがすごく面白いエピソードだなと。(https://getnews.jp/archives/3341893)
“グループあるある”というか、グループにいた時ってその中で人間関係が完結するから、その他の人との接し方って分からないんですよね。私もAKB48の時にそれを経験していて、「AKB48からきた前田敦子だから」みたいに、自分の中でも思っていた部分があって。今回の現場では、それに似た空気を風磨くんから感じました。その感じが懐かしいなって。すごく素直な方で、オープンな壁の無い方で、共演者のグループLINEが動くと、風磨くんが一番たくさん返信や反応をしてくれます。
――懐かしさを感じるというのは面白いですね。先輩として何かアドバイスすることも?
風磨くんではないのですが、同性の後輩の俳優さんには色々質問はされます。「どうやったら友達って出来るんですか?」とか「“遊ぶ”って何ですか?」とか(笑)。コロナ禍ということもあって「打ち上げを一度もしたことがない」とか、そういう世代だったりして。私も一緒に「う〜ん」って(笑)。
――「“遊ぶ”とは何か」哲学的な問いですね(笑)。前田さんは色々な俳優さんと仲良くなられて。
19歳の頃、AKB48を辞める前だったのですが、(柄本)時生と池松壮亮と高畑充希とすごく仲良くなって、俳優の友達が出来て。グループの外に友達が出来ることがすごく嬉しかったし、一緒に色々な経験をさせてもらうのが楽しかったです。
――すごく素敵なエピソードをありがとうございます。もうグループを卒業されて10年なんですよね。
もうそんなに経つんですねっていう感じですよね。(AKB48を)辞めた時に、なんて自分が世間知らずなんだろう、何も出来ないんだろうって思ったんです。そういえば、辞めた時に「地下鉄にWiFiが入ってる!」ってすごく感動して。AKB48に入ったばかりの頃は、地下鉄って携帯の電波がつながらない場所だったので(笑)。
――今はフリーで活動しながら、たくさんの作品に出られています。
「こういう世界もあるんだ」って日々広がっていく感じがあります。子供を産んだ時に、「このままだと私はルーティンの世界で生きていくことになるかもしれない」と思って、今後について意識しました。時代の流れというのも感じましたし、役者が役者だけするというのも勿体無いというか。最初は事務所を独立するということも考えていなかったのですが、「こういうことをやってみたい」と素直に気持ちを話してみたら、「独立するのもありなんじゃない?」という意見をもらったりして。そうしたら、「あ、私はこういう仕事を求めていたんだ」って気付く場面もあったりして。来年で丸3年に入るので、新しい流れをはじめようと今準備をしている段階です。この2年はがっつりお仕事をさせてもらったので、もう少しプライベートの時間を大切にしつつ、その先に見えてくるものもあるかもしれないし、心境の変化があるかもしれない。楽しみです。
――前田さんのこれからの活躍がすごく楽しみですし、色々な経験をした上での素敵な言葉だなと思いました。
ありがとうございます。この映画もすごく楽しい経験をさせていただきました。観てくださるかたも「うわー、わかるなー」とか、「嫌だけどあるあるだな」って楽しんでくれると思うので、皆さんの反響を見れることを今から楽しみにしています。
――今日はありがとうございました!
撮影:オサダコウジ
(C)2022『もっと超越した所へ。』製作委員会
(執筆者: ときたたかし)