企業経営者向けの雑誌『財界』が、子育て支援拡充を目的とした新たな財源確保のため「こども保険」の導入を政府内で模索しているという記事を配信。ネットではさまざまな波紋が広がっています。

【厚生労働省】新たな財源確保に向け「こども保険」の導入を模索(財界オンライン)
https://www.zaikai.jp/articles/detail/1869 [リンク]

「こども保険」が企業や国民が負担する社会保険料に一定額を上乗せする仕組み。記事では厚労省幹部・OBが疑問視する声を上げている一方で、内閣官房の幹部が「財源確保の有力な手段であり、しっかり検討すべき」との発言を紹介しています。

自由民主党は、少子化対策を念頭に置いた「2020年以降の経済財政構想小委員会」が2017年3月に「こども保険」の導入を提言。それによると、「子どもが必要な保育・教育等を受けられないリスクを社会全体で支えるもので、年金・医療・介護に続く社会保険として、『全世代型社会保険』の第一歩になる」とあり、事業者と勤労者から厚生年金保険料に当面0.2%(事業主0.1%、勤労者0.1%)を付加して徴収し、国民年金加入者には月160円の負担を求め、財源規模は約3400億円と試算。将来的に保険料率1%(事業主0.5%、勤労者0.5%)・国民年金加入者の月830円の負担にまで拡大し、財源規模を約1.7兆円まで拡大するとしています。

なお、この小委員会は小泉進次郎衆議院議員ら自民党若手議員が中心となり発足。小泉氏は委員長代行を務めていました。

子育て支援施策の充実や0歳から高校3年生までの外来・入院医療費負担なしを実現している兵庫県明石市の泉房穂市長(@izumi_akashi)は、次のように「こども保険」に反対しています。

『こども保険』の導入には反対だ。これ以上、国民に負担を強いる必要はない。『こども保険』を検討したけど、国民の反対が強く導入できないので、『こども予算の拡充』も困難とのストーリーを官僚たちが描いているのは明らか。そんなものなくたって、予算拡充は当然に可能だ。

また、国民民主党の玉木雄一郎代表(@tamakiyuichiro)も、泉市長の引用ツイートで「まだこんな議論をしているのか」と疑問を呈しています。

こども保険には反対だ。この議論は5年前、私が「こども国債」を提案したことに対するアンチテーゼとして出てきた。そもそも子どもを持つことは「リスク」なのか。子どもを持たない持てないリスクゼロの人に「保険料」負担を求めるべきではない。まだこんな議論をしているのかと暗澹たる気持ちになる。

2022年7月の参議院議員選挙に出馬した乙武洋匡氏(@h_ototake)は、次のように皮肉めいたツイートをしています。

この国では、子どもを持つことがリスクだと考えられているようです。

※保険とは、日常生活で起こる様々なリスク(危険)に備える制度です。(東京海上日動のサイトより)

他にも「どう考えても筋が悪い」「保険ではなく税金では?」といった声が上がっていた「こども保険」。『財界』の記事は関係者の発言の名前が伏せられており、観測気球の可能性もありますが、2022年4月にこども家庭庁が発足することもあり、関連予算の将来的な倍増に向けて財源確保策が求められています。参院選では子育て支援を旗印にしている候補者が与野党問わず多かったこともあり、今後の議論の行方に注目が集まります。

※画像は『写真AC』より

情報提供元: ガジェット通信
記事名:「 泉明石市長・玉木雄一郎氏・乙武洋匡氏らが反対ツイート 「こども保険」導入模索記事に疑問の声渦巻く