山奥、とことん山奥、山奥の山奥、「こんなところに道作るの?」と思ってしまうほど山奥の山奥の山奥を突き進んでいくと、広大な湿地と平原が現れます。そこには、お坊さん、しかもほとんど尼さんしか住んでいない聖地・アチェンガルゴンパ(亜青寺)があります。そんなお坊さんの村でチャーハンを食べました。

だんだん体力と気力が削られていく

中国四川省の首都・成都(チェンドゥ)からクルマに乗ること20時間。そんな秘境にチベットの秘境・アチェンガルゴンパがあります。平原が広がっていて、一見、山の上に思えませんが、標高3800メートルほどの高地。高山病になりながら取材しました。だんだん体力と気力が削られていくのがわかります。いつまでカメラを持って村や丘を歩き、撮影が続けられるか、時間との闘いです。

アチェンガルゴンパは聖地

アチェンガルゴンパは、何もない広大な湿地と平原の地に突如として発生した村です。諸説ありますが、1985年にチベット密教の大僧正・ケンポアチュリンポチェがこの何もない大地を訪れ、ここに住みました。

すると各地からお坊さんたちが集まり、いつしか、アチェンガルゴンパは聖地となったのです。現在は、尼をメインに僧侶たちが住んでいます。

日本人や欧米人が訪れることは珍しい

いま現在も、大僧正ケンポアチュリンポチェの教えを守りつつ、多くの僧侶が住んでいるのですが、ポツポツと、中国人が訪れるようです。そのためなのか、中華料理が食べられる食堂が営業しています。

大僧正ケンポアチュリンポチェが生きていた時代にも、中華食堂があったのでしょうか。ちなみに、日本人や欧米人が訪れることは珍しいようです。

中華食堂『安多桶曲飯館』でチャーハン

大僧正ケンポアチュリンポチェが食べたかどうかは不明ですが、中華食堂『安多桶曲飯館』でチャーハンを食べてみることにしました。

店内に入ると、そこはもう、強制的にノスタルジィーに浸れるエモーショナルな内装。ストーブではやかんでお湯が沸かされ、饅頭や麺類などが食材としてテーブルに置かれています。

複数のお坊さんたちが料理を食べていた

そこそこ広めのスペースではありますが、テーブルの数は少なく、複数のお坊さんたちが料理を食べていました。ふだんはお坊さんたちしか食べに来ない中華食堂。尼さんではありませんが、信者らしき女性もいました。

たまに中国人も来るようですが、特に日本人は珍しい。けっこうお坊さんたちに見られましたが、不快ではありません。珍しければみられる。仕方なし。

日本の中華食堂とチャーハンの味は違うのだろうか?

メニューには、料理名がチベットの言葉と中国語の双方が並列で書かれていました。チベットや中国の名物が食べたい。そう思うのが人のSA・GA。しかし「日本の中華食堂とチャーハンの味は違うのだろうか?」という気持ちもわいてきます。いつも食べているチャーハンと、チベットのチャーハン、味の違いを体験したい。だからチャーハンをオーダーしました。

日本のチャーハンと酷似

豪快に鍋でご飯を炒めるシェフのお兄さん。風貌からチベット系のお兄さんだと推測。待つこと数分、やってきたチャーハンは、日本のチャーハンと酷似。しかも、すっげーうまそう。ガツガツ食べたくなるタイプ? ガツガツ食いながら中華スープすすりたくなるタイプ? そんな感じ。


バター茶と一緒に食べるチャーハン

コップにお茶を注いでチャーハンに挑みます。ちなみに、ポットに入っているのはバター茶。麦茶とかお湯とかではありません。バター茶です。この村にいる限り、バター茶から逃れられません。慣れるとうまい、うますぎる。

香ばしさの増幅度バツグン

チャーハンの味、これ、うまい。どううまいか? 米が極めてパラパラ系、ドライ系、ハード系。それゆえしっかり鉄鍋で火が通って香ばしく焼けていて、メイラード反応の影響なのか旨味が強い。なにより、米がパラパラだからしっかり油を捕らえて、香ばしさの増幅度バツグン。たまりません。

このチャーハン、大僧正ケンポアチュリンポチェにも食べてもらいたかった。

(執筆者: クドウ@地球食べ歩き)

情報提供元: ガジェット通信
記事名:「 客がお坊さんしかいない秘境食堂で食ったチャーハンがうまいんだよ