5年もの間、気になる定食屋に入ろうと思っても通り過ぎるだけだったお客さんと、入ってほしいなと思っていてもなかなか入ってもらえなかった店員さんが、意を決して入店してから徐々に仲良くなっていくストーリーが微笑ましい梵辛(ぼんから)さん(@sokusekimaou)のマンガ『くちべた食堂』(ビームコミックス)。Twitterで公開された『行きつけの店に結婚式帰りに寄ってしまう漫画』では、高校教師の柳凛さんが結婚式に列席してヘトヘトになり、一方のくちなし日代乃さんは食堂が大人数貸し切りで大忙し……というエピソードになっています。

※参考記事 お店で食べるのは盛り盛りの大サービスだった!? 気になる店員さんがいるお店でテイクアウトをするマンガに思わずニヤニヤ
https://otajo.jp/94733 [リンク]

結婚式。おめでたい場で「お幸せに〜〜〜ッ」と盛り上げるヤナギさん。披露宴では「お席、あちらですね」と案内したり、「なにか拭く物を!!それと新しい飲み物も!」と親子連れのフォローをしたり、「ハイ!端の方もう少し詰めてくださーい!」と記念写真の撮影をしたり……。

二次会でも皿の取り分けやカラオケでのタンバリン、飲みすぎた人の介抱……。三次会まで「オレ……世界一幸せモンだよお〜〜〜」「これからもたまには遊んでくれよなぁ」「うおおお〜〜〜ン」と盛り上がるところまで付き合ってあげてます。

一方の『味処くちなし』。夜は貸切送別会。「オレたち……世界一の幸せモンだよぉ〜〜〜!!」と盛り上がるお客さんの対応に大忙し。「スイマセン、追加であと2人入れます?」「はぁい、椅子ご用意しまぁす」と急な人数増も笑顔で対応。「端のかた、もうちょっと寄ってくださ〜い」とスマホで撮影役もこなし、「こういう料理作れます?」「店長に相談しますね〜!」といい、「サプライズケーキです」と出して、「お水どうぞ〜!!」と潰れた席にもっていき……。

「今日は楽しかったです!『くちなし』さん、ありがとうっ!!」と頭を下げられて、「はぁい、何よりです〜」とご挨拶。お客さんの一人から「出張土産の珈琲です!!」と渡されて、ふらふらしながらも笑顔で「ありがとうございまぁす」とお礼を言います。

ヒールがズキズキ痛む中、最寄り駅にたどり着いたヤナギさん。「なんとか……なんとか、四次会だけは回避できた」とフラフラ歩きます。「あ〜〜〜せっかくうまそうなゴハンいろいろあったはずなのに、ちっとも思い出せない」と思い、「戦利品といえば、このバームクーヘンくらいかな」と紙袋に笑いかけます。そして目に入ったのは牛丼屋。足も限界で「『くちなし』は……、今日はもうラストオーダー間に合わないな」と入店。席でひと息つき、牛めし(並)を注文。丼をもぐもぐ食べて「あ〜〜〜〜、やっと味が分かる状態になってきた」と感じます。

閉店後の片付け。「ごめんね光おばさん。まだ腕が治ったばかりなのに」「なんの。学食に復帰するリハビリにゃ丁度よかったよ!」「片付けが終わったらひと息ついてから帰ろうか」「あ〜〜〜そだね〜〜」とおばさんや妹の陽香と話しつつ、「本日貸切」のブロックボードを消します。「ん〜〜〜〜」とポキポキと腰を伸ばすくちなしさんに、「お茶もう無いみたい。さっきの珈琲飲んでみる?」という陽香に「ん」と答えますが、「何かお菓子とか残ってないかな」と冷蔵庫を覗いて「ないな〜〜」「あらら」「さっき全部出しきっちゃったかな〜〜〜、コンビニ行こうか」となります。

「牛丼はうまかったけど、まだMPが回復しないな……」とよたよた歩くヤナギさん。「デザートか何か…、あっ持ってた」とバームクーヘンを見て「帰ったらこれ食べるか」となりますが、「バームクーヘンか…、口の中パサパサするだろうな…」と思います。

「なにか飲み物…」となっているヤナギさんと、「なにかおやつ…」と考えているくちなしさん。コンビニの前で「あっ」と出くわします。

オーナーのおじさんに「いいよ、入ってもらいなさい」と許可をもらったヤナギさん。「俺たちは先に帰ってるから」「ごゆっくり〜〜〜」と言われてペコペコ頭を下げる横で、「お荷物こっちどうぞ」と陽香に促されます。「………お砂糖は?」と豆を挽く陽香に「ナシで!」とオーダー。熱湯をケトルからドリッパーにコポコポ淹れる音の中、くちなしさんが包丁でスッスッと八等分にしていきます。

トレイで3皿ぶんのバームクーヘンを運ぶくちなしさんにわっと顔を綻ばせるヤナギさん。席でコーヒーをカップに入れて、フォークを差してもぐもぐっとしてから、コーヒーをひと口。ふたりとも「ほっ」となり、お互いを見るとボロボロに疲れが……。

「お………」「………」となったふたり、ヤナギさんからおもむろに「おつかれさまです」とペコリとされて、ドキッと慌てて目が泳いでしまうくちなしさんですが、恥ずかしそうに「おつかれ、さまです」とペコリ。今度はヤナギさんが赤面してしまいますが、顔を見合わせて笑い合い、「ホントに一日おつかれ様です」「いえいえ…お疲れ様でした」というのを聞きながら、外で陽香がバームクーヘンとコーヒーを堪能しているのでした。

「『くちべた食堂』はこれから一年を時系列順に描いていくことを試みようと思っているので、6月らしい話を入れておこうと思い、結婚式の話を描くことにしました」と梵辛さんが語るこのエピソード。

高校教師で柔道部顧問を務め、誰彼構わずついつい世話を焼いてしまうヤナギさんと、ちょっと引っ込み思案なところがありながら癒やし系の笑顔を絶やさないくちなしさんの話には「似た者同士どころじゃなかった」「ふたりとも頑張り屋で最高」といった反応が多数あったほか、「とても癒された」「こんなお店近くにほしい」といった声も寄せられていました。梵辛さんは「この漫画では主人公ふたりがお互いの1日を最後にねぎらうという内容になっていますが、読んでくれた人も同様の気持ちになってくれている人もいるようなので、そのあたりが嬉しいです」と話してくれました。

「今回は一部の素材作成などを除いてほぼiPadで製作しました」という梵辛さんが「製作場所の移動を繰り返しながら作業を進めることが可能になるため、気分転換をしやすい点が大きなメリットだと思います」と語る『くちべた食堂』ですが、単行本第2巻が2022年8月12日に刊行予定。「1巻はかなり無理をして、ほとんどのエピソードを4ページにおさめていたのですが、2巻からは通常の漫画と同じページ割りの話を増やしていってるので、より世界観に溶け込みやすく読めると良いなと思っております」と話します。

また、『webアクション』(双葉社)連載の『チュンの恩返し』の2022年7月21日刊行が控えており、「連動キャンペーンも企画中です」とのことなので、期待して待ちたいところです。

※画像はTwitterより
https://twitter.com/sokusekimaou [リンク]

情報提供元: ガジェット通信
記事名:「 結婚式列席でフラフラ&送別会の対応でヘトヘト…… 行きつけの閉店後に店員さんとお菓子&コーヒーを頂くマンガが疲れた心に沁みる!